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2013年11月 9日

年間の追加被ばく線量が20ミリシーベルト

きょうの地元紙の朝刊の一面には↓の記事が躍っていました。

原子力規制委員会田中俊一委員長)が福島の追加被ばく線量に関して、「年間の追加被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はない」という見解を提言を盛り込む方針を固めたことが11月8日分った。

この数値、思い出しますよね。事故後の4月に民主党の菅直人総理大臣政権もこの数値を発表しましたよね。

その発表の際に決定省庁を全くマスコミは掲載しませんでしたが、この数値を発表したのは、当時の国際放射線防護委員会(ICRP)が示した「原発事故などの緊急事態における年間被ばく線量年間100ミリシーベルト以下の基準からすれば、現在の日本は20ミリシーベルト以下の基準にしても良いのではないか」という意見を参考にし、文部科学省が決定し発表した数字でした。

その理由は全国の学校を所管する文部科学省が「なるべく親と子供たちが離れ離れの避難生活とならないように」という子どもたちのために考えた、安全であるという数値として打ち出したものでした。

しかし、その結果は野党を始め、マスメディア、ほとんど全国の親たちから猛反発を受けてしまいましたことは承知の通りです。

さて、今回は国民の圧倒的支持で政権を戻した自民党の安倍政権からの‘全く同じ数値’の発表です。

いかが相成りますでしょうか?

  • 福島県庁からは
    「年間1ミリシーベルトを目標に除染が進められている現状で、科学的根拠など、その基準を決めた納得できる理由が無ければ、県民には受け入れられないだろう
     
  • 福島県内市町村長
    「今までいろいろな議論があったが、すべての県民の理解が得られることが大事だ」
    「規制数値が緩められても1ミリシーベルトが独り歩きしている現状では、帰還する人もさほど増えないのではないか?」

などのコメント記事が載せられていましたが、その一方で

  • 伊達市の仁志田昇司市長
    「年間1ミリシーベルトの数値は現実的ではなく、5ミリシーベルト以下が妥当と考えていたので、今回のは歓迎できる」
     
  • 長崎大学高村教授
    「国際的基準でも妥当な基準値であると思う。ただし、福島県民に納得できる説明ができるかが課題となるだろう」

原発事故以来、頑なに政府の基準を信じられないとしてきた人々や団体からは、猛反発が再燃することは必至でしょう。

その方たちが必ず根拠とするのが事故から約2か月後に出された日本医師会の文部科学省への見解です(↓のURLはPDF文書です)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110512_31.pdf

 2011年5月12日<社団法人 日本医師会>定例会での見解発表内容

文部科学省は、2011年 4月 19日付けで、福島県内の学校の校庭利用等に 係る限界放射線量を示す通知を福島県知事、福島県教育委員会等に対して発出した。この通知では、幼児、児童、生徒が受ける放射線量の限界を年間 20ミリシーベルトと暫定的に規定している。
そこから 16時間が屋 内(木造)、8時間が屋外という生活パターンを想定して、1 時間当 たりの限界空間線量率を屋外 3.8 マイクロシーベルト、屋内 1.52 マ イクロシーベルトとし、これを下回る学校では年間20ミリシーベ ルトを超えることはないとしている。
しかし、そもそもこの数値の根拠としている国際放射線防護委員 会(ICRP)が3月21日に発表した声明では「今回のような非常事 態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、1~20ミリ シーベルト/年の範囲で考えることも可能」としているにすぎない。
この1~20ミリシーベルトを最大値の 20 ミリシーベルトとして 扱った科学的根拠が不明確である。また成人と比較し、成長期にあ る子どもたちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はより 慎重であるべきと考える。

成人についてももちろんであるが、とくに小児については、可能 な限り放射線被曝量を減らすことに最大限の努力をすることが国の 責務であり、これにより子どもたちの生命と健康を守ることこそが 求められている。
国は幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入 れ替えるなど環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者 に対して検討を進めるよう通知を出したが、国として責任をもって 対応することが必要である。国ができうる最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の 減少に努めることを強く求めるものである。

さらに、文科省が5月11日付で出した事務連絡「実地調査を踏まえた学校等の校庭・園庭における空間線量低減策について」にも言及。この通知は、幼稚園・保育園の園庭、学校の校庭、公園等の表面の土を入れ替えるなど、環境の改善方法について、福島県下の学校等の設置者に対して検討を進めるよう求めているが、同常任理事は、経済的支援も含め、国として責任をもって対応することが必要だとして、「国が出来得る最適・最速・最大の方法で、子どもたちの放射線被曝量の減少に努めることを強く求めるものである」との日医の見解をもって、文科省に対し申し入れを行う意向を明らかにした。

じつは、原子力規制員会の田中俊一委員長は福島県伊達市出身の方なんですが、故郷を思い相当議論や検証を重ねたことは間違いないと思います。個人的には信じたいですね

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コメント

こんばんわ。
とにかく1日も早く、被ばく線量が無くなると良いですね。

投稿: H.K | 2013年11月 9日 20:17

H.Kさんへ

それが理想ですが、現実的考えではもっと別な方向に進むべきでしょう

投稿: 玉井人ひろた | 2013年11月10日 08:01

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