‘ サイトウ ’ さん
明日から12月、12月と言えば「年賀状を書かなければ」という思いが強くなりはじめるころです。
その年賀状も、喪中のところへ出さないようにとか、文面などに書いてはいけないことなどが気になることですが、それより貰って一番気になったり、あまり良い思いをしないのが、名前の間違いではないでしょうか。
そういうなかで、最近の年賀状には略文字じゃなく役所に届けられている‘正式漢字’を使用することがとても多くなったため、特に名字の漢字にはとても気を使うようになりました。
そのため、ここ数年間でかなりの件数で親戚や知人の名字を修正するという作業をすることになったのでした。
その修正した親戚の中に「さいとう」というのもあって、その親戚の名字の漢字は「斉藤」⇒「齋藤」というふうに修正となりました。
さて、その「さいとう」の名字について面白いことが判ったのです。
名字研究家の高信幸男氏という人物がかつて調べたときのデータによれば、日本には「サイトウ」と読む姓が31種類は存在しているはずだというのですが、その「サイトウ」にあてられている漢字のランキングは次のようなものだそうです。
<「サイトウ」に仕様される漢字ランキング>
1位⇒『斎藤』(15万0494件)
2位⇒「斉藤」( 7万3424件)
3位⇒「齋藤」( 1万7071件)
4位⇒「齊藤」( 1111件)
※以下「西藤」、「西塔」、「才藤」、「済藤」、「西頭」が続き、
さらに「西等」、「佐井藤」、「再藤」などと書き表す小数派の‘サイトウ’さんが日本全国で21パターン確認されている。
「サイトウ」の名字は全国でもかなり多いほうの名字のはずですが「名字ランキング」であまり上位に来ないのは、その種類の多さだからなんだそうです。
それでも、やはり上位4位がもっとも一般的でしょう。
高信氏によると、その上位4の由来について驚きの事実があるというのです。
実は少なくとも上位の「齋藤さん」、「斎藤さん」、「齊藤さん」、「斉藤さん」の4つの名字は、すべて同じ『齋藤』が由来なんだそうですが、「なぜ4種に分かれたのか?」その理由はなんと・・・役所担当者の勘違い、書き間違いだというのです。
一番の勘違い・思い違いは、旧字体の「齋」と「齊」そして「斎」と「斉」の4つを“全て同じ意味、同じ読みの漢字”と思ってしまったことなんだそうです。
この二つの漢字は実は全く違う漢字なのです。その違いと正誤は↓です。
- 【 齋 】⇒「さい」が常読。
「齋」は「斎」の字の旧字体になる。
>祭りの前に酒や肉を立ち心を一つにして準備すること、またはその時の精進料理=「斎(とき)」そのものを指す漢字。 - 【 齊 】⇒「セイ」が常読。
「齊」は「斉」の字の旧字体になる。
>整う、整える。過不足なく揃えて調和した状態を意味する漢字。
このように全く意味が違う漢字なのです。
ということで、「齊」または「斉」を使用した場合「せいとう」と読むことになり間違いだというのです。
つまり、わが家の親戚は正しい漢字になったというわけで、よかった、よかったです。
こう言う根本的間違いの名字、もっとあるんじゃないでしょうかね?
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コメント
私の苗字に真の字があり、サインも真でします。戦時中に先生から本字の眞を書けと言われ、戦後は当用漢字で書け、と言われました。
それが、戸籍謄本電子化の際、何の通知もなく眞にされました。そのため、銀行の口座も眞と書かないと開けません。
必要があって明治時代につくられた除籍謄本を見たら、手書きで真(正確に言うと直の下にハ)となっていました。
眞には抵抗があるものの「文字は世につれ人につれ」、で旅券や銀行は仕方ないものの、真を押し通しています。
投稿: ましま | 2015年12月 1日 10:27
齋・・・書道をちょっとかじったら、すぐこの古い字にであいます。この字の成り立ちは古いです。形象文字であった時から祭事につかわれます。それから派生して巫女とか神事にかかわる人と関連する苗字です。先日、京都の古い土地、大原野神社をたずねて、「お弓の神事」という話を神主さんに聞いたんですが、「秦」氏か「斎藤」しか参加できない古い神事とのことでした。神を祀る古い家柄から出ていると思います。最も「はた」さんなら「畑」でも「波多」でもなんでもあり。斎藤さんも同じと思います。
投稿: 山口ももり | 2015年12月 1日 14:47
パソコンの普及がそれらに拍車をかけているのだと思いますね。
投稿: もうぞう | 2015年12月 1日 19:26
ましまさんへ
各自治体は、戸籍謄本の電子化に伴い一番に重視したのは「届けられた字体を尊重する。またはそれに最も近い字体を採用とする」だったようですから、「眞」の漢字になったようですね。
それと「眞」の漢字は二転三転したエピソードがありましたので、詳しいサイトのURLを記載します
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp/2009/02/12/shin/
投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月 1日 21:41
山口ももりさんへ
>「秦」氏か「斎藤」しか参加できない古い神事
聞いたことがあります。
秦氏は、中国からの移民と言うことがハッキリしていますので、齋藤も関係があるのかもしれません
投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月 1日 21:43
もうぞうさんへ
政府が、戦後に当用漢字、常用漢字、人名漢字、など何度も法改正を行ったことが一番の原因だと思います
投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月 1日 21:45
いやー、ありがとうございました。
眞のつく人、初めて知ってビックリ仰天です。ご親切は「名前をつけて保存」いたしました。
行政不服審査を申請する程ではないが、やはり「真」一筋で頑張ります。
投稿: ましま | 2015年12月 2日 11:45
ましまさんへ
もっと同じような‘ドタバタ劇’の漢字はあるんだと思います。
投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月 2日 18:39
中国からの移民というより、韓・・・ま・あ・あ・・韓国でしょうか。
投稿: 山口ももり | 2015年12月 3日 09:26
山口ももりさんへ
朝鮮半島を経由したことは間違いありませんが、
「秦(はた)氏」は中国戦国時代の「秦王」=始皇帝の末裔、つまり中国大陸に昔あった「秦(しん)」の国の一族だったのですが、後に秦の国が敗れて、朝鮮へ移動、そして日本へとやってきた移民とされていますね。
投稿: 玉井人ひろた | 2015年12月 3日 12:35