たるひ・・・・・・・つらつら
今年も雪が多く我が家の屋根には30センチほど積もった雪がしっかりと今でも残っています。
わが地域、福島県の中通り地方は豪雪地帯ではないので屋根の雪下ろしなどと言う習慣は無いため積もった屋根の雪はそのまま、根雪状態です。
そのため屋根の雪が連日少しづつ融け出し雫となり、ごらんのフォトのようにつららが沢山出来てしまっています。
そして、長い。1メートルほどのがかなり多くなりました。
昨夜は暴風のため2~3本折れて壁にぶち当たる音で目が覚めました。
ところで「つらら」を漢字で書くと「氷柱」と書きますよね。これって、読み方と漢字に違和感が有ると感じませんか?
「氷柱」の漢字のどこら辺が「つ」で、どこら辺が「らら」なのか、不可思議だと思いませんか?
平安時代の有名な書物、「源氏物語」にこんなうたが出てきます。
「朝日さす 軒の‘たるひ’は 解けながら などか‘つらら’の 結ぼほるらん」
これは、冬の日の朝、暖かな太陽に照らされた軒先の「たるひ」が融ける様子と、それに対し池などの「つらら」は固く張っているという相反する様子を見て、それを恋する人の頑なな心に当てはめて詠んだうたです。
この歌の場合の「たるひ」と「つらら」の意味はこうなります
[たる・ひ]:垂氷
- 雪や水などの水滴が凍って、軒先などに長く棒状に垂れ下がったもの。つらら(広辞苑より)
[つらら]:連連、連ら
- 「つらら」の言いかたは「連連(れんれん)」が転じた「連ら(つらら)」から発生したものではないかと思われ、そのことから氷が連なる様子を意味し、池などに板状に張った氷のことを指したもの。氷。(語源辞典より)
語源辞典によると、日本では平安時代ごろまでは現代の「つらら」のことを「たるひ」、板状の氷を「つらら」と言っていたそうですが、室町時代になるとなぜか呼び方が逆転し、「たるひ」の言い方が無くなって「つらら」となったとのことです。
なぜそうなったかは不明だそうです。
さらに不明なのが「つらら」の漢字に「氷柱」が当てられていることです。
「氷柱」の漢字には読み方を「ひょうちゅう」に換えると「つらら」の意味と、もう一つ別の意味が出てきます
[ひょうちゅう]:氷柱
- 盛夏、角柱形の氷を室内に立てて涼気をよぶもの、こおりばしら(広辞苑より)
家の軒先から下がる「つらら」どうみても‘垂れた氷’で「たるひ(垂氷)」の言葉のほうが合っていますが、滝のようなところにできる巨大なつららはどう見ても「氷の巨柱」です。
その大きさの差はかなり違いますが、どちらも「つらら」であることは間違いなく、それで「つらら」の漢字を「氷柱」のほうに統一した・・・・と、いう私の推論はどんなもんでしょう?
でも「垂氷=たるひ」という言い方と名称、なんとも趣を感じます
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コメント
似たような表現に「なだれ:雪崩」があります。
他に「紫陽花」とか、あとは思い出せません。
投稿: もうぞう | 2012年2月 2日 18:53
もうぞうさんへ
有りますよね。音読みでも訓読みでも当てはまらない漢字って当て字が多いのかもしれません
投稿: 玉井人ひろた | 2012年2月 2日 20:53
とても面白く拝読しました。古今集でしたか?・・有名な歌「岩はしる たるみの 上のさわらびの・・」が・・・「たるひの上の さわらびの・・・」とどちらもあります。この場合、昔は、書き写して詩集を伝えてきましたので、写し手が、原文から無意識に代えてしまった・・・ということでしょうが、こんなケースは一杯あるそうです。垂れる水か、垂れる氷か??どちらが原作か???原帳がない限り調べようはないでしょうね。今のように、印刷も無い時代、伝言ゲームみたいに言葉は変わっていったんでしょうね。
投稿: 山口ももり | 2012年2月 3日 08:43
山口ももりさんへ
同じ源氏物語でも、たるひ ではなくつららになっている者が有ります。
仰る通り写本などで変わったのかもしれませんね
投稿: 玉井人ひろた | 2012年2月 3日 12:29
鹿児島でも「つらら」が観られる地方があります。大口という北部の町ですが、「氷の祭典」といって彫刻などの展示があります。そこでは写真のような「つらら」を観ることが出来ます。それにしてもこの寒さは「すごい」ですね。
投稿: 吉田かっちゃん | 2012年2月 3日 15:25
吉田かっちゃんへ
そちらで、本日-2℃を記録したとかニュースでやっていましたが、水道など大丈夫でしょうか?
投稿: 玉井人ひろた | 2012年2月 3日 15:46