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2010年2月 1日 (月曜日)

理解してますか?「プルサーマル計画」って・・

長らく行われなかった福島県と国のプルサーマル計画の話し合いが再開されることになったようです。
ところでプルサーマル計画とはどのようなものなのか知っているでしょうか?

簡単にいえば原子力発電に使った使用済み核燃料のウラン読み方によってはウラニウム)を再利用してまた原子力発電につかうという“核燃料リサイクル計画”のことを言います。

原子力発電とは・・・
地球の天然資源であるウランの核分裂の時に出るエネルギーを利用した発電です。
そのウラン燃料とは「ウラン235」という燃えやすいウランと「ウラン238」という燃えにくいウランを混ぜ合わせたものを「ウラン235=約5%、ウラン238=約95%」の割合で使うのが基本のようです。

Sozai_51_02この自然燃料のウランを燃やす(核分裂)と幾種類かの「プルトニウム」という同じく物質が出来ます。

実はこのプルトニウムというのはウランより平均して1.5倍ほど核分裂しやすい物質なのです。

このプルトニウムとウランを混ぜてMOX燃料という原子力エネルギーをつくり、少しでも“天然資源のウラン使用を少なくしよう”という核燃料リサイクルの考えがプルサーマル計画のあらましです。

しかし、この計画は原子力安全委員会の事故隠ぺいや関西電力・東京電力の事故隠しに遭い前佐藤栄佐久福島県知事を中心に原発3大県の「福井県、新潟県、福島県」(全国の原発数55基のうちなんと30基がこの3県で占めている)が運転拒否を行いました。

※、佐藤栄佐久知事はプルサーマル受け入れを日本で最初に決断した知事でした。ところが、その後東電が受け入れに当たって県が出した安全条件に違反しため中断されたもので、プルサーマルは最初から反対していたわけじゃないのです。間違った報道にお気を付けください。

そもそも原子力発電とは国の事業なので地元の地方自治体には事故が起きても電力会社に直接意見や質問ができなことになっています。聞きたいことは国の機関の原子力委員会にしか地元自治体は出来ないことになっている、いわば国家権力のモンスター事業なのです。(ただし、現在は3県の知事の強硬な交渉ですこしだけ意見が言えるようになったようです)
さらに、建設された地域は「恩恵が有るのだろう」と思われていますが、優遇処置は建設が終了すると消滅し、原発に隣接する住民には被爆危険だけが残り国からも電力会社からも恩恵は無くなります。福島県の原発が有る双葉町は今赤字で困窮している事実など、このことはほとんど知られていません

とくにこの3県は大阪、東京の大都市の発電所と化しているのに安全については軽視されてきた背景が有ります。
あるシンポジウム(原発所有3県知事出席)での新潟県知事と東京都知事のやり取りにそれが良く表れています

新潟の平山県知事が都知事言い放った>

東京の山手線は、新潟の放射能汚染などのリスクを持って原子力発電所の電気で動いている都民はそのことをもっと重く考えるべきだ

東京の石原都知事が激昂して言い返した>

新潟の、夜は熊しか通らない道路はどこのお金でできている。東京都民の税金だ
「その気になれば原子力発電所なんて東京湾にいつでも建設できるんだ!

まあ~、ばかにした言いようですね

いずれにしてもどんなごり押ししてもこの計画を推し進める本当の理由が国には有ります

  1. NPT核拡散防止条約・核兵器不拡散条約)に加盟している日本にとって使い道が決まらないプルトニウムを大量に保管することになっている現状ではIAEAから核の査察が入る可能性などが出てくる。そうなれば核廃絶を称える日本は世界から信用を無くす
  2. MOX燃料の製造を依頼しているフランスなどでの保管などに対する莫大なコストがかかってしまう
  3. 青森県の核処理施設での保管量が増加しそのコストも莫大になっている。予想では研究費込みで19兆円を超す意見まである。

そしてここからは想像の理由ですので前もって断っておきます。

プルサーマルに使用されるMOX燃料というのは使用済みウランから出るプルトニウムを使用せずに、「劣化ウラン」でも製造されるのだそうです。
劣化ウランとは簡単にいえば古くなった核爆弾のウランです。核保有国はそれらが大量に出てきて処理するのに困っているわけです。

ですから、どことは言いませんが某大国に「プルサーマルに劣化ウランを使用してほしい」と強く要望されているとしたら、もっと焦るんじゃないでしょうかね
あくまで、想像です。

これらの問題は「核燃料リサイクルをやりながら発電もする」という夢のような発電システムの高速増殖炉が正常に安全に稼働すればこれらの問題はだいぶ軽減するのですが、安全が確認できずに止まったままです。

福島県はどんな結論に達するのでしょうか?政権が代わっても原子力委員会や安全委員会の体質は変わっていないような気がします。

<参考>“長崎の原爆はプルトニウム239”、“広島の原爆はウラン235”が使用されて製造されました

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コメント

今朝の福島民報1面に、「受け入れに前向き」という見出しがあり、ハラハラしています。
でも、世の中の大方の話題からは消えていますね。
気にしてる私だって、何もできない、してないですから、えらいことは言えません。
ただ、「地元が良いなら仕方ないんじゃない?」っていう人がいますが、
地元の範囲ってドコだと思っているのか…不思議です。
福島県全体の(実際はそれどころかの)問題とは捉えていないんですね。
原子力発電所のCMはクリーン。雰囲気いいですし。

投稿: ハル | 2010年2月 2日 (火曜日) 09:14

)ハルさん

記事中に書きましたが、国家事業ですから本来国は地元に許可を得る必要が無い事業なんですね
だから前向き=Okと原子力委員会は思っているはずですよ。

だいたい、前佐藤栄佐久知事も「プルサーマル計画受け入れ」を表明していますし、その約束は生きているらしいです。
ただ、同前知事が国や東電に約束させた条件をクリアするかどうかなんですよね

投稿: 玉井人ひろた | 2010年2月 2日 (火曜日) 11:30

電力の大消費地、東京(関東地方)にある原発は東海第二発電所だけ。
それも柏崎刈羽の1/8程度の規模。
不満ですね。

投稿: もうぞう | 2010年2月 2日 (火曜日) 17:07

)もうぞうさん

石原都知事は「作るのは簡単だ」みたいな言い方をしたようですが、国の事業ですから国会議事堂の近くにはテロや被爆が怖くて、国は作らないのを知っていての発言でしょう

投稿: 玉井人ひろた | 2010年2月 2日 (火曜日) 17:40

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