白蒸し(しろぶかし、しらむし)
「通夜」とは日本古来の民間信仰と神事の慣習の一つで、人は亡くなってから最初の夜が明けるまで霊魂はまだ定まらず、生き返ることが有ると信じられ、夜通し明かりをつけて「生き返る」のを祈り待つ(生き返らないことを祈るとも)という風習でした。
しかし、現在は葬式の前日に行う儀式になりました。それも致し方ない、世の流れでしょう。
さて、この通夜の夜に食事を振る舞うこと、各地域で呼び方は違うでしょうが「通夜振舞い」ということが多いのかもしれませんが、この通夜振舞いや葬儀の日、そして火葬場や精進落とし、法要などで出されるご飯やおにぎり、それは私の地域では昔から「赤飯(あかまま、せきはん)」を出すのが常識でした。
近所の和尚さん曰く、「赤飯は、お祝いの時には‘せきはん’読み、法要事には‘おこわ(御強)と呼称すれば、冠婚葬祭いずれでも使ってよろしい」とおっしゃていました。
それが、15年ほど前から葬儀・法要には小豆の代わりに「白ササゲ」の豆を入れて蒸した「白蒸し(しらぶかし)」というのが、常識となってしまいました。
15年以上前と言うと、私の地域に新たな葬儀請負業者が出現し始めたころと重なります。つまり、「しろぶかし」は業者の演出によるものだったことは間違いありません。
さてそうなると、業者はどこからそう言う習慣を見つけてきたのだろうか?と、いつも気になっていました。
すると、偶然ですがネットで地域による珍しい葬儀の習慣という紹介記事を見つけ、そこに↓
- 宮城県では、「通夜振舞い」に、もち米に小豆の一種である白ササゲを入れてふかした「白ぶかし」が出されます。
↑というのを見つけたのです。
たぶん、この隣接する宮城県の習慣が、仙台市などで葬儀業の勉強をした業者が福島県の私の地域に持ち込んだのではないか?という可能性がかなり高い気がしました。
さらに、リサーチしましたら興味深いものが見つかりました。
今は、見られなくなった慣習ですが・・・関東では、お祝いには「赤飯」、葬式のときは「黒豆入りのお強(おこわ)」というのを出すのが、よく見られたそうです。
京都では、もち米のみ、または白ささげ入りの「白蒸し(しらむし)」と言うのだす慣習があるようです。
さらに、冠婚葬祭どちらにも赤飯を出すが、読み方を「祝い=赤飯」、「葬儀=豆ごはん」というふうに変える地域もありました。
一説によると、通夜の夜にお強(おこわ)を食べるということは、「故人をしっかり旅立たせ、埋葬するために、皆で力をつけましょう」という意味があるとか・・・
今ではほとんど火葬になりほとんど無くなりましたが、ちょっと前までは「土葬」のところが多く、埋葬のための‘墓穴を掘る’という作業は大仕事でしたことは亡き父親からよく聞かされていましたので、「力を付けるため食べた・・」という説は、うなずけますね。
いずれにしても、地域の風習は消える運命のようです
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コメント
今では時代遅れになっているかも知れないですが、祖母から聴いていたのは不祝儀に使う時は、小豆を少なめに入れて、祝儀の時は青豆や栗などを入れてにぎやかに小豆も多めに!という話でした。
投稿: 空 | 2015年4月 3日 (金曜日) 20:06
今晩~
仙台が実家なのでまさしく「しろぶかし」と言ってました。法事の時に出されましたね。
投稿: マコ | 2015年4月 3日 (金曜日) 20:35
空さんへ
初めて聞きました。ありがとうございます
マコさんへ
やはりそうでしたか。
投稿: 玉井人ひろた | 2015年4月 3日 (金曜日) 21:05
土着の習慣というのは、地域の産業振興や絆つくりに
おおいに貢献していますよね。
それが、すたれてきているのは、確かですが、
それを復活させて町つくり、村つくりに
しようとしている地域も多い。
そんな風潮のなかで、玉井人さんは地域の言葉を
大切に守ろうとしている姿勢に拍手! 拍手!
言葉は文化そのものだし、文化の担い手
でもありますもの。
投稿: あね | 2015年4月 4日 (土曜日) 10:31
あねさんへ
言葉は、守ろうとしているとおっしゃられると、恐縮してしまいます。
)
ただ、自然に使っているだけなんですがね
投稿: 玉井人ひろた | 2015年4月 4日 (土曜日) 17:21