帽 子
「帽子」に振り仮名を付ける問題が有れば「ぼうし」と書くのが正解です
しかし、これが仏教の用語としての出題であったら、「ぼうし」という振り仮名は“不正解”になります。
仏教では「帽子」と書いて「もうす」と読みまして、それは高位の僧にのみ勅許(ちょっきょ)された頭巾で、いっぱんそう位の高い高僧でなければ使用することができないものとなります。
←は「帽子(もうす)」被った御姿として有名な天台宗の高祖(=開祖)である「伝教大師(でんぎょうだいし=最澄(さいちょう))」の絵です。
じつは、この「帽子」を日本で初めて、当時の桓武天皇から(西暦800年代に)許されたのが最澄なのです。
江戸時代に女性が被っていた御高祖頭巾(おこそづきん)は、この最澄の「帽子」に由来します。
つまり、この‘高祖’が被る‘頭巾’と同じ(模した)袖形だったことから転じて「御高祖頭巾(おこそずきん)」の名が生れたんだそうです。
御高祖頭巾は「袖頭巾」とも言われたそうで、享保年間の句に「花盛りそれかあらぬか袖頭巾」があるので、享保以前からすでに用いられて頭巾のようです。
ただし、僧のものは白、または縹(はなだ⇒薄青色)ですが、女性に用いられたものは黒縮緬に紅絹(もみ)の裏地というようなとてもおしゃれなものだったようです。
一般には高祖といえば日蓮宗の開祖である「日蓮上人(にちれんしょうにん)」を指すことが多いそうですが、日蓮上人もこの「帽子(もうす)」を身に着けることを天皇から勅許された高祖の一人であったそうです。
ただ、頭巾と言えばもっと有名なのがありますよね
- 「宗十郎頭巾(そうじゅうろう ずきん)」
役者「宗十郎」が芝居用に考案した「茶の錣頭巾(しころ ずきん)」で、あのヒーロー鞍馬天狗が被っていた頭巾である。
イカのような形の頭巾、あれですよ。
たしか「解決黒頭巾」もこの頭巾だった気がします。
もしかすると月光仮面の被り物は、この頭巾の流れなのかもしれません。古い話で恐縮です。
ちなみに「弁慶」が被っていた白い頭巾の名称は「裏頭(かとう)」というもので、僧侶の「袈裟(けさ)」の布を被ったものです。
http://ikkaiyoroi.com/katou.htm
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コメント
深いですね~
すごいです。
投稿: もうぞう | 2015年4月30日 19:47
もうぞうさんへ
それほどでは・・無い気がします)
投稿: 玉井人ひろた | 2015年4月30日 19:54