ある老人の礼拝(らいはい)
年老いし老人の死、にこやかな遺影
その同級生の老人が亡きともにお別れにやってきた
杖をつき歩くこともままならないその姿は痛々しいものである
弔辞の紙を片手に、もう片方に杖をもち祭壇に進む
しかし、ままならぬ足は進まず5~6歩の距離をヨタヨタと前へ
ままならぬ自分と、亡くなってしまった友への思い
老人は、弔辞を読む前に「わあああああああ」と、
あたりを気にせず大声で泣き出してしまった
斎場の係りの人たちまで、涙で直視できなくなった
必死に気を取り戻し、祭壇にすがるように弔辞を読む老人
なんと幸せな故人であることかと見ながら
俺にもこんなにして泣いてくれる人は
どれくらいいるのだろうかと、この感動の様子を
遠くの火事を見るように見ている自分がいるのだった
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