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2016年5月 3日 (火曜日)

‘改憲’の条文

大日本帝国憲法第7章 補則

第73条 将来 此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ 勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
 此ノ場合ニ於テ両議院ハ 各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ 議事ヲ開クコトヲ得ス 出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ  改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

( 将来、この憲法の条項を改正する必要があるときは、天皇の下す命令をもって、議案を帝国議会の議に付さなければならない。
 この場合において、両議院は、各々その総員の3分の2以上が出席しなければ、議事を開くことができない。出席議員の3分の2以上の多数を得られなければ、改正の議決をすることができない
。)

戦後になって改正された選挙法によって、日本史上初めてとなる20歳以上の男女全国民によって行われた国政選挙で選ばれた男女衆・参両議員は、上記の旧憲法の条項にのっとり憲法改正審議がなされ、昭和21年(1946)11日の公布となりました。

そして、半年後の昭和22年5月3日に憲法が施行され、その日が「憲法記念日」となり現在に至ります。

日本国家としては、たった1度の憲法改正になりますが、改憲派のほとんどがこれを「憲法改正」とは認めてはいないですね

現行憲法での改正条文は↓ 

日本国憲法第9章 改 正
 
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。
この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際 行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2. 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

会見派がよく引き合いに出すのがアメリカ合衆国憲法、この憲法は1789年(1787年作成、1788年効力全州批准1790年)の憲法制定以来、10,000件以上の修正案(改憲案)が議会に提出され17の改憲(修正)案が成立されています。

その一覧をみると↓

<アメリカ合衆国の憲法修正(改憲)の履歴>

  1. 各州の主権による免責(1795年)
  2. 大統領と副大統領選挙における選挙人投票規定(1804年)
  3. 奴隷制廃止(1865年
  4. 公民権の定義、市民の特権・免除、デュー・プロセスの権利および法の下の平等の州による侵害禁止、ならびに下院議員定数の規定(1868年)
  5. 黒人参政権(1870年)
  6. 所得税の課税(1913年)
  7. 上院議員の選出規定(1913年)
  8. 禁酒法制定(1919年)
  9. 女性参政権(1920年)
  10. アメリカ合衆国連邦議会の会期と大統領任期と継承の規定(1933年)
  11. 禁酒法の廃止(1933年)
  12. 大統領の2期までの当選回数の制限(1951年)
  13. コロンビア特別区に大統領選挙人を認める規定(1961年)
  14. 人頭税等税金の支払いの有無を理由に、大統領、合衆国議会等の選挙権を制限することの禁止(1964年)
  15. 大統領が欠員の時の副大統領の承継規定、および副大統領が欠員の場合にそれを埋める規定(1967年)
  16. 18歳以上の選挙権付与(1971年)
  17. アメリカ合衆国連邦議会議員の報酬の変更規定(1992年)

アメリカ合衆国憲法第5章[ 改 正 ] 
 連邦議会は、両院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、3分の2の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。
いずれの場合においても、修正(改憲)は、4分の3の州の立法部または4分の3の州における憲法会議によって承認された ときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。
いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が定める。

但し、1808年より前に行われるいかなる修正も、第 1章第 9条1項および 4項の規定に変更を加えてはならない。
いかなる州も、その同意なしに、上院における平等の投票権を奪われることはない。

見た通り、ブルーの文字以外は、日本では「民法」、「公職選挙法」、「税法」などであり、憲法とまでは言えないもので、その内容も修正(改憲)が当然のものばかりですので、それを引き合いに出すのはいかがなものでしょうかね?

しかし、わたしは護憲を訴える人々も疑問です。完璧な法と言うのは無いわけで一部の修正(改憲)はあっても当然であると思います。

なぜそうなるのかは、自民党が何年か前に作り上げた「改憲の草案」によるものと思います。自民党が考える改憲は‘一部修正’ではなく「新たな憲法作り」だからです。

ここから「改憲」=「新憲法」という変な方向が出来上がった気がします。

‘中道の考え’の国会議員や有識者は居ないのでしょうかね?

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コメント

終戦の年の11月11日、幣原首相はマ元帥と面会し憲法に関する声明を受けていますが、その1時間半前に、改正の調査をするようにとの勅令が出ていました(児島襄『史録日本国憲法』より)

投稿: ましま | 2016年5月 4日 (水曜日) 08:05

ましまさんへ

幣原総理は、憲法9条をマッカーサーに提案・進言した人物ですね

投稿: 玉井人ひろた | 2016年5月 4日 (水曜日) 08:17

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