2050年・・・の日本
私の大好きな小説に第二次世界大戦のシュミレーションを基本としたフェクション小説で学研の「歴史群像新書シリーズ」があります。先月もその中の一つを読み終えました。
佐原晃著・「時空改変空母<越後>」というのがそれです。
内容は、2050年の未来で日本とドイツの科学者が開発したタイムスリップできる装置のテストをしていたときにトラブルが起き、昭和49(1974)年の世界に文永12年・至元11年・建治元年(1275)、昭和19年(1944)、2050年(未来)などの違った時代が同居混在する世界になってしまい世界中が混乱する世界が舞台の話しです。
<主な登場人物>
- 田中麻紀子(本名=中田麻紀子・2050年未来世界の物理化学者だが、タイムスリップした際に田中角栄の養女なる)、
- 田中角栄(総理大臣)、
- 笹川良一(日本船舶協会長)、
- 石原慎太郎(悪の国家公安委員長)、
- 立花 隆(田中角栄を追うジャーナリスト)、
- 小沢治三郎(日本統合海軍海将・第一艦隊司令官)、
- 鞍馬鉄山(日本統合海軍一佐・空母<越後>艦長)
- 森下信衛(日本統合海軍一佐・第一艦隊旗艦<大和>艦長)、
- 宇垣 纒(日本統合海軍海将・第二艦隊参謀)、
- アドルフ・ヒトラー(ドイツ帝国総統、アメリカ合衆国総統)、
- ヨシフ・スターリン(ソビエト連邦最高指導者)
- チンギス・ハーン(モンゴル帝国皇帝)
※「統合海軍」とは帝国海軍と海上自衛隊とが統合したものであるように、( )内の身分は実史ではなく小説中のものです。
登場人物を見れば各時代の歴史に残る人物ばかりで、それが同じ時代に登場する世界ですからその混乱した様子は少し想像がつきましょうが、これ以上の内容は未読の人がいるでしょうからやめておきます。
それはさておき、こういう歴史フィクション小説と言うのは実史を著者がよく調べてあるもので、ときに予言がなされている未来のことの可能性が非常に高いことが多く書かれています。この「時空改変空母<越後>」にもその2012年の世界から2050年までに起こった日本の歴史が記されてありまして、それが実に真実味があるんです。
あくまでも“小説の世界の日本”のこれから起こる歴史ですが、面白いので紹介します。
その1>‘TPP参加によって地デジ放送が消滅’
日本はTPP参加を決定、それによってアメリカの大手テレビ局のABCやNBC、そして大手映画会社までも日本政府にTPPを盾に(地デジのようにアンテナ施設が要らない)有線ブロードバンドによるテレビ放送自由化を迫る。日本がそれを認めることになったことで、日本国内の地デジを利用した局や地方局の視聴率は激減し、2030年代には日本の放送局そのものが無くなっていき、2050年には全て有線テレビ(ケーブルテレビ)が主流となってしまった。
その2>‘原発反対から国内電力供給は不安定になり国内産業は低下していく’
2011年3月11日の大震災(後に東日本大震災と名付けられる)の津波によって起こった福島第一原発事故を受け、日本は原発反対・廃止論が巻き起こりそれに代わる電力を求める世論が高まる。
しかし、直ぐに使えたのは火力発電であるため後に度々起こる中東での紛争のため石油の安定供給が滞りがちになり、それによって火力発電所の電力供給も不安定となっていった。
再生エネルギーとして期待された太陽光発電や水力発電は自然環境に左右され安定供給ができない。
風力発電は電力にむらが有り、さらに「低周波による健康被害」があるとして以前からあった反対運動がさらに続発して計画は進展しない。
波力発電は、風力と同じく電力供給にむらが有り安定しない地熱発電は、その場所に(ほとんどが国立公園や温泉施設の源泉になっているため)環境保護の規制が多いため、2012年から環境保護法改訂などが検討されるが自然保護団体や観光産業の地元民やそこの政治家などの強い反対運動が起こり進展せず、法改正が成立するまで30年を要してしまったため、2050年でも未だほとんど発電ができていなかった
2030年には大阪大学が「核融合炉発電」の実用化に成功するが、世の中の人々は従来の「核分裂炉」との違いが理解できず「原発反対」の運動によって、核融合発電所は建設ができない。
このことによって日本国内では電力不足が日常茶飯事になり、国内での大規模停電は珍しいことではなくなり、それによって産業は衰退してしまった。
ここで出て来る「核融合炉」は単純に言えばレーザーのことで、今年の2012年7月、アメリカのローレンス・リバモア国立研(カルフォルニア大学が管理)内にある、国立点火施設 (NIF) がレーザ—光線 192 本を放射する実験に成功しています。
この研究は、日本では小説に出て来る「大阪大学」で実際に研究が進んでいます。
核融合による熱とは、太陽の熱の発生の仕組みと同じなの「小さな太陽」と言うような言い方がされます。
これは、プルトニウムの様な高放射線量の物質を使うのではなく「水素」を使うもで、放射線がほぼ無いとも言われる‘夢の原子力発電’でもあります。
これが、小説の中の2050年の日本ですが、まんざら想像だけに終わらない気がしませんか?
小説家の想像は、実にリアルで面白いです。
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コメント
なんか面白そうなSF?
でもこの記事を読むだけで精一杯のもうぞうとしては・・・
無理です。
投稿: もうぞう | 2012年12月11日 (火曜日) 19:41
もうぞうさんへ
登場人物は、大体わかりますよね。
投稿: 玉井人ひろた | 2012年12月11日 (火曜日) 20:26