« 今度はトルコか | トップページ | 蛍と、LEDと、ルーメンとは »

2011年10月24日

日本の名城・南米グァラパリ・鹿島神社・ラドン温泉

今回の記事、タイトルだけを読んだら「何が言いたい?観光か?」と、思うでしょうね)きょうも難しく長々と書いちゃいます

今年3月の震災後に福島県では長崎大学の放射線の影響を研究している教授に「放射線健康リスクアドバイザー」という名目で、県内各市町村で「放射能の人への害について」として講演依頼をしました。

そこで後に問題になった「今すぐには健康に害はないレベルです」というのがありました。
その根拠として挙げられた例に「原爆が落とされた長崎に住んでいますが、私たちは健康です。」というのとつぎのことがよく出されました。

  • 日本は平常の状態でも年間‘ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)’という放射線を常に浴びています。
    外国にはインドや南米などにもっと高いところが存在しますが、平常にに暮らしています・・・・

その話の中に出てきた南米とはブラジルのことで、さらに同国南東部大西洋に面する一大リゾート地でもある「グァラパリ」という町こそが世界中の放射能を研究する人々で知らない人は居ないというほど“高放射線量地域”で有名なところなのです。

その放射線量は年間平均で約ミリシーベルト(5000マイクロシーベルト)、最大で‘約22ミリシーベルト(=22000マイクロシーベルト)’を越える線量を観測するのです。
つまり、リスクアドバイザーの言い方を借りれば「日本の5倍以上も高いところ」ということになります。

「じゃ~そこはなぜ年中放射線量が高いのか?」

研究調査によって、こんなことが判ってきています。

  • グァラパリの町がある地域は巨大な「ペグマタイト鉱脈」の上に存在している。
  • ペグマタイトと言う鉱石には「モナザイト」という鉱石が多く含まれている
  • モナザイトというのはトリウム(核燃料のウラン233に変化する物質)やウラン(主にウラン238)を含有しているため微量ながら放射線を発する
  • 上記のことから放射線が高い理由は地盤にペグマタイト大量に有るからだと考えられる

日本では「モナザイト」のことは「モナズ石」、「ペグマタイト」のことは「巨晶花崗岩きょしょうかこうがん)」、または「花崗岩ペグマタイト」や「放射能性複合花崗岩質ペグマタイト」ともいうようです。

福島県郡山市西田町(こおりやましにしだまち)にある「鹿島神社・ペグマタイト岩脈(←クリックするとフォトが見れる)」というのは隣接する本宮市の旧白沢村までも伸びるかつては採掘されていましたが今は廃鉱になっている鉱脈が有ります。
さらに、福島県で一部避難区域になっている川俣町(かわまたまち)にもモナズ石は有り、そして石川町(いしかわまち)は今でも日本三大鉱脈として、ペグマタイトやモナズ石が採掘されています(石川町ホームページ↓)
http://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/material/04.html

そして花崗岩と言えば、二本松市で菊人形の会場となっている霞ヶ城公園(二本松城跡地)の場所は歴代城主が何度も石垣用の花崗岩を切り出させても無くなることが無いほどの巨大な花崗岩脈の場所です。
石川町にはラドン温泉として有名な「猫啼温泉(ねこなきおんせん)」というのもありまして世田谷で話題になった「ラジウム線」が普段でも多く出ていて“健康に良い”として温泉に入る人が昔からいます。

ということはです。上記の岩脈が有る場所は、地域の放射線量が普段でも高めのところが存在するということなのです。

全国の普段の空間放射線量の表を見ると「北海道、青森県、新潟県、岐阜県、鳥取県、岡山県、山口県」は、他の県より高めの数値(最大で0.1μSv/h以上)が観測されている地域です(次いで0.09μSv/hレベルには長野県、京都府、福井県、鹿児島県がある)。
※、東京など関東地方は「関東ローム層」が有るため岩脈が有ってもそれに遮断されて高い数値が出ない(通常は0.05μSv/h以下)地域になっている

そのどの県にも「名城」と言われるりっぱな石垣のお城が存在しています。つまり石垣用の花崗岩脈が多く存在し、」その花崗岩から微量の放射線が出されていることが要因だと考えられます。この考えは本当にごく一部の人が「花崗岩脈と放射線量」について調べ始めているようですが、大きく取り上げられていません。

これは今まで行政が中国・ロシア・アメリカなどの原爆実験開始後からずっと全国で続けられているモニタリングの数値をいかに公表していなかったかという事実と、我々が平時の放射線量をどれだけ気にしていなかったかということがよく分かるものだと思いますね。

| |

« 今度はトルコか | トップページ | 蛍と、LEDと、ルーメンとは »

コメント

いや~すごいですね~
その内に放射線を題材にして、本が出版出来そうですよ。

投稿: もうぞう | 2011年10月24日 17:23

もうぞうさんへ

福島県人は今いろいろなアドバイザーの講演を聴く機会や、行政からの説明パンフ、ホームページを見て今の自分の環境を判断しています。
ですから、けっこう他県より知識は正確に持っている気がします。
もっと言えば、考えることが最近疲れてきましたね

投稿: 玉井人ひろた | 2011年10月24日 17:31

ペグマタイトの鹿島神社には何度か行ったことがあります。白沢のはずれでペグマタイトを採掘していたところも知っています。でもそこから放射線が出ていたとは知りませんでした。石川町の件は以前にブログを通じて教えてもらったことがありましたが、今回も“玉井人ひろたさん”からいい勉強をさせていただきました。

投稿: koji | 2011年10月25日 07:23

kojiさんへ

いずれも微量で自然界に普通に存在する放射線量ですから問題視する必要は無いのですが、ガイガカウンターなどは敏感に反応する計器なので、そのことを知らず記事のようなところで計測して「ここは高い」と過剰反応することにならないようにと、ちょっとしたアドバイスみたいなものです。

投稿: 玉井人ひろた | 2011年10月25日 08:48

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本の名城・南米グァラパリ・鹿島神社・ラドン温泉:

« 今度はトルコか | トップページ | 蛍と、LEDと、ルーメンとは »