幻滅・・・アメリカの‘トモダチ作戦’
東日本大震災が起こった直後から各国から救援隊が駆けつけました。そのなかでも目立ったのが、アメリカ軍の海兵隊を中心にして行われた援助活動です。
「トモダチ作戦」と銘打ったその活動はありがたいものでした。あのとき、その援助活動に志願する兵士が殺到したことを報道で知って、涙が出るくらい感動しました。
それに対しマスコミは、当時の管総理や民主党政権が始めにアメリカの援助を断ったことについて激しく批判していました。
実は、総理官邸では隊の指揮系統が混乱している被災地でアメリカ軍がこのまま援助活動のため入ってきた場合、アメリカ軍に主導権を全て牛耳られてしまい、現場と日本はかえって混乱し悪影響が出る恐怖を感じていたそうです。そのために、どこにアメリカ軍を回すか検討する時間を取ったのだそうです。
でもその官邸の不安をよそに、活動が終わりヘリで帰るアメリカ兵士へ、被災地の子供たちが、校庭などに大きな「ありがとう」の文字を作り感謝の気持ちを贈り、受けたアメリカ軍もその様子に感動したことが報道になりました。
当時のマスコミや日本国民全員が、その「トモダチ作戦」に感謝と感動の拍手を送ったことは今でもハッキリ覚えています。
わたしも「トモダチ作戦」に参加したアメリカ兵に感動していました。
ところが、当時の管総理らが懸念を抱いたことが3年目に、出てきたのです。
東日本大震災後、被災地で「トモダチ作戦」に従事した元アメリカ兵ら79人が、原発事故を起こした東京電力に対して日本円で約1020億円という巨額になる「10億ドル」の損害賠償を求めて、2月6日カリフォルニア州サンディエゴの連邦裁判所に訴訟を起こしたそうです。
<2014年2月12日米ハフィントンポスト報道による訴訟内容>
原告団は米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員で、「トモダチ作戦」と呼ばれる震災の被災地支援活動に参加した人たちが中心。
「ロナルド・レーガン」は救援活動のため、東京電力福島第1原発沖およそ1.6キロの地点まで接近したが、当時東電が原発事故の状況を適切に開示せず、乗組員が被ばくを避けられなかった。
ゆえに東電は、被災地で救援活動に従事した乗組員に対し、診察や治療にかかった医療費ほか、諸経費すべての負担を含む総額で「10億ドル」の損害賠償を請求する。
この今回の訴訟の凄いのは「クラスアクション」と呼ばれる米英では良く見られる訴訟です。
「クラスアクション」とは一種の集団訴訟なのですが、利害が共通する人であれば本人の同意を得なくても原告に加えることができる訴訟なんだそうで、今後この79人の他にもさらに人数が増えていくらしいのです。
その人数、ハフィントンポストによる予想では「最大7万人」ともにもなると言われます。そうなると、単純に1000億ドルにもなる可能性もあります。
当時の首相官邸の懸念とは少し違いますが、アメリカはこんな牙をもっていたんですね。
昭和29年(1954)ビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被ばくした第五福竜丸、その乗組員の久保山さんは被曝して死去、他の数百隻の日本漁船は隠ぺい工作でアメリカ軍に攻撃されることを恐れ、救難信号も無線も発せずに日本に帰港するという事件がありました。
60年経った現在でも、アメリカ政府からの謝罪は無く、損害賠償は当時の日本政府との間で賠償をしないことを約束させたため、日本は損害賠償請求はできないまま(「お見舞金という形では支払いが有った)であることを思い出してしまいました。
訴訟大国のアメリカでは常識なのでしょうが、あれだけ感動させられた「トモダチ作戦」でしたが、ガッカリです。
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コメント
こんばんわ。
そもそも、この計画を考えた「アメリカの海兵隊」は、凄いですね。
まさに、「ナイスアイデア」ですね。
投稿: H.K | 2014年3月29日 (土曜日) 21:14
H.Kさんへ
計画はどこの国でもやっていましたよ。計画の名前だけがアメリカのものです
投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月30日 (日曜日) 08:08
さすがアメリカ、抜け目がないですね。
それに訴訟の国の面目躍如??
投稿: もうぞう | 2014年3月30日 (日曜日) 20:07
もうぞうさんへ
たぶん、これが“世界の常識”なんでしょうね
投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月30日 (日曜日) 20:58