甲状腺がん・・・福島県の子ども
8月25日福島民報の朝刊の一面は8月24日「県民健康検査」検討委員会から発表された福島県内の子どもたち(時効当時18歳位以下だった者全員)の甲状腺がんの確定数値が大きく見出しを飾っていました。
>福島県の子どもを対象に東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、事故当時18才以下だった対象者37万人(367,707人)の内の約80%にあたる約30万人(295,689人)の受信者の結果がまとまった。
これによって‘甲状腺がん’の診断が「確定」した人は『57人』、さらに‘がんの疑い’とされた人が『46人』となったことが判った。
これによって福島県における甲状腺がんの発症率は『0.028%~0.036%』となり、県内での地域差は殆ど無いことも判明。
<福島県内の地域別の発症率>
- 会津地方(17市町村)⇒0.028%
- 中通り (26市町村)⇒0.036%
- 浜通り避難区域外(3市町)⇒0.035%
- 浜通り避難区域(13市町村)⇒0.034%
(※、尚、この結果は一次検査で異常が発見され、その後二次検査を受信したうえでの結果である。)
これは、今年2月、そして4月に中間発表されていた人数の確定値になっていて、2~3人増えてはいるがほぼ同じ数字でした。
今年最初にこの中間発表(甲状腺がんの子ども50人)が出されたときに、放射線被害に対し国や東電に対し激しく抗議する団体の医師や科学者などは、その人数を例に挙げ次のような内容の抗議講演を全国集会で行っています。
「こどもの甲状腺がんの全国発症率は100万人に1人ぐらいである。
それに比べ福島県の(30万人中)50人と言うのは間違いなく異常な人数になっている。
これが原発事故後の放射線被ばくによるもの以外に考えられない。」「それでも国や自治体は影響が無い、安全と言っている。これのどこが安全と言えるのか?
国は基準を見直し、早く福島の子供たちを守るため移住を含め対策を講じるべきである」
確かに、100万に1人という人数に対し、30万人中50人を超える人数は、通常の20倍~100倍以上の人数であり、これだけ抜粋され比較されたら恐ろしい人数です。
しかしこれを冷静に考えれば、今まで日本国内では福島県のように「甲状腺がん」について、学校で行うような集団健診などのように‘全員検査’というよな網羅的な検査は実施されたことはありません。
“100万人に1人”というのは、あくまで具合が悪くなってから、病院や医院の外来受診をした中での発症率です。
つまり、その結果は事実でも、対象人数も検査方法も全く異なるものであり、それを同じ土俵にあげて比較・対照することは困難で有るとともに、非論理的です。
実は、環境省では福島の子どもたちの調査結果と比較するデータが欲しいため、福島県と同じ検査を原発事故の放射線の影響が無かったとされる青森県、長崎県、山梨県の3地域の3歳~18歳の約4500人(4,365人)を対象にして行っています。
その参考比較データも発表されています。
- 一次検査に置いて嚢胞(のうほう)、結節(けっせつ)が認められた割合
福島県 ⇒ 35%
3県の合計 ⇒ 57% - 一次検査に置いてのがん確定人数と割合
福島県 ⇒ 57人(0.02%)
3県の合計 ⇒ 1人(0.02%)
この参考データーを見れば、検討委員会が会見で発表した「福島県は他地域に比べて甲状腺異常が増えたという結果は無く、原発事故の人体への影響は少ないと見込まれる」というものは、理論的には合っていることだと考えざるを得ないものです。
ただ、検討委員会はこれで楽観視しているわけでは無く、チェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの甲状腺がん増加が確認されている事実があるため、今後がんが増えるかどうかなど、放射線の影響を調べるため、事故当時18歳以下だった対象者に関しては20歳までは2年毎、その後は5年ごとに引き続検査が実施されることが定められています。
こう言う記事を読めば、「全国の小中学校でも健康診断で‘甲状腺がん検査’も行ってほしい」という要求が出そうですね
平成24年(2012)統計局発表の「0才~18才」の全国総数は「2138万人」となっていますが、厚生労働省が検査見直しをしてその検査機器導入などの予算を組む可能性は・・・・かなり低いでしょうね
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コメント
消費税値上げの時のお題目は「福祉」「老人」…でも、実際は竜頭蛇尾、あるいは「看板に偽りあり」の政治ですからね?
投稿: 空 | 2014年8月26日 (火曜日) 05:06
空さんへ
こういう時に限って「貴重な財源だから・・」と言いますが、自分たちの給料アップの時は全く素知らぬ顔です
投稿: 玉井人ひろた | 2014年8月26日 (火曜日) 08:31