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2014年12月11日 (木曜日)

メキシコ国民の苦悩

10日、ノルウェーの首都オスロで行われたノーベル平和賞の授賞式で、共に人権運動で貢献された『マララ・ユスフザイさん』と『カイラシュ・サトヤルティさん』にメダルが授与された直後に男性が壇上に乱入、マララさんらのすぐ前に立って国旗を掲げるという騒ぎが発生しました。
報道関係者を装い会場に紛れ込んだらしく、直ぐに警備員によって取り押さえられましたが、その際に2人の受賞者への暴力行為は全く無かったそうです。

掲げた国旗は「メキシコ国旗」、男性はメキシコ人学生で11月にメキシコからノルウェーに入国し、12月9日に亡命申請したばかりだということです。

メキシコと言えば、現在のサッカー日本代表監督‘アギーレ’氏の母国です。

ノーベル平和賞授賞式と言う神聖な場所に、命がけの乱入したメキシコの亡命学生、決して許される行為ではありませんが、「メキシコで何が起こっているのか?男性は何を訴えようとしたのか?」、気になってしまうのが人情でしょう。

メキシコには問題が起きているのか?ネットで検索してみましたら、現政府によって人権侵害の恐ろしい、地獄のような悪政が行われていたのです。

メキシコの人権侵害は2006年12月に就任した『フェリペ・カルデロン大統領」がとった、強大な麻薬密売組織と対決政策から始まったのです。

それは「麻薬戦争」とも言われるほどの強硬策だったようで、麻薬捜査取り締まりと言う名目で警察や治安部隊が起こした拷問事件170件以上、失踪事件39件、超法規的殺害事件24件に達したというのです。これはもちろん無実の人も含まれた数値です。

それは「凶悪犯罪撲滅」をうたって当選した現大統領のペニャ・ニエト大統領の政権下になっても続いてさらに悪化しているのです。

犯罪撲滅を理由に、反政府運動に対する弾圧は凄まじく、政治的な理由で拘束されたメキシコ国民は、ペニャ・ニエトの任期がスタートしてからの1年半で既に約700人近くが拘束されているそうです。

その人権侵害問題は、ゲレロ州イグアラで教員養成大学の学生43人がバスでの帰路に警察から襲撃を受け、行方不明になる事件が発生し国際的にも注目されることなりました。

メキシコでは、中米から毎年約20万人もの移民(南米からなど)が来て、メキシコ警察によって逮捕・強制送還されるのですが、その送還される移民たちは(不法者ということで)メキシコ当局より嫌がらせを受けたり、殴られたり、金品を奪われたり、拉致されたり、強姦されたりすることが頻繁に起こっているんだそうです。

その強制送還者は必ず決まった鉄道が利用されるのですが、メキシコ北部に向かうその列車から振り落とされて死んだり大怪我をしたりすることも少なくなく、「死の列車」と呼ばれているようです。

これらは、警察などの人権侵害ですが、メキシコではそれだけではないのです。

人が生きるため必須なのは「衣食住」で、その中の食で最も大事なのは水です。これを確保することも国の重要な仕事です。

メキシコでは国内の38都市が、給水の問題を抱えており、河川の90%は、水質が汚染されているそうなのですが、国は全く改善しようとしないそうなのです。

 

当のペニャ・ニエト大統領は公共工事を請け負った企業(中国)から、700万ドルの豪邸を購入し、悠々自適の暮らしをしているというのですから、国民の反発は強くなるでしょう。

 

ところが、抗議活動を始めると逮捕です。まるで、北朝鮮のようです。

 

この現状を、人権活動団体が欧州人権侵害委員会に訴えたようですが動きは鈍く、思い余っての今回のノーベル賞授賞式への乱入となったようなのです。

 

日本も今回の選挙で与党の自民・公明が圧勝する予測がなされ、政府が「特定秘密保護法」を盾にした取り締まりが起こらないとは言い切れない現状が有り、他人事とは言えない気がします。

 

 

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コメント

本当に!他人事ではないと思います!

投稿: 空 | 2014年12月11日 (木曜日) 18:12

空さんへ

国の動きを注視しましょう

投稿: 玉井人ひろた | 2014年12月11日 (木曜日) 18:35

授賞式でそんなことがあったのですかぁ!
あまりまじめにテレビはみない方ですが、
そんなニュースは初めて聞きました。

メキシコといえば、一度行ったことが
あります。
メキシコの農村地帯に人形劇場を作りたい
と、人形劇の先生と一緒に
行ったのです。
結局は、行政の理解を得られず、その話は
御破算。
観光もしました。壮大は遺跡、美しいカンクーン
の海。豊かな緑。
しかし、貧富の差は一瞬の旅人にもありありと
印象づけられました。
そんな国での強権政治。
そんな恐ろしい政治体制になったのは
何故なのでしょうか。
背後のアメリカのにおいを感じられも
しないでもないですが。

投稿: あね | 2014年12月12日 (金曜日) 08:46

あねさんへ

貧困国家での富裕層という立場の優越感はこの上ないものでしょうから、それが増徴していくんでしょう。

投稿: 玉井人ひろた | 2014年12月12日 (金曜日) 09:08

「非常に冷酷な暗殺者や独裁者を鍛え上げ、西半球で最悪の人権蹂躙者を生み出した」(民主党下院議員ジョセフ・モークリー)「スクール・オブ・アメリカス」の出身でしょうかね。

投稿: ましま | 2014年12月13日 (土曜日) 12:35

ましまさんへ

それは、分りませんね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年12月13日 (土曜日) 13:48

中国では南京大虐殺の何とかの日を制定したのだそうですね。
30万人も死者が出たとか?
アメリカの原爆では、一般市民が何人亡くなった?

投稿: もうぞう | 2014年12月13日 (土曜日) 19:15

もうぞうさんへ

事件が無かったとは言いませんが、南京に居た人(人口)よりはるかに多い人数をどうやって虐殺したのか不思議です。

投稿: 玉井人ひろた | 2014年12月13日 (土曜日) 20:29

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