救助の障害はマスメディアと・・
もう、マスコミでは取り上げられなくなりましたが、9月10日(金)の正午過ぎ、茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、家々や車は押し流され、住民が孤立した水害、それを救助する自衛隊ヘリと勇気ある隊員の様子は記憶に新しいと思います。
あの時、もっとも記憶に残った映像は、電柱につかまっていた男性が助けられるシーンだったと思います。
テレビで視ていた視聴者は「なぜ早く助けに来ないのか?」と、少し自衛隊の救助に疑問を持った人も少なくなかったと思います。
私もそう思いましたが、「電線が危険なので近づけないのだろう」と考えていました。
ところが、もっと違う理由が自衛隊には有ったのです。
あの現場に一番乗りし、午後2時過ぎ頃に電柱にしがみつく男性を見つけたのはNHKとフジテレビの中継ヘリだったんだそうですが、その後各テレビ局も『あの男性の映像を撮れ!』と号令が出て、テレ朝、日テレ、TBSのヘリなどテレビ東京を除く全キー局が中継のためにヘリで殺到したそうです。
自衛隊幹部の話です。
朝9時すぎに茨城県知事から災害派遣要請があり、電柱にしがみついた男性やペットとともに家の屋根で救助を待っていた夫婦がいた三坂町で救助にあたったのは、東京・立川駐屯地から急行した第1師団飛行隊のヘリ部隊だったそうですが、現地では救助活動を妨げる意外な事態が起きていたのです。
パイロットというのは上下左右300mより近くに他のヘリが寄ってきたら危険を感じ、操縦が制限されるんだそうです。
ところが、電柱の男性らを中心として3km四方ぐらいの狭い地域の上空には10機ほどの報道ヘリがひしめきあって大混雑、しかも、あの悪天候、自衛隊員のヘリによる救助は危険きわまりない状況になって近づけなかったというのです。
ヘリによる救助というのはホバリング(空中での停止状態)して救助しているときはいいのですが、助け終わって救急搬送したいときや、次の現場に救助に向かいたいとき、(マスコミなどの)他のヘリの動きを気にしなければならず、自由に動けなかったんだそうです。
あるテレビ局のリポーターは「きたきたきた!」と声を上げての中継をやっていましたが、その中継が被災者や救助隊員にどれだけ危険な目に遭わしていたことか、私たち視聴者とともに知らないことでした。
1987年御巣鷹山に墜落した日航機の生存者を救助した際にも、救助搬送ヘリはマスコミヘリが障害になって近づけなかったことが良く知られています。
視ている私たちにも責任があるんでしょうね。
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コメント
マスメディアは政治のニュースもその熱意で取材して欲しいものです…ワイドショーブームから加熱報道は言われていますよね?
投稿: 空 | 2015年9月30日 (水曜日) 20:34
空さんへ
災害報道も「視聴率優先」となるらしく、近頃のマスメディアはすべてバラエティー化しているようです。
投稿: 玉井人ひろた | 2015年9月30日 (水曜日) 21:41
あれだけのヘリが飛んでいたんですから、接触事故を起こす可能性だって心配されるわけです。
報道関連は代表ヘリに任せるとか、何かしらの対策が必要かと。
投稿: もうぞう | 2015年10月 1日 (木曜日) 19:09
もうぞうさんへ
仰る通りです。行政もしっかり指導するのが当然かと思いますが、なにも無かったようですよね
投稿: 玉井人ひろた | 2015年10月 1日 (木曜日) 19:44