“隣国”は‘中国だけ’じゃない・・・「防衛装備移転三原則」
ご本人も呼称する安倍内閣は、消費税増税が始まった4月1日の閣議で、従来からある「武器輸出三原則」に代わる新たな‘原則’になる「防衛装備移転三原則」を決定したことを発表しました。
<防衛装備移転三原則>
- 原則1
「移転を禁止する場合の明確化」を図り、紛争当事国や国連安全保障理事会の決議に違反する場合などは、移転を認めない。- 原則2
移転を認めるのは、平和貢献や国際協力の積極的な推進に役立てる場合や、(アメリカなどとの国際共同開発・生産など)日本の安全保障に役立てる場合に限定し、透明性を確保しつつ、厳格に審査し、移転を判断する。
特に慎重な検討を要する重要な案件は、「国家安全保障会議」で審議し、その情報の公開を図る。- 原則3
防衛装備の目的外の使用と、移転相手国家が別の第三国へその装備を移転する場合には、原則として、日本の事前同意を相手国に義務づける。
これまでの「武器輸出三原則」は武器の輸出を原則的に禁止し、必要に応じて例外を作りアメリカなどとの武器の共同開発したりしていたのですが、新たな「防衛装備移転三原則」では厳格な審査を経て条件を満たすと判断されれば、合法として武器の輸出ができるとと言うものですが、ハッキリ言って「武器輸出三原則」との違いはほぼ「無い」と言っていいでしょう。
これは、最近の中国による海洋進出の脅威など、安全保障環境の変化に対応しやすくする狙いがあることは言うまでも有りませんが、安倍政権としては日本の国内防衛産業(軍事産業・武器商人)の海外進出を(強力に)後押しする狙いもあるようです。
これについて、中国の当局やメディアが警戒心を強め、批判してこないわけが無く、
- 「4月1日、安倍晋三の“強国への夢”がまた一つ前進した」
- 「安倍氏が‘武器輸出三原則’を徹底的に廃し、日本の戦後の平和理念を捨てた。」
- 「新たな軍事大国化への動きであり、国際社会は警戒せざるを得ない」
というような政府や報道機関の批判コメントが並んだようです。さらに・・・
「中国は、日本が歴史の教訓をしっかりとくみ取り、アジア隣国の安全に対する配慮を重視して、時代の流れに沿い、平和的な発展の道を歩み、地域の平和・安定に役立つことを願っている」
という、日本への強いけん制コメントを出したようですが、気になるのは「アジア隣国の安全・・・」という件です。
ここだけ聞くと、日本はアジアの諸国全部、とくに太平洋戦争中に関わった国家全てが日本に対し批判し警戒しているかのように聞こえてしまいます。
東アジア諸国が最も警戒しているのは日本ではなく「中国」の最近の軍事的強引な行動と、その中国の横暴に対し何も対処しようともしないアジア駐留のアメリカ軍の態度なのです。
日本の安保条約と同じくアメリカと「米比相互防衛条約」を結んでいるフィリピンは、中国軍によって自国海域を占領されるなど最も被害をこうむっている国家ですが、アメリカ軍は何も助けてくれないのだそうです。
ですから、フィリピンにとって今最も頼れるのは日本であり、日本の自衛隊装備増加を最も喜んでいるアジアの隣国なのです。
それは、フィリピン政府が公式にコメントを出していますから間違いないことです。
だいたい、武器輸出三原則によって武器輸出が禁止されているのは隣国では「中国」と「北朝鮮」の2ヶ国だけで、2ヶ国以外は原則として輸出することが禁止されていません。
極論を言えば日本の武器輸出三原則の対象国は‘中国だけ’なんですよね。その国家が世界を代表して言っているかのような態度を取ること自体、滑稽です。
安倍総理の新たな三原則も「輸出」を「移転」に言い換えた滑稽なものですが、滑稽な国家に対処するにはやはり滑稽なやり方が似合っているのかもしれません
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