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2013年6月23日 (日)

毛饅頭という‘妙薬’?

池波正太郎の時代小説に「剣客商売」と言うのありまして、そのなかに「鰻坊主」という一話に聞きなれない“妙薬”の話しが出てきます。それはこんな一場面です

主人公の秋山親子、父親の秋山小兵衛のために町道場を営む息子の秋山大治郎が父親の古い友人(悪友)でもある町医者・小川宗哲のもとへ、父親のための薬をもらいに寄ったときのやり取りから始まります。

小川宗哲
「「(
父親はもう薬はいらぬ)“毛饅頭”でも食べさせれば、すぐさま元気になるわい」

大二郎
「毛饅頭とは、どんな妙薬でございますか?」

わけがわからぬ大治郎が、真顔で訊いたものだから、小川宗哲先生は腹を抱えて笑いだし、こう言って送り出します

小川宗哲
「もうよい。お帰りなされ。訊(き)きたくば小兵衛さん(父親)に訊いたがよい」

そう言われて、大二郎は道場に帰ってきてから後に妻となる女剣士の佐々木三冬と弟子の飯田粂太郎少年に改めて聞いてみます。

大二郎
「宗哲先生が(中略)毛饅頭を食べさせると、すぐに癒ると申された・・・」
「け、まんじゅう・・・・・・?」 「(略)三冬どのは御存知か?その毛饅頭なる菓子を・・・・・・」

佐々木三冬(が、かぶりを振って目をみはり)
「存知ませぬ」 「はて・・・・・・?」 「耳にしたこともありませぬ。それは、どのような饅頭なのでしょう?」 「ふうむ・・・・・・」

大二郎
「(飯田粂太郎少年に)お前は、食べたことがあるかね?」

粂太郎少年
「いいえ、知りませぬ」 「大治郎どの、その饅頭には、何やら薬草のようなものが入っているのではありませぬか?」

佐々木三冬
「では、これより秋山先生の隠宅へまいり、たずねて見ましょう」

大二郎
「さよう、それがよい。では、ごいっしょに・」

そして、十代の若い奥方と隠居生活を送る秋山小兵衛のもとへ向い、大二郎と三冬の若い男女が到着早々に「毛饅頭とはなんですか?」と聞いたので、秋山小兵衛は驚いて飲んでいた茶を吹き出して、二人に確認します。

小兵衛  「大二郎は知らんのか?」

大二郎  「知りません」

小兵衛  「三冬殿も本当にご存じないのですか?」

三冬    「知りません」

本当に知らないことを判って秋山小兵衛はとても真面目な顔で、三冬の方を見ながらその「けまんじゅう」のことを話し始めます。

秋山小兵衛
「‘毛まんじゅう’とは、三冬殿も、女子(おなご)なら誰でも持っている‘もの’、へその下に有る“あれ”でござるよ」

それを聞いて解った二人は真っ赤な顔になってしまいます。

お分かりですね。毛饅頭とは食べ物でも妙薬でもなく女性器の隠語でございました。池波さんの小説には江戸言葉が沢山出てきますが、こういうのも面白い話です

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コメント

こんばんわ。
・「文章」を読んで。
これは、面白い話ですね。

投稿: H.K | 2013年6月23日 (日) 21:16

H.Kさんへ

おもしろいでしょ

投稿: 玉井人ひろた | 2013年6月23日 (日) 21:36

読んでいて、そんな気がしたんですが・・・
このような話は、微妙なので表記が難しいですね。

投稿: もうぞう | 2013年6月24日 (月) 05:02

「饅頭」は隠語で知ってましたが「毛」までつくとは知りませんでした。会話のやりとりが面白いですね。

投稿: 吉田かっちゃん | 2013年6月24日 (月) 11:20

もうぞうさんへ

テレビでは亡くなった藤田まことさんが、いい演技をしていました。でもこの場面はテレビと言うことで無かったと思います。
 
 
吉田かっちゃんへ

池波正太郎さんの世界は意外とこういう色事が多く描かれるのも特徴です

投稿: 玉井人ひろた | 2013年6月24日 (月) 17:32

は・は・は・・・面白いお話。池波正太郎大好きの相棒に早速知っているか確かめて見ましょう。

投稿: 山口ももり | 2013年6月28日 (金) 07:43

山口ももりさんへ

剣客商売の「鰻坊主」ですよ

投稿: 玉井人ひろた | 2013年6月28日 (金) 19:45

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