喪中・欠礼の葉書の文
喪中で欠礼葉書を出す場合に、印刷を業者に頼む場合も幾通りかの文面から選びますが、自分でやる場合もその文面は大体同じですよね。
<その1>
喪中につき年頭の(年末年始の)のご挨拶を ご遠慮申し上げます
<その2>
喪中につき年頭の(年末年始の)のご挨拶を 失礼させていただきます
上記の二つの言い方が、最も多いのではないでしょうか。JP郵便局の印刷サービスの書き出し文面もこの2種類が主になっていました。
さて、二つのうちで最初のあいさつ文である<その1>の文が「変だ」、「間違っている」、「相手に無礼だ」という方がおられるのです。
<その1>のどこが‘変で、非礼で、間違っている’と言っているか解る人は居るでしょうか?
わたしは判りませんでしたし、その理由を読んでも最初はピンときませんでした。
どこが変かと言うと、「ご遠慮申し上げます」の部分だというのです。
そのだめな理由はこうです。
理由1>「遠慮」というものは、‘する’ものであって、‘申し上げる’ものではない
- 広辞苑で調べてみても、下記のような意味となっている。
③公の秩序を考えて出勤・謁見・祝い事などをさしひかえること
④それとなく断ること。辞退すること- 上記から・・・
自分から「遠慮」つまり辞退する時の言い方にするなら「遠慮する」「遠慮いたします」あるいは丁寧に言えば、「遠慮させていただきます」にするのが正しい理由2>通常街で見かける「ご遠慮申し上げます」の用法は相手への‘強い拒否と命令’を表わしている
- 店内での喫煙は‘ご遠慮申し上げます’ (=店内禁煙)
- 当店で両替は’ご遠慮申し上げます’(=両替お断り)
- 車庫前につき、駐車‘ご遠慮申し上げます’(=駐車禁止)
理由3>「ご遠慮」と丁寧語で書いてしまった時点で、自分がする遠慮ではなくて相手方のする遠慮という事になっている。
- 相手方に遠慮を求めているのだから、意味としては「遠慮しろ」「遠慮を申し付ける」「遠慮しなさい」であり、丁寧に言えば、「御遠慮下さい」と言っていることになる。
つまり、上記の理由から「喪中につき年頭のご挨拶をご遠慮申し上げます」と書いた場合、乱暴な言葉に直すと「おれは喪中なんだから、お前は年賀状なんか間違ってもよこすんじゃないぞ」と言い放っていることになるというのです。
そう言われれば、その1のあいさつ文はなんと無礼な文脈だなと、思ってしまいます。
これらのことを言っている方の中には浄土真宗の僧侶の方も含まれていますがどう感じるでしょうか?
ちなみに、その2のほうを乱暴な言葉に直すと「年賀状は受け取るが、喪中だから俺は挨拶しないぞ」というような感じなるようです)
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コメント
ご遠慮申し上げます、というのは
確かにきつい感じがしますねぇ。
「遠慮させていただきます」のほうが、理に
かなっている。
こう考えると、まだまだ日本語の遣い方が
おかしいのはぞろぞろ出てきますねぇ。
ただ、言葉も生き物だから定着
しちゃうとだれもがおかしいと思わなくなる。
若者が使うその年代の言葉なんててんでおばんには
通じん。
今日、NHKをみていて驚いたのは
「マタハラ」、わかりますかぁ?
こんな言葉はふる星のごとくある。
投稿: あね | 2013年10月 3日 (木) 20:45
あねさんへ
金田一先生も「言葉は変わる」とおっしゃっていますので、そうなっていくんでしょうね
投稿: 玉井人ひろた | 2013年10月 3日 (木) 21:39
この場合<理由1>の③の差し控えるに該当するのではないかと思います。相手に対して、自分がする遠慮なので“ご遠慮”と言っているのではないでしょうか。
例えば、葬儀などの喪主あいさつで『遺族を代表し、一言ご挨拶を申し上げます。』が定例分のようになっていますが、この論法でいうと、自分がする挨拶を“ご挨拶”とはなんだということになってしまします。
言葉の性質上、様々な意味に取れる場合、その場に一番適した意味に、受け手側が理解することが大切かと思います。
投稿: koji | 2013年10月 3日 (木) 23:50
たしかに納得いたしますが、
○○させていただきます。と言う言い方は、多く使われます。
でも個人的には、くどい感じがして好きになれません。
投稿: もうぞう | 2013年10月 4日 (金) 07:06
は・は・・・・ん・・・こんなこと最近までそう気を使わなかったような気がします。拡大解釈やあげあし取りか・・窮屈すぎます。放送禁止用語なんかも、問題大いにありです。政治家の言葉使いもやたらへり下ったりした言葉が嫌味です。いちいち型にはめることに反対です。大体おおらかにうけとめるべきで、言葉によるハラスメント???そんなの脆弱すぎ!!!言論の自由って、大変な犠牲の上に勝ち取った権利なんですよ。
投稿: 山口ももり | 2013年10月 4日 (金) 08:00
kojiさんへ
そうなんですよ。

つまり「ご遠慮」は丁寧語じゃなく、相手に対する‘謙譲語’であるということですよね。
ネット上でもこの丁寧語と考えるか謙譲語と考えるかで自分へか相手へかというふうに正反対に解釈されることが争論になっていました
もうぞうさんへ
敬語や丁寧語を重ねられた言葉ほど気持ち悪い言葉無いですよね。少なくともわたしはそう感じます

山口ももりさんへ
結論から言えば、どんなふうに書いても相手が「え!?」という思いをすることがおきてしまうことであり、それは受け手の感情でどうしようもないことです。
つまり、よほど失礼な言葉が入っていない限りこういう手紙などが‘儀礼’として考えてもらうのが一番でしょう
一部でこういう話が出ているからでしょうか。最近は例文の<その2>が圧倒的に多いようです
投稿: 玉井人ひろた | 2013年10月 4日 (金) 08:15