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2013年10月15日 (火曜日)

続・・・生きがい

昨日の記事で、被災避難者の自殺が福島県は最も多いことを書きましたが、その根本原因が「生きがい」の喪失であることも書きました。

仮設住宅でよくテレビで紹介される手芸や趣味に集まる人はほんの一部の人だけで、その人たちは元々、震災前も何らかの形で同じようなことに参加したりしている場合が通例です。ですからほとんどの人はそういうことに参加せず“集団孤独”を味わって過ごしていると言われます。
そして喪失感からくる自殺、孤独死がおこります。

その生きがいについては、世代間差、地域間差、男女間差、があることはご承知の通りです。それ故に、解らない人にとっては「なぜ、参加しないのだろう?」と思うことでしょう。

一人でいても“わが家(わが土地)”に住んでいれば、人は生きがいを見つけるものなのです。

「限界集落」という言葉を知っていると思います。若い人が一人もおらず、高齢者だけで住む集落を指して、マスコミや学者など、俗に言う知識人が作って名付けた言葉です。

しかしそこには、「私たちのような生活環境が素晴らしいところである」という固定観念から、知ったかぶりのマスコミや学者などが集落を見下ろし侮蔑した言い方であることを知らなくてはいけません。

なぜなら、そこに暮らす高齢者などは誰一人として「限界集落」だと思っていないし、一人暮らしの高齢者は孤独なんて感じていないし、むしろ都会の暮らしの方に嫌悪感を持っています。

それはなぜか、都会や若者や知識人から見ればコンビニも無い山ばかりでさびしく暗い場所に見えるその集落に、その人たちには理解できない‘毎日を楽しくする生きがいがある’からなのです。

それは、親や祖父、先祖から何百年も流れ営まれる自然界と人の息遣いとも言えるものでしょうか。
言い表す言葉が見つかりませんが、そこにいれば、一人でも孤独じゃないのです。

“仮の住まい”には、無いものです。

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コメント

おっしゃる通りだと思います。ましてや震災を経験した人にとっては、他人には解らないことばかりだと思います。

投稿: 吉田かっちゃん | 2013年10月15日 (火曜日) 16:20

なるほどね~
素晴らしい論文だと思います。

投稿: もうぞう | 2013年10月15日 (火曜日) 20:13

吉田かっちゃんへ

仮設も、やはり他人様の家、居心地がいい訳がないです。住む期限を切られますからね
 
 
もうぞうさんへ

「開沼氏」のほぼ受け売りですね

投稿: 玉井人ひろた | 2013年10月15日 (火曜日) 21:27

今頃になってしまいましたが(;一_一)

私もこの8月に南相馬に行った時に、市会議員の
人から「仮設」での自死率はかなり高いと
言うことを聞きました。
公表されない自殺も多いようです。
また、今まで元気だった人でも震災後に
「認知症」が出たり、程度が高くなったりと・・。

おっしゃる通り、生き甲斐や夢を持てない人生は
人間としてこんなにつらいことはありません。

今日はいわき市の港から2年半ぶりに試験操業で
あっても漁業が開始された漁師さんたちの
力強い笑顔、不安はあってもがんばるぞ・・と
いう笑顔をテレビでみました。 あんな笑顔をどなたにも見たいものです。
http://queue-pin.tea-nifty.com/

投稿: あね | 2013年10月18日 (金曜日) 23:44

あねさんへ

漁師さんは、海に出ていること、農家は自分の農地に出ていること、それだけでいろいろな考えが頭の中で回転するのです。それが生きがいというものです

投稿: 玉井人ひろた | 2013年10月19日 (土曜日) 16:23

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