「日本国憲法96条」は変えてはならない
読売新聞社が衆参両院の全国会議員を対象に「憲法改正」について実施したアンケートのうち、安倍政権がやろうとしている「憲法96条改正に賛成するか?」について次のような結果が出ています。
- 自民党は96%
- 日本維新の会は98%
- みんなの党は96%
- 民主党は25%
- 公明党は11%
※公明党は96条の先行改正についても、9条に改正についても与党ながら共産党や社民党と同様に反対の立場を表明している
※調査では衆参両院の全議員716人(欠員5と参院山口選挙区補欠選挙当選者を除く)のうち、439人が回答した。回答率は61%。
日本国憲法96条とは第5章にある憲法の改正のやり方を定めた条項です。
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。
この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
(※2013年5月現在の議席数は、衆議=500、参議=252)2.憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
同じことを一般国民へ聞いたものを見ると、憲法9条は改正するという人はかなりいますが、憲法96条に関しては大半が反対と出ています。
かなり、この96条改正案に関しては国会議員と一般国民との間に差があることがよく分かります。
憲法とは、その国の法の根幹をなすものであり、そう易々と変えられては困るものです。その要が憲法96条ということです。
それを変えようという考えは危険な発想だと思いますし、96条改正には反対です。
ちなみに旧憲法下で改正を記した第73条の内容もほぼ似たような感じになっていまして、その旧憲法に基づき現在の新憲法が昭和22年11月3日(文化の日)に公示され、翌年23年の5月3日に施行されました。その記念日が本日の憲法記念日ですね。
第73条 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スル必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
(※、昭和23年の憲法改正議決当時の両議員数は、衆議=466、参議=250)
昭和21年(1946)4月10日には第22回衆議院議員総選挙(この時初の女性代議士が39名誕生)、翌年昭和22年(1947)4月20日には第1回参議院通常選挙(このとき選挙区の1位当選者の任期は6年、2位当選者の任期は3年と分けられた)と、4月25日に第23回衆議院総選挙とが連続して行われました。
いずれも、日本史上初めて女性が選挙権を持ち投票するといともに、有権者は25歳以上から20歳以上という近代選挙と全く同じになった選挙によって、選ばれた衆参両議員によって新憲法は成立したのです。
憲法9条成立には当時の幣原喜重郎内閣(進歩党)の強い信念が、そして憲法25条には当時の森戸辰男衆議院議員(社会党)の思いが強く反映され成立しました。
日本史では天明7年の徳和家斉が11代将軍就任の年、つまりすでに200年以上も前の1787年発効された世界で最も古い成文憲法の「アメリカ合衆国憲法」、その改正について和訳するとこう記されています↓
<アメリカ合衆国憲法 第5章[改正]>
連邦議会は、両院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、3分の2の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、4分の3の州の立法部または4分の3の州における憲法会議によって承認されたときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が定める。但し、1808 年より前に行われるいかなる修正も、第1 章第9 条1 項および4 項の規定に変更を加えてはならない。いかなる州も、その同意なしに、上院における平等の投票権を奪われることはない。
(※2013年現在でアメリカには50の州があり、州ごとにも独自の憲法を有している)
解り難いでしょうから要約すると、改正案の申請を担当委員会が議会にかけるべきか審議、そこで決まれば連邦議会で発案するかどうかを審議、発案されると連邦内の全州に審議され、4分の3以上の州で承認されると、改正案は憲法として成立することになります。
今までアメリカでは11000回以上の申請が有り、その約99%が最初の担当委員会で却下されているそうです。今まで修正や追加などの改正が承認されたのは18回(昭和20(1945)年以降では6回)になっているようです。
これを見て改憲推進派の方々は「日本は60年間一度も無いのは異常だ」と言いますよね。私からすれば、120年間に1回の改憲だが、それは憲法全体が改変されたのだから日本の方が凄いとも思えるんですがね。回数じゃないと思えるんですよね
いずれにしても、憲法の改正を記した条文には手を付けていないことを注目してもらいたいものです
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コメント
2/3とは、0.66666666666・・・
なんですよね。
0.7より小さいんです(当たり前ですが)
投稿: もうぞう | 2013年5月 3日 (金曜日) 20:14
もうぞうさんへ
そうですよね。
投稿: 玉井人ひろた | 2013年5月 3日 (金曜日) 21:03
戦争をしたがっている勢力が、中国や韓国を刺激したりする言動、そして憲法をなし崩しにしようとしている!としか思えないのです
あくまでも阻止せねばなりません!
投稿: 空 | 2013年5月 3日 (金曜日) 23:31
空さんへ
新憲法作成段階では日本側からの草案の中の一つに「2分の1」というのが有ったそうですが、それは不適当であるとして無くなった経緯があり、やはり今のままの96条が良い、もしくはもっと厳しいものでも良いと思います。
民法じゃなく憲法ですからね
投稿: 玉井人ひろた | 2013年5月 4日 (土曜日) 07:57