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2009年11月11日 (水曜日)

森繁 久彌さんと父の思い出

俳優の森繁 久彌さんが亡くなったことが昨日報道されました。
ただ、その報道は「市橋容疑者逮捕」のニュースの影になってしまった感じですね。

森繁 久彌さんの名を聞くと亡き父の若いころの思い出を語ってくれた、その内容がいつも頭に浮かびます

それは戦後でまだ大正生まれの父が若かったころ、森繁 久彌さんはすでに映画で面白い喜劇俳優と言うことで大人気になっていた時期です。
わが村に隣接する本宮町(現在の本宮市)に招かれちょっとした公演をするめにもう一人売出し中の俳優さんと二人でやって来たんだそうです。

人気急上昇中の俳優がやってくることは映画全盛の時代のそのころ、特に小さな町なのに映画館が2件もある映画好きが多い町ですから、近隣の市町村の人々が「スターの森繁 久彌を一目でも見よう」と、会場内外とも黒山の人だかりと集まったそうです

父も数キロ離れたその場所に自転車で近所の友人たちと「本物の映画俳優に会える」と胸ワクワクで出かけて行ったそうです。
会場に着いたら先に書いた通りで立錐の余地も無い状態、立ち見も多く大変な状況であったそうです

それでもなんとか舞台が見える場所に陣取り父たちは森繁久彌さんの登場を心待ちにしていたそうです。
首や体を伸ばせるだけ伸ばしていた若い父たちの格好が目に浮かぶようです。

そして登場、会場は割れんばかりの拍手と歓声、壇上では漫才・コントのような掛け合いが始められたそうです。

そしてしばらくして・・・・異変が会場に起き始めました

会場は静まり返り、一人、二人、そして数人、そしてまた数人、ついにはゾロゾロと列をなして客が帰り始めたんだそうです。

その客たちが口々に言います。
森繁久彌なんてちっともくおもしゃぐねやろだな!た~だ見さ来た。
(訳=森繁久彌なんて少しも面白く無くない奴だ。無駄に時間を使って見に来た

結局、会場はガラガラになっていったそうで、父たちにとっては森繁久彌さんを見るよりその会場の光景のほうがとっても印象的で面白かったそうです。

森繁久彌さんはこの出来事を一度もテレビなどでは話さないどころか福島県と言う言葉さえ口にしないまま亡くなってしまいましたね。
すでにそのころ人気者だった森繁久彌さんにとって最も嫌な思い出だしたくないことだったんでしょうね。

森繁久彌さんがテレビで名俳優と騒がれるのを見るたびに父はちょっと皮肉めいた笑いをしながらよくその話をしていました

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コメント

このニュースは本当に市橋容疑者逮捕の影に隠れてしまいました。

若き日の思い出も意外でしたね。

しかし、その名前と顔、ひょうひょうとした語り口は永遠に私の記憶に残ることでしょう。

投稿: はーちゃんパパ | 2009年11月11日 (水曜日) 15:48

)はーちゃんパパさん

私も父の語りとともに残ると思います。
ちなみにその公演後、南達地域(南安達郡)では森繁さんが出演する作品の人気に影響が出たとか・・・

投稿: 玉井人ひろた | 2009年11月11日 (水曜日) 17:58

昔は大きな町以外は、立派なホールが無かった。
そのためか、映画館や町の中学の体育館などにもやってきました。
当地でも島倉千代子が来たことがありましたね。
他にも来たようですが、思い出せません。

投稿: もうぞう | 2009年11月11日 (水曜日) 20:10

)もうぞうさん

私の覚えているのは学生服姿の舟木一夫(最初は和夫だったらしい)さんが隣町の高校の体育館にきました。司会は「てんや・わんや」のお二人でした
やはりものすごい人だかりでした

投稿: 玉井人ひろた | 2009年11月11日 (水曜日) 22:29

なあるほど・・・わかる気がします。彼はチョットひねった言い方をします。憎まれ口にも聞こえますよね。私は、とても好きっていう感じじゃなかったんですけど。「徹子の部屋」で徹子さんがプロポーズされたって言ってました。お尻に触ったり、一杯割るふざけしたんですってよ。

投稿: 山口ももり | 2009年11月12日 (木曜日) 10:22

子供の頃、娯楽といえば映画くらいで社長シリーズや駅前シリーズも見たような記憶があります。
当時は何が面白いのかよく分からなかったですけどね。
森重久弥さんは随分前に奥様だけでなく息子さんまでも亡くされて寂しい晩年を送られたのではないでしょうか。
ある意味ホッとされているのではと思います。
市橋なんかの方が大きく取り上げられる世の中、どうなんでしょうね…。

投稿: がんさん@大和の国 | 2009年11月12日 (木曜日) 12:25

)山口ももりさん

映が内での役柄と本人の実像にギャップが有ったんでしょうね
だいたい、俳優なのに漫才のようなことを要求した主催者にも問題が有ったのかもしれません
 
 
)がんさん

全くいいのか悪いのか、タイミングがぴったり合ってしまったようですね。
それが無かったら、大きく報道されたことは間違いないです。
俳優より殺人鬼、怖い国になりました

投稿: 玉井人ひろた | 2009年11月12日 (木曜日) 20:45

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