‘左と右’についての習わし
「左前(ひだりまえ)」という言葉が、日本には存在します。
これは本来着物の着方から来たもので、和服の場合は男女の別なく相手から見て右の衽(おくみ)が手前側になるのが常識ですが、それを‘左の衽を前’にした逆な着方をすることは死者の着物の着方で縁起が悪いとされ、それが転じて「常識じゃない」ことを「ひだりまえ」とも言うようになったものです。
日本家屋の窓や掃出し窓など2枚戸の場合、その立てつけ方も内側(奥側)から外に向かって見て、やはり右側の引き戸が手前に立てつけることが建具の常識となっています。(4枚戸の場合は、奥側から見て中央の2枚が手前に立てつけることになっている)
陸上競技のコートは左回り(反時計回り)になっていますが、これは右利きの場合利き足の右が強く蹴られる左回りが速く走れるからと言う理由だそうで、そう考えれば左利きには不利なルールですね。
酒飲みの人を指して「左党」という言い方が有ります。これは、江戸時代、大工や鉱夫は、右手に槌、左手に鑿(のみ)を持つことから‘右手の事を槌手(つちて)’、‘左手の事を鑿手(のみて)’といいました。
その鑿手(のみて)が“飲み手”にゴロ合わせされ、酒のみの人を「左きき」とか「左党」という事になったというものです。
も一つは、逆に右利きの人が酒を飲む場合には右手に箸を持ち肴を挟んだり、徳利を持ったて酒を注いだりすることになるため、おのずと盃は左手になることから「左党」という言い方ができたという説とがあります。
つい先日知ったのですが、喫茶店で出されるコーヒーなどの取っ手付きカップの取っ手は、飲む人の左手側に出すのがマナーなんだそうです。
これは日本の「左党」のもう一つの意味と同じく、左手でカップを持ち利き手の右手を自由に使って、砂糖などを射れたり、菓子を食べたりするためのマナーなんだそうです。
いずれにしても右利きが主で、左利きには不利なことが多いです。
これは、右利きの人間にとって我が身なのに意のままに動かない左手に対し“異なもの”と考えが強く、古代ヨーロッパでは「悪魔がついている」と考えたり、インドなどでは「不浄なもの」というような迷信が出来上がったことが判る気がします。
身の回りにもこんな「右左の習わし」がもっと沢山ある気がしてきました。
そう言えば、郡山市にある免許センターの免許更新時の講習担当職員の中の1人(たぶん警察官OBの自動学校教官OB)「手の左利きは知っているが、足の右利きなど聞いたことも無い」と語気を荒げて言い切ったおバカおりましたが、あの人は今でも働いているんだろうか?
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コメント
こんばんわ。
これは、全然知りませんでしたね。
投稿: H.K | 2014年6月15日 21:23
H.Kさんへ
お役にたったようですか
投稿: 玉井人ひろた | 2014年6月15日 21:47
日本人の約9割が右利きだとされていますので、仕方ないところかと。
昔は右利きに直せと苦労した御仁もおられたと思うのですが、今はほとんど聞きませんね、
投稿: もうぞう | 2014年6月16日 04:42
もう1つ、大工道具の「鐫(のみ)」は必ず左手で持つので、飲んべいのことを「左利き」あるいは「左党」と言うとか?聞いたことがあります
投稿: 空 | 2014年6月16日 04:46
もうぞうさんへ
なぜ、あんなにまるで悪いことをしているように左利きを矯正させていたんでしょうね。今考えれば、いじめに近いです
空さんへ
その節の方が本道のようなので、文中に追記させていただきました。
ありがとうございます
投稿: 玉井人ひろた | 2014年6月16日 08:12