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2006.07.26

手紙・・・あの日の父ちゃんへ

父ちゃんが倒れた

そう言えば毎日口で荒い息をしながら動いていたっけ

そんなに苦しいのに動いていたなんて・・・

いつ倒れて、息が止まりそうなくらい悪いのに・・・

それでも黙って動いていたなんて、知らなかった

苦しくて、手伝ってほしいが俺に言えなくて目で訴えるしかなかった

「ちょっと手を貸せ」とは言えず恨めしそうに見つめる目が頭に浮かぶ

厳しい俺の仕事を知っていて疲れてるからと気を使っていた

タバコをやめたのも苦しくてひどかったから

バイクに乗らなくなったのも走行中に気を失ったら死ぬから

そんなこととはつい知らずいろんな用を頼んでしまった

こんなに悪かったのに知らなかった

本当に申し訳なかった、気がつかなくて

きょうで4日目

父ちゃんは動くことも、話すこともしない

頼むからもう一度しゃべってくれ、もう一度目を開けてくれ

言うことがたくさん、たくさん、いっぱいあるのだから・・・

    ・・・平成9年の父へ・・・

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