玉蜀黍
タイトルにもなっています「玉蜀黍」という漢字、これは難読の一つでしょう。これをすんなりと読めた人はほとんどいないと思います。
これは「トウモロコシ」と、読みます。
このように、今はカタカナで書くのが常識になってしまいましたので、漢字表記を目にしたことも無いはずですから、読めないのが当たり前だと言っていいと思います。
なぜ、こんな難しい漢字がトウモロコシに当てられたかと言うと、ちょっと面白い話が存在します。
トウモロコシはポルトガルから伝わったものだそうですが、日本にはそれ以前に中国から「モロコシ」という穀物が伝わっていて、食べられていました。
←がそれです。
モロコシ>(蜀黍、唐黍)
イネ科ソルガム属(モロコシ属)の穀物。
日本では「タカキビ」、中国ではコーリャン(高粱)と呼ぶことが多い。
これは、当時の中国=唐から伝わった「黍(きび)」ということで「唐の黍」⇒「唐黍」の文字が当てられ、唐のことは「もろこし(唐土)」とも言っていたので、「モロコシ」と呼ばれるようになったそうです。
そのモロコシの言葉が独立して有名になっていたころに、現在のトウモロコシが伝わったのですが・・・
そのことで、ある問題が生じたのです。
16世紀ごろ、トウモロコシはポルトガル人から持ち込まれたのですが、「トウモロコシ」は、以前からある「モロコシ」によく似ていたそうで、そのことから、「舶来」という意味をもつ「唐(トウ)」の文字を冠して、「唐のモロコシ」で「トウモロコシ」と呼ばれるようになりました。
ところがです。これを漢字にすると「モロコシ」の漢字「唐黍」に舶来を意味する「唐」を付けることになりますから、「トウモロコシ」の漢字は「唐唐黍」となってしまったわけです。
そこで、モロコシを表す別の漢字「蜀黍」と、黄金色の実が美しく並んでいることから由来する「玉黍(たまきび)」の漢字を合成して「玉・蜀黍」でトウモロコシと読ませるようにしたようです
それで、出来上がった漢字が「玉蜀黍」というわけです。よく考えられた漢字ですね
ちなみに「玉」とは宝石の意味もあり、黄色の宝石が並ぶ美しい黍ということで、渡来当初は「玉黍」とも呼ばれていたそうです。
その他にも、同じく舶来の意味を持つ「南蛮」の文字を当てた「南蛮黍」という別名もトウモロコシには有ったようです。
今でも地域によってはトウモロコシのことを「トウキビ」というところもあるんじゃないでしょうか。それは本来違うものなのですが、後から入ったトウモロコシがそれだけ好まれて食べられた証拠ですね。
わが地域でトウモロコシのことは「トウミギ」と言いますが、各地にいろいろな名称が有るそうです。
外国物は、最初名前など知らないので、好き勝手に言っていたんでしょうね
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コメント
「玉蜀黍」漢字変換で出てきましたよ。叉一つ知識が増えました。ちなみに、鹿児島では食用は「トウモロコシ」、飼料用のは「トウキビ」かなぁ?
投稿: 鹿児島かっちゃん | 2013年2月22日 10:59
鹿児島かっちゃんへ
南国の黍と言うと真っ先に思いつくのは「サトウキビ」ですが、フォトのモロコシと似ているんじゃないでしょうか
投稿: 玉井人ひろた | 2013年2月22日 11:51
「玉蜀黍」はなるほど、PC候補の3番目に出てきますね。
植物や動物名などは、どんどん漢字を使わなくなってきています。
漢字の方が分かり易い場合もあるんですけどね。
投稿: もうぞう | 2013年2月22日 19:00
もうぞうさんへ
解りやすいものも多いですが、難読もまた多いようです
投稿: 玉井人ひろた | 2013年2月22日 19:52