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2012年11月 1日 (木)

読めます?・・大正時代書、新潟の中学生の作文

私が時折おじゃまして根面と等も受けていただいているブログ「反戦塾」で、とても興味深い文章の引用がありましたので紹介させてください。管理者の塾頭ましまさんにも許可を得ました。

その文章は塾頭の母校でもある新潟県にある新潟県立村松高等学校の創立100周年記念に公開された大正8年時代の旧制中学=村松中学校5年生の田村大作氏の作文です。

塾頭曰く「塾頭にも書けないこの文章が読めれば、高校生の解読力合格ということにしよう。」という、現代の高校生対しての注文も付けくわえられていました。

「意気ある青年たれ」・『臥龍』より>

 今や西欧の戦雲は漸く散じ、平和の曙光は再び輝き初めたとは言へ。
あの戦ひの神はあの恐ろしさうな形相に悲痛の色を浮べ、つぶやきながらも遂に人間の手を離れて、平和の曙光が再び輝き初めたとは言へ。
彼の衣擦れの音も静かな平和の女神の足下には弱肉強食の暗雲が渦巻き、彼の金光璨爛
たる正義人道の金看板の後には「マイト、イズ、ライト」の囁きが聞えている。

 ……東洋の平和は永遠に確保する事が出来るか……国際連盟は果して列強の争闘を防止する事が出来るか。……これを思ひ彼を思へば我等第二の国民たる者は、決して、空しく桃源の夢に酔うて居るべき時ではない。
何時迄も無気力、不活発の謗り
を受けているべきではない。諸君よ自覚し給へ!!

さて、すんなりと読めたでしょうか?

ここでちょっとだけ、読みにくい漢字やことばの説明を入れておきましょう

  • 漸く(ようやく)→しだいに
  • 曙光(しょこう)→夜明けの光、夜明け
  • 謗り(そしり)→避難されたり、けなされること
  • 囁き(ささやき)→ひそひそと声をひそめて話すこと
  • 金光璨爛(こんこうさんらん)→金色に輝ききらめく様・金色燦爛(こんじきさんらん
  • 第二の国民→中学の学歴を持つため志願兵の特例資格を有しながら、兵役や軍事訓練もいまだに経験していない17歳以上の若者(徴兵は20歳から)
  • マイト、イズ、ライト→「Might is right」の意味は「力は正義なり」と訳される

大正8年(1919)といいますと、ロシアでは社会主義酷寒あったばかり、日本では日本帝国陸軍が、あの関東軍を中国に送り込みその本部を建設したころでありまして、世は軍国主義が強まり第二次世界大戦へまっしぐらに向かい始めようとしていたころです。

当時の中学5年生というと、旧制中学の最上級生で今でいうと17歳ですから高校2~3年生の文章ですが、今のように誰もかれもが入学できるようなものではなく一つの県でも1~2校しかない学校に入学している、いわばその県の秀才の文章ですから難しのは当たり前と言えば当たり前なのですが、その内容の強い信念と国際情報の豊富さに驚かされるものです。

その情勢をよく理解し、自分は何をすべきかを17~8歳の少年と言うより、若者が一生懸命に主張しているその文章、「空しく桃源の夢に酔うて居るべき時ではない。何時迄も無気力、不活発の謗りを受けているべきではない・・・」という、とても純粋な言葉に良く表れています。

それがまた、わたしはなぜか新鮮なものを見た気がしたんです。

しかし、その結果がどうなったかは、現代のわれわれはよく知っています

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コメント

村松高校は歴史ある伝統校です。
しかし村松町、今は五泉市となりかつての勢いは、薄れてきました。
ところで戦前の尋常小学校・高等小学校・中学・女学校・高等学校・・・などさっぱり分かりません。
つまり何歳からどこの学校に行く?または行けるのか?
大学に行くには、どこを卒業しなければならないのかとか?
分かりやすく説明をしているページなど、ございましたら教えてください。

投稿: もうぞう | 2012年11月 2日 (金) 07:10

もうぞうさんへ

こういう時は「ウィキペディア」ですかね。それの「日本の学校制度の変遷」と言うところに詳しく出ています。

それによれば何度も変化しています。大正8年ごろはほぼ安定期になるようです。
男子=6歳になったら尋常小学校に入学し6年、卒業後「中学校」で5年、

女子=6歳で尋常小学校入学し6年間、次に中学へは行けないので高等女学校へ入学

複雑なようです。

投稿: 玉井人ひろた | 2012年11月 2日 (金) 12:49

引用ありがとうございました。
「もうぞう」さんへ
学校の推移は、概略次のようです。○数字は修学年限です。
糸魚川出身の家内の母がもの忘れすると「もうぞうなったんかやー」と笑っていましたが、辞書を引くと、妄想【もうぞう】座禅などから得られる仏教上の想念、などとあり、当初解釈していた、「耄碌」ではないようですね。
【現在】
小学校→中学校③→高校③→大学→同専門課程
【大正から昭和へ】
小学校→中学校⑤④→高等学校②→大学
  ↓
尋常科⑥→高等科②→就職    
注:
小学校は戦争末期近く国民学校と改称
高等科も多くは青年学校に改編
中学は原則として男子校。女子は「高等女学校」と称した。
ほかに職業養成の「実業学校」や「家政科」等があった。
義務教育は小学校だけ。
幹部軍人養成は
陸軍幼年学校→中2以上
海軍兵学校・陸軍士官学校→中卒から

投稿: ましま | 2012年11月 3日 (土) 11:38

ましまさんへ

まず、学校制度は何度も改変になっていますが、春の入学・卒業だけは継続しているようですね

ただ、東大を中心にアメリカに合わせるように「秋入学・秋卒業」の気風もありまして、もしかすると“伝統の春の入学・卒業”も将来的には改変するかもしれません

投稿: 玉井人ひろた | 2012年11月 3日 (土) 12:26

ましまさま、
玉井人ひろたさま

わかりやすい解説、ありがとうございました。

投稿: もうぞう | 2012年11月 8日 (木) 19:32

もうぞうさんへ

どういたしまして、
それにしても、日本の制度は変わり過ぎですよね

投稿: 玉井人ひろた | 2012年11月 8日 (木) 20:41

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