ワインと潜水艦と日本帝国海軍
あさのNHKドラマ「花子とアン」の今週の場面に、花子の郷里である山梨でワインが日本軍に強制的に供出させられ、ヒロインの父親がワインを隠したりする場面がありました。
ヒロインの父親は「兵隊が宴会で飲むんだろう」と怒りますが、ワインは日本軍が敵潜水艦を探すのに使われることを聞かされますが、想像もつかない話なので信じないのでした。
これは、ほとんどの人に知られていませんが、日本帝国海軍は本当に使っていた事実だったのです。
ワインの樽面や底には『粗酒石』というものが、付着沈殿するんだそうです。これが『酒石酸』というもので、それに加里ソーダを化合させると、酒石酸加里ソーダという少し大きな結晶体が精製されます。
これがロッシェル塩といもので、それは音波をすばやく捉える特性があり、第二次世界大戦ではドイツがいち早くこれを採用して音波防御レーダーを開発し、海軍の船に装備して、敵の潜水艦や魚雷に対処する新型兵器とし使用し、かなり高い効果を発揮していました。
日本海軍では採用していませんでしたが、開戦の翌年の昭和17年(1942)6月、中部太平洋のミッドウエーの海戦で、航空母艦4隻を失う大打撃を受け検討が始まったようです。
ただ、そのワインはかなり質の良いものでないと多くの酒石酸が採取できず、日本国内では山梨県所在の「サドヤ醸造場」が唯一、製造が可能だったんだそうです。
そこで、政府は統制品だった砂糖なども山梨県のワイン製造に回し、たくさんのワインが製造されるようになったそうです。
昭和19年(1944)8月、日清製油(株)(現在の日清オイリオ)が山梨工場を設けて、軍の命令で試験採取を始めたが成功しなかったようです。
「サドヤ醸造場」現在のメルシャンに吸収合併され国内では有名なワインメーカーになったのは、海軍のおかげだったようです。
いずれにしても、戦争になると次々と新技術が開発されるという事実は、皮肉な話で、原子力、ジェット機、ヘリコプター、レーダー、フッ素(テフロン)加工鍋、サランラップ、等々数多くあり現在の生活に生かされていることは、どう考えればいいのでしょうかね?
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コメント
なんとなくは理解していましたが、さすが調べ上げていますね。
よ~く解りました。
すぐに忘れますけど・・・
投稿: もうぞう | 2014年9月13日 07:20
もうぞうさんへ
まだまだ、太平洋戦争中には一般国民が知らない事実が沢山ありそうです
投稿: 玉井人ひろた | 2014年9月13日 08:35
朝ドラには、なつかしい大型マイクロフォンがでてきます。四角で豆腐一丁ぐらいの大理石の中に納まっている。さらに、それをとりまく金属の輪があって四方からばねでそれを支えてました。
それがだんだん小型化し、カーボンマイクロフォンからクリスタルマイクロフォン、ダイナミックマイクロフォンと続きます。今ではピンセットが必要なほど小型化しました。
父が戦時中に買った最新型電蓄は、クリスタルピックアップがついていました。中味は、たしかロッシェル塩だったと思います。
投稿: ましま | 2014年9月13日 09:59
ましまさんへ
その時代に電蓄ですか、都会ですねぇ。
私の地域のような田舎では考えられないことです。
投稿: 玉井人ひろた | 2014年9月13日 11:33
なあんて勿体ない!!!折角のワイン、おいしくいただきましょう。と言っても、今、アルコールは禁止なんです。肝臓への負担がよくないんだそうです。抗がん剤治療の解毒に必死で取り組んでる肝臓を大事にします。
投稿: 山口ももり | 2014年9月14日 10:20
山口ももりさんへ
辛いところですねえ
投稿: 玉井人ひろた | 2014年9月14日 11:50
酒石酸抜きのワインがラビット、面白いお話ですね。
戦争中クリスタルピッカプを購入されたとか、ロシェル塩は軍需産業秘密兵器のはず、(我が家では父が自作しておりましたけど)当時は海軍技術研究所総力を挙げて高松宮様が天皇陛下の名代にて、サドヤを視察にご臨席遊ばしました。当時食料増産計画の中でブドウだけが、たわわに実って、戦後の山梨県果樹国の創生に役立ちました。
この研究は大きなロシェル塩の結晶を作り、それカッテングして潜水艦に着装。東京湾防潜網計画などあったとのことです。、
投稿: 堀之内 一 | 2014年10月11日 02:25
堀之内 一さんへ
戦争は負のイメージですが、新たなものが沢山作り出されると言う側面のもっています。
「必死」という、ところからなんでしょうが、皮肉なものです
投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月11日 08:46