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2014年7月20日

曲学阿世(きょくがくあせい)の徒たちの策

今年の5月27日、政府は9月に任期が切れる原子力規制委員会の「島崎邦彦委員」と「大島賢三委員」の後任に、東京大学教授の「田中知氏」と東北大学教授の「石渡明氏」を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示しされました。

しかし、その人事案は問題だらけだったことの報道は、とても小さな記事でした。あれから2か月ほど経ちましたが、その関連報道はどこへ消えてしまったのでしょう?

<2012年9月に発足した環境省の外局の原子力規制委員会>

■委員長及び委員・現職

  • 委員長:田中俊一(69)任期5年、2017年9月まで
  • 委 員:中村佳代子(64)任期3年、2015年9月まで
  • 委 員:更田豊志(56)任期3年、2015年9月まで
  • 委 員:大島賢三(71)任期2年、2014年9月まで
  • 委 員:島崎邦夫(68)任期2年、2014年9月まで

■役員の人選基準の根幹

  • 委員になるものは直近3年間に原子力事業者=電力会社や関連団体の役員、従業員だった者は資格が無い

▲政府与党の交代人事

  • 委員:田中 知(64)
  • 委員:石渡 明(61)

ここで問題になっている人事は、新たな人事の二人が原発再稼働の考えが強い二人であることです。
(今回交代となる地震学者の島崎邦彦氏は、原発の再稼働に向けた安全審査で電力会社に対して厳しい姿勢で臨んでいた)

特に田中知氏は、原発を推進してきた日本原子力学会の会長だけでなく、電力事業者の団体である日本原子力産業協会の役員まで勤めていますので、人選基準では「資格が無い」人物なのです。

国会でそのことや「人選基準が変ったのか?」を追及された政府は「団体からは無報酬だったので良いと判断した」という屁理屈まがいの答弁しています。

その答弁に対し野党から「民主党政権時に決定した基準が変ったのか、追加されたのか?」と質問され、石原環境大臣は「民主党政権が作った基準以外に無い」答弁しています。

このように、安倍政権にはびこる原発族議員(原子力村の住人)がどんどん圧力をかけ始めていることは間違いありません。

原子力規制委員会は、地元の抗議の声を無視して、7月16日、鹿児島県薩摩川内市久見崎町にある九州電力の「川内原発」1号機と2号機について、「新規制基準に適合している」という審査書案を了承したことは、その一端が見える気がしました。

 敗戦から5年後の昭和22年(1947)5月3日、
自由党の両院議員総会の秘密会で吉田(総裁)が講和問題について「永世中立とか、全面講和などというのは、言うべくして到底行われないことだ。それを南原繁東大総長などが、政治家の領域に立ち入ってかれこれ言うことは曲学阿世の徒で、学者の空論に過ぎない」吐いた。

さらに中曽根氏が「ジャーナリズムの歓心や、左翼好みの青年たちの人気を得ようとして、現実離れの意見を発表するものを、‘新しい意の『曲学阿世の徒』’と言ってよいと私は思う。このような傾向を、ずっと以前から苦々しいと思っていた。」という反論を出した。

その時に国や党は「共産国家(中国、ソ連)を含めての講和」か「欧米側だけとの講和」かで二分した論争が起こったそうですが、当時の政権の判断、今となってそれは良かったのか?どっちが「曲学阿世の徒」のだったのか?私には判断がつかないです。

原発再稼働のため規制員会のメンバーが政府属役が増えていく様子は、どこか教育委員会が中立から変化していって今のような状態になった過程によく似てきています。

やはり、政府が作った規制組織と言うのは「旧原発安全委員会」や「旧原発安全・保安院」に戻っていくようですね。

もっと問題は、そういう国策へのマスメディアの対応の変化です。

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コメント

私には判断がつかないです…この一文に深く感じいりました。私も一体どうしたらよいのか、よかったのか???わからないのです。アメリカ軍の一部にされてしまうのか、それともアメリカ離れなんかできるはずもないのか???原子力の問題も・・・評論家の意見もマスコミもエエ加減な気がします。でも・・・未来予測ができないイヤな国もあるんですから・・・

投稿: 山口ももり | 2014年7月21日 07:24

山口ももりさんへ

国の存亡がかかるほどにはなっていない日本は是とするしかないでしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年7月21日 08:18

国の周りを原発と言う40年の時限爆弾で囲まれることを日本のアメリカの当事者達は、ちらっとでも予想しなかったんですかねぇ!?

投稿: 空 | 2014年7月21日 10:14

空さんへ

アメリカにとって日本は単なる東洋人の島国ですから、余った核の処分場としては最高の場所だったんだと思います。

さらに、原爆投下と言う(一般人)大量虐殺兵器の平和利用をしていることの宣伝活動にも日本は格好のロケーションだったんだと思います

投稿: 玉井人ひろた | 2014年7月21日 11:30

「苦難上等」、「曲学阿世」しばらく聞かなかった
言葉を思い出させてくれました。

「苦難上等」、人生迷うことが色々ありますが、
二つに一つの場合、よく苦しい方を選びなさい
と、いわれるけど、どちらが苦しいのか迷う
こともあり、人生ブルーになる時もありますよね。
でも、この言葉は肝に銘じます。

川内原発の再稼働容認などは、「曲学阿世」の
典型でしょうか。
「安全とはいえない」と、いいながら承認する。
「火山がいつ爆発するかわからない、
避難経路がまださだまっていない」と、
いわれながらも容認する規制委員会。

こんな学問に対抗するのはやはり学問ですか。

投稿: あね | 2014年7月21日 15:26

あねさんへ

「役人は情をもって政をなすべし」というのは福沢諭吉さんのお言葉ですが、福沢さんは「役人のやる政を理解できるように学問をすべし」とも結んでいます。

我々はどんな知識を持つべきでしょうか?

投稿: 玉井人ひろた | 2014年7月21日 17:05

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