近くにお医者さんありますか?
先日また救急患者が受け入れ先が無く1時間以上待たされ亡くなってしまう悲惨なことがおきましたね
以前「たらいまわし病院」についてのことを記事にしたところ賛同のコメントもいただきましたが、
「医師の数が少ないのが判らないのか!」
「福島県は無医県になれ!」
などの厳しいと言うより「誹謗中傷のコメント」が相次ぎ、まいってしまいました(今でも紹介サイトから来ている)。
そこで今回は、じっくりと医療機関と国の政策の観点から記事にすることにしてみました。
昭和57年(1982)鈴木善幸総理大臣→中曽根康弘総理大臣(森下元晴厚生大臣→林義郎厚生大臣)のときの政府は・・
- 「このまま医師が増加すれば昭和75年(2000・平成12年)に国民10万人に対し医師210人になり、医師余りを起こす」と予想
これを基にして大学の医学部の定員削減を閣議決定。
(国はその当事医師の人数は国民10万人当たり150人が適正としていた)
さらに、この予測と閣議決定に基づきその後下記の年にも医学部の定員削減が行われ続けたのでした。
- 平成5年(1993)の削減時の閣僚
宮沢喜一総理大臣→細川護熙総理大臣
(丹羽雄哉厚生大臣→大内啓伍厚生大臣) - 平成9年(1997)の削減時の閣僚
橋本龍太郎総理大臣
(小泉純一郎厚生大臣)
ところが・・・
日本政府は救急病院などをどんどん増やす対策に対し、医師は増やさない政策をしていたため平成に入ったころにはもうすでに医師不足が現実に起きてしまっていたのです。
これに対し政府は20年以上前の予測人数を基準にしているため「医師は足りている」を繰り返し強調していました。
しかし平成17年(2005)民主党の激しい追及でやっと小泉内閣のときに「医師数は充足している状況ではない」と、やっと医師不足を認めたのです。 遅かったですねえ、ほんとに!
ところで基準になった予測は現在どうなっているかと言うと「10万に対し200人」となっていまして、当たってはいたんですよ。ただ現代の医療環境がその数字ではまったく合っていなくなっていたのです。
現在日本はOECD加盟国30のうち今年最下位に医師数がなる予測が立てられています。
OECD加盟国の平均は290名(トップのギリシャなどの医師は440名)ですからその差が解ると思います。
アメリカも国民10万に対し医師230名と平均以下なんですが病院の病床あたりの人数にするとすごいことになります。
300床クラスの大病院スタッフ人数の日米比較があります(解りやすくしました)
- 医師を含む病院職員合計
USA=300に対し1710名
日本=300に対し 180名 - 医師
USA=300に対し318名
日本=300に対し180名 - 看護師
USA=300に対5.7人
日本=300に対し0.6人
この数字のような人数を日本の病院が対応をすれば現在の6倍以上の人数がほしいわけです。
考えれば24時間体制で患者一人を見れば最低でも3交代なので医師3名はほしいわけです。
アメリカはそれが常識となっているようですが、日本では医師が24時間たった一人で2名以上の患者を診る計算になるわけです。看護師に至っては10名以上も担当するわけです
奇跡ですよね、これって。国会で歴代厚生大臣に批判の声が起きているのもうなずけます。
20年以上もかかって減らした医師の数、何年かかって正常にできるんでしょうかね
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コメント
医師は多い方が良いと思いますが、そうだと言い切れないと思います。
医師が多いと過剰診療などで、診療報酬が増えることが予想されます。
ただ医療も高度化して、以前の予測より多くの医師が必要になっているようです。
相変わらずの政府の見通しの甘さが露呈した格好となっていますね。
投稿: もうぞう | 2008年2月23日 19:42
こないだどっかの県だか病院で○○科の医師が全員辞めることになり、年収3500万円で募集したとか・・・そこの医師の年収平均が1千何百万円だとか・・・それにしても我々凡人とは天地の違いです。
投稿: 阿武蜂虎蔵 | 2008年2月23日 20:45
こんばんわ。
この話題、「ニュース」で、見ました。
それにしても、「患者さん」を、「たらいまわし」をするなんて、許せませんね。(・へ・)
それに、亡くなった患者さんの遺族側が、怒るのも無理もないですね。
自分も、遺憾の意を感じますね。
投稿: H.K | 2008年2月23日 21:59
)もうぞうさん
すべて数字や背広を着たお偉いさんたちが言う数字で割り切れたら良いですよね
)阿武蜂虎蔵さん
やってましたねえ、たしかそれは麻酔医が全員(2名)一度にやめるため手術ができなくなるからだというものでしたが、すごい金額ですよね
)H.Kさん
救急車が自分の家ノ前から1時間も出ないでいる様子を見ている家族は地獄の苦しみだったでしょうね
投稿: 玉井人 | 2008年2月23日 22:15
医療費は上がる、ローカルの病院や診療所は閉鎖される、わたしたちが受けようとする医療サービスがどんどん悪化して行くようです。慢性の医師不足による過酷な労働をしいられているようなところも確かにあるようです。でも頼みの綱の救急車が病院にたどり着けないというのは、家族も救急隊員の方々も怒りとやりきれなさでとても辛かったでしょうね。『うちが断っても他の病院で見てくれるだろう』なんていう“慣れ”は果たしてなかったのでしょうか。
投稿: koji | 2008年2月24日 09:05
誹謗中傷とは酷いですね。やはり医療関係者なのでしょうか?
