「いのち」という漢字、書けますか?
「”いのち”という漢字を正しくかけますか?」こんな質問をされたらほとんどの人はこう答えるだろう
「今年の文字だもの知ってるよ」
「誰でも知ってるじゃないか?書き順は自信が無いけどね」そう言って「命」という漢字を確信を持って書く
教育漢字に照らしても正しく、正解の回答である。「ありがとうございました」
しかし、ここで終らないのがわたしの「つぶやき古道」というブログである。
「いのち」という言葉の由来や語源を見るとこの「命」という漢字が正しいかどうかに首を傾げたくなるのだ
講談社が発行するわたしの愛読書「語源辞典」を見ると次のような説明がある。
「いのち」の「い」の字とは、<生く(いく)>または<息吹(いぶく)>ということを表し
「ち」の字は生存の根源を表す<霊(ち)>からきて、それに「の」がついたもの
つまり漢字にすれば「生の霊(いのち)」または「息の霊(いのち)」ということころだろう
同様な意味で次のような漢字が当てられる
- 息の内(いのうち)
- 生の内(いきのうち)
- 息力 (いのち)
また、解字漢和辞典からいくと老いが変形してできた長生きを表す漢字一文字では
- 寿(いのち)・・となるようだ。
むかしから長生きはめでたくお祝いをした、そのお祝いを言うことを「言祝ぐ(ことほぐ)」といいそれが「寿ぐ(ことほぐ)」に変化し「寿(いのち)」の文字を祝いの意味で「ことぶき」と当て読むようになった
「命」という漢字はまったく出てこないのである。じゃぁ、なぜこの字が当てられたのか?
人間の生(せい)は天の命(めい)ずるところなり
この教えから<天命=いのち=命>と当てられるようになったようだ。
あえて悪く言えば当て字で日本語の乱れたものとなるかもしれないが金田一教授が言う日本語の進化形で「良い当て字は市民権を得る」という典型だろう。
本日は天皇誕生日、国民の多くから祝い祝福される「命」がそこにある。
一方では、忌み嫌われ国民が「消せ、処刑しろ、殺したい」と口をそろえる「命」もある。
これらの「命」、この世に誕生したときもこんなに差があったのだろうか?
尊ばれる命、忌み嫌われ死を懇願される命もやはりわたしと同じ人間の命には変わらないという複雑な社会を象徴する古今東西である。
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コメント
知りませんでした。命って、日本人が作ったのかもしれない字なんですか。「咲く」って言う字も、日本人が作った字ですって。「笑う」って言うのが中国の字です。「山笑う」って言いますものね。色々考えさせられるブログでした。
投稿: 山口ももり | 2006年12月23日 10:01
)山口ももりさん
その情報も面白いのでちょっと見てみたら、
「咲」は草花の名前で、開花がちょうど人が笑って口を開いたところに似ているからこの字を当てて、花が開くことを「咲く」とした。
そう出てました。面白い話をこちらこそありがとうございました。
投稿: 玉井人 | 2006年12月23日 17:12
深いね~
!<(^ー^*)>
投稿: もうぞう | 2006年12月23日 19:34
nanamiです。
玉井人さんのブログは、難しいけれど、「ふん、ふん」と読むのはとっても勉強になりますね。そして楽しいです。知らないことばかりで、年甲斐が有りませんね。コメント下さる方のも読ませて頂き、感心してます。有難う御座いました。
投稿: nanami | 2006年12月23日 19:41
)もうぞうさん
深く掘り下げ過ぎたような気もしてます
)nanamiさん
こんな面倒な記事を読んでいただくだけで頭が下がります。
こちらこそありがとうございます
投稿: 玉井人 | 2006年12月23日 20:59
こんばんわ。
改めて、「命」って、大切な文字であり、自分たちに取って、大切な物ですね。
投稿: H・K | 2006年12月23日 21:03
)H.Kさん
周りの人にとっても大事ですよ
投稿: 玉井人 | 2006年12月23日 22:58
私も知りませんでした。勉強になりました。
投稿: 阿武さんのゆきあたりばったり | 2006年12月24日 17:03
)阿武さん
ありがとうございます。
参考になりましたか?
投稿: 玉井人 | 2006年12月24日 19:57