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2014年3月17日

シヤチハタは公文書に使えるか・・・?

年度替わりの今頃、確定申告やいろいろな場面で印鑑を使うことが多くなるものですが、そこでよく見かけるのが押印のときの注意書き「シャチハタ不可」です。

ですから、たぶんほとんどの人が「シャチハタは公文書には使えないもの」と思っていることでしょう。

そうなるとなどと、私としては次のようなことを考えるわけです。

  1. 「シャチハタ不可」の理由はなんだろう?
  2. 本当に公文書に「シチハタ」は使えないのだろうか?

2番の疑問の答えからいうと、なんと「公文書や金融機関のものにも使える場合もある」という答えが出てきます。
実際に、わたしは以前に年末調整や車検申請書類に(但し書きを無視して)「シチハタ・Xスタンパー」を使用し押印し、なにも問題なかった経験があります。

そうなるとさらに「不可」の理由が気になるところです。

最初に、書類に有る但し書きのカタカナが小さい「ヤ」を使った‘シャチハタ’と、大文字の「カ」を使用したメーカの「シヤチハタ」とは指示しているものが違うということです。

但し書きに出て来る「シャチハタ(シヤチハタ)」とは、メーカー名じゃなく、「多孔質の合成ゴムを印面に使用して内部にインクを溜め込む仕組みを備えた朱肉を必要としない浸透式の印章全般」で、特定メーカーを指していないのです。

シヤチハタはその先駆者メーカーだったがために使われてしまっているのです。シヤチハタにとっては甚だ迷惑な話ですね。

では、なぜ浸透式の印章は不可なのかというと、メーカーであるシヤチハタは利用者からの質問で「シヤチハタネームの使用目的上の制約(ハンコとして認められるか否か)については各機関が定めるところにあり、弊社にて判断致しかねるが」という前置きをしたうえで、下記のような回答をしていました。

  • 印字面が硬質のものではなくゴム製であること。
  • シヤチハタネーム発売当初の昭和40年代(1965~)の製品は、捺印印影の滲みが大きかったこと。それゆえ長期保存書類に不向きだったこと。

この説明からわかることは、シヤチハタが発売された50年くらい前ころの公文書用紙、戸籍類など長期保存書類には、耐久性の良い和紙が使われていましたが、その和紙は半透明の薄様紙(薄葉紙・薄用紙)というもので、とてもインクが滲みやすく、裏映りまでしまったはずです。

それでは、使えないでしょね。

しかし、シヤチハタでは現在、インク並びに印字体の改良により、朱肉の印影と同様に捺印印影の長期保存が可能になり、ニジミの少ない製品となっていますので50年前とは全く違う代物になっているとのことです

ただメーカーしては念のため取扱説明書には『ゴム製の印字体は、捺印時に変形し印影が変わる可能性があるので、“印鑑証明には使用しない”』とのお願いを記載しているそうです。

それでも「シヤチハタ不可」というのは東京地裁で出された平成18年(2006)3月30日の判決が影響しているようなのです。その判決を要約するとこうなります。

>判決
 「甲第2号証(
※偽造が問題となった文書のこと)の被告名義の印影は、大量生産されているシャチハタ製の印章によるものであるから、特定個人が押印したと認めることができない性質の印章により出されたものであるといえるので、被告が押印したことを推認することは到底出来ない。」

つまり、「シヤチハタは同じものがどこにでもあり本人でなくても押印が可能だから本人が押印したものでない。」と結論付けたのです。

この理由なら同じく大量生産し100円ショップで買える三文判にも当てはまるのですが、ここでもシヤチハタだけが目の敵になっていますね。可哀そう。

ただこの判決後に逆提訴され、今度はシヤチハタを認めないと言った原告側が敗訴していますので、シヤチハタもちゃんと印章として別な裁判所では認められる結果となっています。

ゴムは強く押すと変形しやすいといいますが、シヤチハタのXスタンパーは殆ど変形もしない優れものになりましたし、公文書の紙質も変わりました。

だいたい、私の苗字は既成ではないので必ず特注ですから、大量生産はされていません。
それでも「シヤチハタ不可」はもう(惰性的)慣例になってどうしようもないのでしょう。納得できませんがね。

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コメント

貯金通帳にはつかえるのですか

投稿: 山口ももり | 2014年3月18日 10:44

山口ももりさんへ

郵便局は使って悪いという規定は無いようですが、断られるそうですから、「使えない」ですね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月18日 11:46

なるほどね~
分かりやすいですね。
似て非なる印鑑の場合は、銀行員もルーペなどで拡大して確認するそうですね。

投稿: もうぞう | 2014年3月18日 19:06

もうぞうさんへ

そのようですね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年3月18日 19:38

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