祈り・・・その行動
2008年(平成20年)、中国で起きた「四川大地震」は、国際連合の国際防災戦略(ISDR)の発表によると「死者8万7476人」。地震により避難した人は約1514万7400人、被災者は累計で4616万0865人となった、東日本大震災をはるかにしのぐ大震災でした。
今でも、町一つが壊れた建物をそのままに無人の廃墟になっていますが、中国政府は町そのものを墓地としてしまい、巨大な献花台だけを建設し墓参の人だけが許可を得て入ることができます。
この時、日本中で義援金が集められたのは当然、成都市教育局から「困っている小学校を助けてほしい」と要請を受けた坂茂・慶応大教授と松原弘典・同准教授の研究室の約20人の学生たちは被災した子供たちのために仮設校舎の建設(3校舎建設)に励みました(坂教授らは2011年の東日本大震災の時にも福島県郡山市にきて避難所施設内に紙パイプの部屋を作った)
日本政府(当時は福田康夫総理)も東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)を含めた国際消防救助隊などで編成される「国際緊急援助隊救助チーム」、医師や看護士で編成される「国際緊急援助隊医療チーム」などを現場に派遣しました。
そして、その隊員たちのある行動が被災地の人々や中国全土に感嘆の声を上げさせたことは、日本国内でも報道されましたから覚えている人も少なくないと思います。
それは・・・
日本のが送った国際救助隊が‘見つけ出したご遺体に対し全員で整列し敬礼をささげる姿、そしてその様子に目を丸くして見つめる地元中国人の人々’、このことが中国のマスコミに大きく写真入りで取り上げられ、中国全土から「日本人はすごい」と驚きと賞賛の声が上がりました。
これは、日本では報道されなかったことですが、日本の救助隊は犠牲者捜索を‘不眠不休で行っていたのだそうです。
これは、時間が経つほど生存率が下がることや滞在期間に制限があることなどを考慮すれば救助隊としては至極当然の行動だったのですが、自国の中国救助隊が何度も休憩したり、夜になると帰ってしまう様子とは全く違う行動で、その差を見た地元の人々の多くが驚愕し感動し、こう思ったそうです。
「中国政府が(悪く)言っている日本人とは全く違うじゃないか。日本人は素晴らしい」
それを目の当たりにした、ある中国伝統芸を継承する女性が「私が日本と中国の懸け橋になる」と、そのころから来日し舞踊を見せていることはあるテレビで報道されました。そのこは東日本大震災の時は真先に被災地に駆け付けたそうです。
なぜ、きょうはこんな記事を書いたかと言いますと、今日の朝刊に出た御嶽山の記事に付けられていた写真を見たからです。
心肺停止状態で救助され、そのご死亡が確定し仮の安置場所から霊柩車に乗せられ運ばれるその霊柩車に向かい警察官らしき制服の人が手を合わせ見送る姿がそこにありました。
それを見て、東日本大震災後に設置された遺体安置所の真実を描いた映画『遺体 ~明日への十日間~』(←クリックすると予告動画にリンク)で、主演の福島県郡山市出身の俳優・西田敏行が叫ぶ言葉が思い浮かんだのです。
「このかたは(ただの死体じゃなく)ご遺体ですよ」
世界中の災害現場の映像が見られる今ですが、救助隊員が揃って亡くなった犠牲者に敬礼したり祈る姿など見た記憶が無いです。
単に、報道されないだけかもしれませんが、日本独特の行動のように思いますね
そして改めて思います「日本人は無宗教者じゃない」と・・・
犠牲者に合掌┃
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コメント
家族は勿論、知人・友人の御遺体と対面
した時は必ず手を合わせるのは
日本人の習慣ですかなぁ。
日本人は多くが無宗教者だけど、結婚する時
葬式の時は、どこかの宗派に依拠する。
私でいえば、八百万の神の信者。
そして、ご遺体にあえば
「御冥福をお祈りいたします。」
と神妙に手を合わせる。
「あの世に行って、幸せになってね。」 と
願うのは、美しき日本の伝統と思いたい。
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投稿: あね | 2014年10月 2日 (木曜日) 21:31
あねさんへ
「本地垂迹」
これは「伝教大師」の教えの一つで、仏教を初めて日本に伝えた聖徳太子の考えとも同じで、日本の宗教の根本の考え方です。
明治政府によってそれは否定されましたが、いまでも日本人は「本地垂迹」と言う宗教信仰を無意識に行っています。
つまりあまりにも自然で無意識に行っているため、日本人は無宗教者は居ないのに、それをよく知らない欧米人や諸外国人の見識でそう思わされているだけだと思いますよ
投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月 3日 (金曜日) 07:57
町そのものを墓地としてしまい・・・ですか。北京なんか私が行ったのは随分昔ですが真っ平な印象でした。黄河が氾濫するたびに土で作られた家や町は溶けて・・・パールバックの「大地」の強烈なイメージです。それこそ墓地になった???掘り返したら、一杯土の中に何代もの都がうまってるんじゃないかと・・・小説の読みかじりからのイメージ先行でもうしわけないです。
投稿: 山口ももり | 2014年10月 3日 (金曜日) 08:46
山口ももりさんへ
広い国土ですから、壊して立て直すより新たな土地に住居を建設してしまったほうが経済的と考えたんでしょうね
投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月 3日 (金曜日) 12:01
いい話ですね~
それにしてお中国は、気の毒です。
投稿: もうぞう | 2014年10月 3日 (金曜日) 19:53
もうぞうさんへ
ただ、手を合わせた隊員の無念さもその行動から感じられますよね
投稿: 玉井人ひろた | 2014年10月 3日 (金曜日) 19:59