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2014年10月16日

“謎”の『‘日本式’メタボ基準』

2009年10月に日本のメタボリックシンドロームの基準となる数値に対し疑問を呈したブログ記事(『あいまいな規定“メタボリックシンドローム” 』つぶやき古道)をアップしました。↓
http://iwasironokuni.cocolog-nifty.com/komiti/2009/10/post-02f3.html

ちょうど今から5年前の記事になりますが、その間に政権交代や東日本大震災などが有りましたが、日本肥満学会JASSO)が作成し厚生労働省が採用し、このメタボリックシンドローム基準が見直されることは未だに無く、その気配すらありません。 

 【厚生労働省のメタボリック症候群診断基準】

おへその高さの腹囲必須基準=診断基準で絶対外せない数値
性で85cm以上、
性で90cm以上

①中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方(男女共通)。
②血圧が上で130mmHg以上、下で85mmHg以上のいずれかまたは両方(男女共通)。
③空腹時血糖が110mg/dl以上(男女共通)

必須基準の胴囲の数値を超え、さらに①~③のうちで2つ以上 当てはまる場合はメタボリックシンドロームである可能性高いと診断される。

WHO(世界保健機構)の基準と日本の基準が違っているところ〛

  1. 腹囲の基準値が男女逆である。さらに胴囲は必須基準にはなっていない。
    男性⇒90cm以上、
    女性⇒80cm以上
  2. HDLコレステロールが男女別の数値になっている
    男⇒35mg以下
    女⇒39mg以下
  3. 血圧は日本より大きな数値になっている
    上⇒140mmHg以上
    下⇒ 90mmHg以上
  4. 空腹時、糖負荷試験時の血糖およびインスリン抵抗性の評価が必須基準になっている

※必須基準(インスリンなど)とその他の2つ以上当てはめて診断するのは同じ

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態を言い、そのリスクが重なるほど動脈硬化を進行させ、脳梗塞、心筋梗塞などを起こしやすくなることを言います。

日本の基準は世界の考え方と違い、まず胴囲の数値を重視し、必須基準にしてしまいました。
そのことによって「メタボ=肥満」という勘違いができてしまった背景があります。

このことによって、日本では重要な疾病を持ちながら見逃されてしまっている患者が沢山いると言われます。

例えば、日本が必須ににしている胴囲とメタボリックシンドロームの関連性などを研究していた九州大学の久山町研究グループが2006年に提案した内容では次のような研究結果が出されています。

  • 心血管疾患の発症は、男性では胴囲90cmまでの人では発症リスクが低くそれを越すと高くなる傾向があり、女性の発症では80cm~90Cmに集中(57%)していた。
  • 以上のことから、特に女性の場合は現行の基準値の胴囲90cmのままであると、80cm~90cmまでの高リスク数値に当っている非常に多くの日本女の疾患を見逃すことが久山町研究で明かされた。
  • 同大研究グループの胴囲基準はWHOと同じ数値を推奨提起している

とても恐ろしい話だと思いませんか?ですから、大学病院によってはWHO基準を使用しているところも有るそうです(以前のブログで指摘済み)。

実は、アメリカもまたWHOとは別の基準(アメリカの場合は数値が大きい=基準が緩い)ですが、こう言う背景が起こる理由が存在します。

『独立行政法人法国立医療研究センター病院』のサイトより

メタボリックシンドロームは医学的に完成された疾患群なのでしょうか?

残念ながら、なぜ内臓脂肪が蓄積しすぎる人とそうでない人が居るのか、あるいは内臓脂肪がそれほど多くないのに糖尿病と高血圧の両方に罹っていてインスリン抵抗性のある人がいるのはなぜなのか、といった問題は十分に解決されていません。

国際糖尿病学会ではこの点を明確に認めていて、内臓肥満とインスリン抵抗性を「二つの重要な因子」と位置付けています。

生活習慣の乱れすなわち食べ過ぎや運動不足で全てが説明されるのか、遺伝的な要因が関係しているのかといった点は今後さらに科学的に解明していかなければならないといえます

つまり「メタボリックシンドローム」とはまだよく科学的に解明されていないのです。

各研究者や団体、果ては国の法人まで「まだ確立されていない」というのに、今現在も日本では「JASSO」の基準が全国の都道府県の検診などで利用され続けられています。

以前も記しましたが、WHOの基準も日本国内の基準も、なぜか同じ人物(日本医学会の教授)が関わっています。
「なぜ日本は違うのか?」の質問にこの人物「人種が違うから」とか言ったそうですが、なんだか日本全国の多くの医療関係企業や機関からの要望で基準を厳しくして、「医療費の増大(儲け)」の企てに加担しているという理由が本当じゃないか?と思っちゃいます。

5年前に簡単に書いたことですが、早く基準を見直さないと、助かる患者も助からなくなるような、我々が思うより大変な事態になりかねないようです。

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コメント

先ごろこのメタボリックシンドロームの基準について、血圧の上限基準が130というのは低すぎる、「正常値の上限を上147、下94に引き上げる(日本人間ドック学会)」というような話が報道されました。血圧抑制( 降圧)剤の市場はいまや1兆円で、医学界および製薬会社の金づるだという話は以前からされているようです。
“玉井人ひろたさん”のご指摘の通り、メタボ検診の建前と本音はどうもその辺に存在しているような気もしています。

投稿: koji | 2014年10月17日 06:18

kojiさんへ

そう思いたくなる政府と医療界の態度ですよね。
たぶん、当らずとも遠からずというより、そうとう核心に近い推測かもしれません

投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月17日 12:10

検診基準を強化すれば、医療費が下がる。
と言う言い分がありますが、私はそうは思いません。
近藤誠先生じゃないけど、検診が諸悪の根源ではないかとさえ思うのですね。

メタボで数値が改善したら医療保険料を値引く?
なにを馬鹿なことを、
医者にかからなかったら値引く、これが一番効果ありですよ。
もっともこれは、医師会から猛反対されるでしょうけどね。

投稿: もうぞう | 2014年10月18日 19:28

もうぞうさんへ

医療もサービス業という言い方がよくされますが、患者が良く思う方を、医療側が選択するのが本来でしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月18日 19:40

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