「医師の数が少ないのが判らないのか!」、はい、私、今回のブログでよーくわかりました。でも誹謗中傷するくらいなら医療現場の窮状が多くの国民に届くように自ら何かをすべきですね。すくなくとも他人のブログを読む暇があるのなら。
投稿: G4CUBE | 2008年2月24日 10:22
医師が足りないのはわたしもよく分かりました。
医師も大変とは思います。
ただ、G4CUBEさんが仰っているように、誹謗中傷はよく
ないですよねーーー。
医療関係者なのかどうかは分かりませんが、もし、
医療関係者ならば、G4CUBEさんの仰っているように
自ら知らない人々に医療現場の酷い状況を知らせて、
皆で改善出来る様に政府に働きかける必要があると思います。
日本のお役人はだめですねーーー。
数字だけで考えるから。
投稿: 浜辺の月 | 2008年2月24日 11:56
政府の体制が 招いた状況でしたか・・・
会津の小さな村や町では医師不足問題になっていますが
老人の多い昨今 無医村での不安をひしひしと感じます
つい最近も我が家は 近くの開業医に往診に来てもらいました
幸せなことです
投稿: aonami | 2008年2月24日 12:36
人の命が関わるだけに難しい問題ですよね。
確かに、産婦人科・小児科など、高いリスクの割にメリットない専門医の数が少ないように、医療に携わる方々の考え方と、その目指す方向の問題もあるかもしれませんが、現状起こっているその責任を、全て対応した医師に向けるのは少々酷なように思います。
総体的な医師不足・看護師不足など、診療報酬も含めて今の医療現場が抱える大きな問題点として、国レベルでの対応策が早急に必要と思えます。
そういった意味で、玉井人様の調べたデータは驚きです。
医者と患者の数合わせじゃないけれど、お偉いさん方はもっと実態を把握すべきでしょう。
そんな国を動かすのは国民の意志と声。無駄と言われるかもしれませんが、私はそれを信じたい。
投稿: セット | 2008年2月24日 18:08
)kojiさん
お役人がやる公立病院はどうしても経営が税金頼みが多くなり赤字を気にしない傾向がありますよね
そのために近くの県立病院が無くなり困った人たちは多くいたのをもっと県は考えて欲しかったですね
)G4CUBE
そうは思いますが、国の対応が鈍いいじょう言いたくなるかもしれませんね
)浜辺の月さん
結果の数字を見るだけですからね。そうなるまでの過程の原因の数字をしっかりと把握してもらいたいものです
赤字=廃止、この論理がさらに税金の無駄遣いを増やしている気がします
)aonamiさん
報道番組でコメンテーターがチラッと言ったのが気になって検索したら、いろんな方がこの点を指摘していました。
もっと早く指摘して欲しかったですね
)セットさん
大きな総合病院にはこの問題のほかに、支払いのブラックリスト患者も小さい病院から回されてくるという問題も抱えていて、経営的にも非常に複雑になっているようです
それにはまず世論ですね
投稿: 玉井人 | 2008年2月24日 20:59