恵 方
『恵方巻きを食べる」という習慣は、江戸末期における大阪市船場(せんば)あたりの風習が始まりとされ、関西地方では一般的ですが東日本では無かったものです(恵方詣ではある)。
それをはやらしたのはスーパーなどの食品企業だったことは殆どの人が知っていることでしょう(?)。
それはともかく、この恵方と言う方角は「陰陽道」の方角で、我々が知っている磁石などによる東西南北では無く‘干支(えと)’で使われる「十干」で表しますので、その方向に微妙な違いが生じます。
ですから今年の場合も、ちゃんとしたところでは「おおよそ西北西」というような曖昧な言い方になっていますよね。
今年の正確な恵方は、方位神の一つである「歳徳神(としとくじん)」がおいでになるという「庚(こう・かのえ)」という方角名になります。
←は陰陽道で使われるものですが、普通の磁石と南北が逆なので、見やすく北を上にしました
赤い○印のところが、今年の恵方「庚」です。
この歳徳神がいる方角は全てにおいて大吉とされ、「恵方(えほう)」の言い方の他に「吉方(きっぽう)」「明の方(あきのかた)」ともいうようです。
前にも記したように方角表記は「十干」になりますが、その位置は5年周期・4方位に替わっていきます。
- 甲・己の年(平成26):寅と卯の間(「甲」の方)
- 乙・庚の年(平成27):申と酉の間(「庚」の方)
- 丙・辛の年(平成28):巳と午の間(「丙」の方、*戊・癸の年に同じ)
- 丁・壬の年(平成29):亥と子の間(「壬」の方)
- 戊・癸の年(平成30):巳と午の間(「丙」の方、*丙・辛の年に同じ)
この方角ですが、基点・中心をどこにするかで変化します。
テレビでやっているのは「自宅」が中心でやる人が多いですが、名古屋では「尾張恵方」と言って「名古屋城」を起点にしてするのが常識のようです。
というわけで、現代なら市町村の市役所などを中心にしてやるのが本来なのかもしれませんね。
私たちの地域で昔から最も気にするのは恵方じゃなく「凶方」で、今でも改築などには必ず『大将軍(たいしょうぐん)』という神様がおいでになる方角を確認し、避けるのが一般的です。
大将軍とは別名「魔王天王」とも呼ばれる中国伝来の方位神で、3年周期で場所が変化するとされていまして、私の母など高齢者はこの方角を非常に畏れます。
迷信のように思えますが、不思議とその方角のところをいじると悪いことが起ることが少なくなく、あながち迷信とも言えないのが事実です。
今年の「大将軍」○印の「卯」の方角になっているようです。陰陽道、あなどれないです。
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コメント
凶方が悪いとは想像できますが、大将軍もそうなんですね。
いわゆる将軍や大将軍とは、意味合いが違うのでしょうけど。
それにしても、色々あるんですね~
投稿: もうぞう | 2015年2月 6日 19:29
もうぞうさんへ
「征夷大将軍」、とは全く違う中国から伝わったらしい神様です。
投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月 6日 19:33
スーパーがはやらしたといえば、
クリスマスだって、バレンタインデーも同じ。
でも、こんな恵方巻きを食べるというのも
日本的だし、生活の一つの節目チックな感じ
がして、なかなかよいと思われまする。
方角はこうなると難しくて、
海苔巻きをつくる食文化がつづく、と
いうだけでもよしと、しちゃいます。
将軍様、ごめんなさい。
投稿: あね | 2015年2月 6日 20:38
うちの祖父も大将軍には、神経質になっていましたねぇ!あながち迷信とは言えぬ大昔からの知恵があるようですよね?
投稿: 空 | 2015年2月 6日 20:55
あねさんへ
クリスマスは、ちょっと裕福な華族とか東京などではやっていたそうですね。
空さんへ
やはりそうですか。気にしていなくても、言われると気になりますよね
投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月 7日 08:09
「恵方巻」頂き物を食べました。かねて巻寿司を食べてないので美味しかったです。最近ではケーキも真似して「恵方巻ケーキ」なんてのもあるんですね。どんどんエスカレートしていきます。
投稿: 吉田かっちゃん | 2015年2月 7日 15:24
吉田かっちゃんへ
ケーキ、こちらでもやっています。やり過ぎの感がありますよね
投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月 7日 17:58