(七種粥)+(春の七草)≠春の七草粥
今日、小寒で明日は七草ですね。
私の地域では、明日1月7日は「七日正月」と言って注連縄や鏡餅などの正月飾りを取り外し、そして注連縄などは焼いてしまいます。
七草は、その家によって食べたり食べなかったりするのが一般的だったのですがテレビの影響でだいたいの家で食べるようになってきているようです。
昔と違って、1年中なんでも食べられるので七草などを食べる理由は無くなったような気がしますが、慣例行事としては良い事だと思います。
さて、七種粥・七草粥 というものがありますが、これは中国では七種類の野菜入れ煮物を食べる習慣だったようです。
昔、京の公家たちは七種類の穀物でつくる七種粥というのを食べていたそうです。
七種粥(ななくさがゆ)
米、小豆、ささげ、黍(きび)、粟(あわ)、稗(ひえ)、麦、など七種ほどの穀類が入った粥
それらが庶民につたわるにつれ、粥に「春の七草」と入れたものになっていったようです。
ところで、春の七草には諸説あって、私たちが知っているものが正しいとは言い難いのです。
有名な古書に出てくる名前だけ挙げてみても違っています。
- 源氏物語の春の七草
せり、なづな、ごぎょう、はこべら、すずな、すずしろ、ほとけのざ - 室町時代の記録書、「挨嚢抄(あいのうしょう)」の七草
せり、なつな、ごぎょう、たひらこ、ほとけのざ、あしな、みみなし - 万葉集に出てくる春の七草
せり、 - 室町時代に朝廷や公家、武家の行事や法令・制度・風俗・習慣・官職・儀式・装束などのことをまとめた「有職故実書」の中の一つの「公事根源」に書かれた春の七草
若菜、あざみ、ちさ、せり、わらび、なつな、あおい、よもぎ、たで、もずく、芝(し)、すずな
上記のをうまく牧野博士が組み合わせたらしいのです。そしてそれらが指す現代の植物にも諸説あったのを同博士が唱えた説が定説にされたようで、実際は解らないそうです。
たとえば、「ホトケノザ」は「タビラコ」だと思われていますが、2番のように両者は別物として出てきます。
「すずなは青菜または蕪の別称」、「すずしろは(清白菜)大根の別称」という説についても、これらの古文書ができたころ日本には両者とも無く、外国から輸入されたばかりでまだ一般的でなかった‘大根’そして‘蕪’などは違うらしいのです。
いまでも地方によっては「すずな」とは「ノビル」のことを指す言葉となっていることからも、今の考えがずれているような気がします。
そもそも「七色(なないろ)」とは「7色・7種類」のことではなく、古い言い回しでは「いろいろな種類」の事を指す言葉です。
つまり春の七草とは、その年初めに出てくる“いろいろな植物のおいしい若芽”を摘んで食たことのようですね。
またもや、長々と七草雑学を書いてしまいましたが、季節の野菜をおいしくいただければ七草を味わったことと同じになるとお思って良いのではないでしょうか・・ね
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コメント
こんばんわ。
「春の七草粥」ですか。
今まで35年間、食べたことがないですね。
投稿: H.K | 2008年1月 6日 21:39
)H.Kさん
春の七草としては私も無いです
投稿: 玉井人 | 2008年1月 7日 08:17
勤め帰りの電車の窓から、闇の中に“どんど焼き”の炎が見えました。近年随分“どんど焼き”が各地域で復活してきているようですね。
投稿: koji | 2008年1月 7日 19:04
)kojiさん
どんど焼き”は15日ごろ会津でやるもので、この辺でやるのは「塞ノ神」といいますが我が地区は廃止しました。
もともとやっていなかったのをテレビの影響で始めたのですからしょうがないです
そんなわけで我が地域でもそうですが減ってきていると私は見ています。
投稿: 玉井人 | 2008年1月 7日 21:06
今では春の七草粥としてかなり定着していますね。
スーパーでもフリーズドライの七草が売られていたりします。
「塞の神」ですか、うちの地方では「道祖神」の祭と言っています。
二つは同じものという説もあれば元は違うものという説もあるようですが。
どんど焼きが減ってきているのは、火を使うので危ないという判断もありそうです。
東京などでは江戸時代からやっていないようですね。
投稿: 秋ぎつね | 2008年1月 7日 22:09
「塞ノ神」は正式に言うと「塞ノ神道祖神」ですから全く同じものですね
儀式そのものの本当の名前は「左議長(さぎちょう)」と言うんだと菩提寺の和尚に聞いております。
それを各地でいろんな呼び方になって残っているんだそうですよ
投稿: 玉井人 | 2008年1月 7日 22:39
サラダだったのですが…
私も七草を食べましたよ^^;
七草と言っても諸説あること自体知りませんでした。
なのでこの記事を私の成長記録として
リンクさせて頂きました。
すいません。
投稿: hide | 2008年1月 8日 01:28
)hideさん
そうですか、ありがとうございます。昨年アップしようと思ったのですが1年ずれてしまいました
投稿: 玉井人 | 2008年1月 8日 08:29
玉井人さん
うちのトラックバックに入っていたので
最近の記事かと思いきやなんと2008年の記事。
玉井人さんは考古学者か
地域の故事・歴史探究家なのですね。
素晴らしい情報をありがとうございます。
牧野博士、やっぱり偉大な方!
投稿: あね | 2016年2月 3日 17:33
あねさんへ
古い記事にコメントありがとうございます。
この記事では、どちらかと言うと「牧野博士」の考えを否定したつもりでした。
投稿: 玉井人ひろた | 2016年2月 3日 18:29