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2015年12月11日

野坂昭如 という男の死

有名人が亡くなった報道というのは、それほど大事とは思わないで視る私ですが、野坂昭如氏が亡くなったニュースは少し違いがありました。

野坂氏は、私の母と全く同じ昭和5年(1930)生まれ、つまり平和な時代に生まれ、現在の中学生の時期に太平洋戦争という体験をさせられた世代になり、その年代のために体験はしっかりと記憶に残されたのです。

野坂氏の代表作である「火垂るの墓」、それは戦時中に妹が餓死するという実体験が基になっているものですが、出来上がったアニメ映画を原作者であるのに、野坂氏はあまりにも悲しくて全て視ることができなかったというエピソードが娘さんのコメントとして紹介されていました。

私の母も、直ぐ近くに行われたアメリカ軍の空爆で、歳の離れた末弟を連れ必死に走った実体験、父親が戦死した経験等々、それは生々しい記憶として残っているとものばかりなのです。

ですから、母は戦争の記録映像やそれを基にしたドラマは「視たくない」と言います。

野坂氏の、一貫した考えとことばには反戦、反体制の強烈な思いがいつもあったといいますが、これも私の母と同じです。

<野坂氏の語録より>

  • 「二度と戦争をしないことが死者への礼儀だ」。
  • 2013年に特定秘密保護法が衆院で強行採決されるや、すぐに「書きたい」と反応。
  • 東日本大震災を経ても続く原発依存に警鐘を鳴らした、日本農業の先行きを憂えた。
  • 戦後70年の今夏、副題が「戦争童話集 忘れてはイケナイ物語り」となっている「小さい潜水艦に恋をした でかすぎるクジラの話」で、常に弱いものの命を奪う戦争のありさまを伝える童話12話を収録。

そして亡くなる直前の11月9日午後3時半、「新潮45」連載中のコラムの原稿を編集部に送った文面には↓のような言葉があったそうです。

この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう

その言葉は、文才など無い私の母も同じことを言っています。

それは、戦争の本当の悲惨さを実体験した同年代の共通の思いであることは間違いありません。

ある人に言わせれば「きれいごと」となるのでしょうが、最後までそのメッセージを送り続けることが今だからこそ大切だと野坂氏は訴えたのでしょう。

野坂氏の死は、「また一つ、戦争の記憶が消えた」そういう気がしませんかね。

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コメント

どうして?次々と大切な人を見送って、ちっとも必要とされていない自分が残るのか…(;_;)
悔しくて堪りません(-.-;)

投稿: 空 | 2015年12月11日 17:57

空さんへpencil

それはご謙遜じゃないでしょうか

投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月11日 18:05

まったくですね。
でも戦争は、一部の人が儲かるのでしょうね?!だから無くならない。

投稿: もうぞう | 2015年12月11日 19:23

もうぞうさんへpencil

無くならないのでしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月11日 19:33

したがって「反戦塾」もなくなりません。

70年間、冷戦の代理戦争をのぞいて近代国家間の戦争が1度もないこと、ファシズム政権は北朝鮮以外に見当たらず、排他主義では経済が成り立たないことなど、昔と違う点もあります。

投稿: ましま | 2015年12月12日 07:24

ましまさんへpencil

最近、新たな冷戦、とかいう言い方が出始まりました。反戦塾、楽しみに拝読させていただきます

投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月12日 07:55

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