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2014年3月19日 (水)

祭祀財産(さいしざいさん)

一家の世帯主が亡くなるということは、その故人が権利を有していた固有財産の相続と言う複雑な手続きが残された遺族にのしかかってきます。
それは、法律など知らないというか、勉強する必然性も無い一般人にとってはこの上ないストレスとなり、別れの悲しみを上回りかねません。

私も、父を亡くしたときにそれを味わいましたし、その手続きの際に言い難い思いもしましたが、その代わりにいろいろな法を知ることにもなりました。

故人の財産の中には下記のような特殊なものが2種類存在します。

  1. 相続が一人しか認められていない「祭祀財産
  2. 何人も相続されることが認められていない「一身に専属した権利

1番の「祭祀財産」とは(民法で)‘墓、祭壇、位牌’などを指します。

これは、複数の人間が相続し分割したばあい、祖先の祭祀をするときに不都合生じるので特定の1人に受け継がせることになっていて、これを「祭祀承継者」といいます。

これは、当たり前と言えば当たり前ですね。

だいたい昔から長男などが継承することが主ですが、現在の法律では男女(結婚して姓が変わっていてる場合も含む)の性別に関係なく祭祀財産のすべてを承継することができます。
ただし、姓が変わっている場合なども含め、一部の墓地・霊園では他の相続権利者の同意書の提出を求められることがある

<第897条[祭祀供用物の承継>
(1) 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。但し、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が、これを承継する。
(2) 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

上記のように、祭祀財産を受け継ぐ人は、まず故人が生前に遺言書などによって指定してあれば問題ありませんが、遺族の間での合意がない場合には、家庭裁判所の調停、もしくは審判によって1名が決められることになっているようです。

そしてもう一つ、2番の誰も相続することが認められていないものです。

<第896条[相続の一般的効力>
相続人は、相続開始の時から、被相続人(故人)の財産に属した一切の権利義務を承継する。
但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない

この条文に掲げられた<一身に専属した権利と義務>とは次のようなものです。

  • 使用貸借契約における借主の地位
  • 代理における本人・代理人の地位
  • 雇用契約における使用者・被用者の地位
  • 委任契約における委任者・受任者の地位
  • 組合契約における組合員の地位

さらに、明文規定はないものの,法律解釈上,次のようなものも一身専属権利義務と考えられている。

  • 代替性のない債務(有名画家が絵を描く債務など)
  • 親権者の地位
  • 扶養請求権者の地位
  • 生活保護給付の受給権者の地位
  • 公営住宅の使用権

難しい文言が並びますが、よく考えれば簡単なもので、たとえば’国会議員が亡くなったからと言ってその息子が選挙も無しに議員になれない‘というような、絶対本人以外には認められない権利ですから、相続が不可能なのは当たり前です。

それでも、法で明記しないといけないというのは、過去にいろいろな事案があったのでしょう。

なんだかそう考えると、大昔のほうが簡単だったように思えてくるから、現在の法律はなんとも良いのか悪いの判らなくなります。

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コメント

相続の事は面倒で、その時にならないと解らない事だらけの様な気がします。代々受け継ぐ「物」=「財産など」かねてから次の世代に教えておくべきでしょうね。

投稿: 吉田かっちゃん | 2014年3月20日 (木) 11:10

吉田かっちゃんへ

教えるほうも、教えられる方も、ちょっと複雑な思いにもなりますが、悪いことではないですね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月20日 (木) 16:11

まさに体験したばかりの私ですが、そのような難しい言葉は知らずじまいでした。
もう少しで一応決着しそうです。

投稿: もうぞう | 2014年3月20日 (木) 19:01

もうぞうさんへ

それはよかったですね。私は最終的に10年以上かかりました

投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月20日 (木) 19:21

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