「三蔵法師」て、知ってる?
「“三蔵法師”を知っていますか?」と、聞かれたら仏教に疎い人でもたいていの人は分かると思いますね
それはあの孫悟空などが活躍する「西遊記」に出てくる偉いお坊さんのイメージが有るからだと思います。
西遊記は実在の人物である僧侶「玄奘(げんじょう602~664年)」がガンダーラ(現在のパキスタン)から経典(大般若経600巻)を持ち帰った時の長い旅の記録を書いた「大唐西域記(だいとうさいいきき)」が基になって作り上げられた空想の冒険記です。
いろんな方がテレビや映画でやっていて面白いものです。ちなみにわたしは夏目雅子さんが若い男性僧侶三蔵法師に扮したのが大好きでした。)
初めて女性が男装して三蔵法師になったことでも話題になりました
しかし、これらの西遊記があまりにも有名なため、日本国内では「三蔵法師」について沢山の誤解が出来てしまっていることはあまり知られていな気がします
<誤解その一>三蔵法師の「法師」の読み方は「ほうし」じゃない
三蔵法師の読み方は「さんぞうほうし」というのが一般的ですが、仏教的には「さんぞうほっし」というのが本来の読み方です
ただし「ほうし」と読んでも間違いではないようです。
<誤解その二>三蔵法師は僧侶なので男性しかなれない
夏目雅子さんが有名になり「三蔵法師=女優」のイメージが強くなりましたが、インド中国での本来の仏教では「女性は僧侶になれない」ということになっていますので、三蔵法師は男性です。
<誤解その三>三蔵法師とは個人を指す名前ではない
古代インドの仏典は大きく分けて「経蔵」、「律蔵」、「論蔵」の三つに分けられ、これの総称を「三蔵(さんぞう)」と言います。
この三蔵に精通している僧侶を「三蔵法師」とインドでは言っていたそうです。
それが中国に渡り、インドの言葉サンスクリット語を中国語に翻訳する仕事をする僧侶を「三蔵法師」言うように変化したそうです。
つまり三蔵法師とは個人名じゃ無く「僧侶の役職名」なので、もしかすると数万人もの三蔵法師が居たと想像されますね。
いずれにしても数多くいた「三蔵法師」の中で「玄奘」という人物が16年もかかって中国語(漢語)に翻訳した大般若経600巻は、パソコンも辞書も無い時代にやってのけたのですから「偉業」としか言えない翻訳作業だと思います。
それだけの人物が沢山いたはずのインドや中国では現在仏教者がほとんどいないのは実に不可思議なものです。
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コメント
奈良の薬師寺には玄奘三蔵伽藍というメインの白鳳伽藍とは別の場所があって、玄奘三蔵をお祀りしています。
玄奘と日本は直接の関係は無さそうなんですけどね。
夏目雅子さんの玄奘三蔵、私も好きでした。
投稿: がんさん@大和の国 | 2010年3月24日 12:30
「西遊記」って一体誰が書いたのでしょうか。孫呉空、とか猪八戒と河童のさごじょう・・・・どんな漢字やったかいなあ・・・なんとも愉快な仲間ですね。桃太郎では犬、猿、雉のようですが、あちらさんの方がスケールが大きいのはいなめないですね。
投稿: 山口ももり | 2010年3月24日 15:02
)がんさん
現在は違いますが、「法隆寺」「清水寺」は玄奘三蔵と同じ「法相宗」になっていましたし
玄奘が訳した「大般若経」は曹洞宗を中心に大晦日や正月の護摩焚きには無くてはならない経になっています
)山口ももりさん
かなりスケールは違いますし、ストーリーが語る意味についてもかなり違ってきますね
投稿: 玉井人ひろた | 2010年3月24日 21:13