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2016年6月23日

アジサイ ≠ 紫陽花

梅雨の花の代表と言ったら、なんといっても紫陽花でしょう。

しかし、この紫陽花と言う漢字と「アジサイ」という言い方の組み合わせ、改めて考えるとなんとも奇妙な組み合わせ、読み方・読み合わせだと思うのです。

そしたら、その理由が判りました。

本来は「紫陽花」という漢字と、「アジサイ」という名称は別々のもので、それぞれに違う語源と由来があった言葉を誤解から組合せられたものだったようです。

ですから、なんとも不可思議な読みになっていたんですね。

<アジサイの名称の語源と由来>

  • 古くは「アヂサヰ(あづさヰ)」の形だった。
    アヂ’は、小さいものが多く集まるさまを表す語。魚のアヂ(鯵)もそこから来た名称。
    サヰ’は、「真藍(さ・あい)の縮約、もしくは「サ(接頭語)+アヰ(藍)」縮約したもの。

    このことからアジサイとは、藍で染めたような色の小花がたくさん集まって咲くという意味から名が付けられたとされる。
     
  • アジサイの漢字として『集真藍』と書いたという説も見られるが、それは誤りである。
    これは「集(アズ)真(サ)藍(アイ)」が語源とする説の推測にあわした‘当て字’である。

<「紫陽花」の由来>

  • 古代中国の唐の時代、「白楽天(はくらくてん)」の名前でも知られる中唐(現在の河南省新鄭)の詩人「白居易(はくきよい)」が、若い頃、江州の郡守をしていた時に「招賢寺」というお寺を訪れた時に、寺に咲いていたとても綺麗な花の名を僧侶に尋ねたところ「判りません」というので、自作の詩と共にその花に名前を付けてやったとされる。
    それが「紫陽花」という花である。

Photoその記録によると、白居易によって「紫陽花」と名付けられた花の特徴は↓

・青色(藍色)の小さな花が集まって咲く花
・とても良い香りがした

上記理由から、「紫陽花」と名付けられた花は「アジサイ」とは異なる花で、「ライラック」(和名は「紫丁香花(むらさきはしどい)」、「リラ」とも呼ばれる花木)ではなかったか?と推測されている。

つまり、「紫陽花」の特徴が日本に在った「アジサイ」の花に似ていたために、‘同じ花’という誤解から、「アジサイ」の名称に「紫陽花」の漢字が当てられたようです。

こう言う勘違いからの名称の植物って、多いですよね。

例えば「アヤメ(文目・菖蒲)」と「ショウブ(菖蒲・花菖蒲)」の混同名称でしょうか。

近代での勘違い名称は、白い花で有名な「アカシア」でしょう。

和名では「ハリギリ」というこの植物の名は、アカシアではなかったことが何年か前に判明し、今は「ニセアカシア」という可哀そうな名前になってしまいました。

さらに悪い事に、黄色い花が咲く本当の「アカシア」には、「ねむの木」のことを指す「ミモザ」という名称が誤解されて使われてしまっています。

こう言う誤解の責任は、とるとしたら、誰がとるのでしょうかね?

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コメント

( ̄▽ ̄)これはどう見ても
ライラックだよねぇ~!
札幌はライラックは終わり
今はラベンダーが香り始めてますよ
アカシアはニセアカシアがほとんどです。

投稿: Pee | 2016年6月24日 06:56

Peeさんへ

アジサイに香りというのは、感じたことが無いですからね。紫陽花=ライラックが有力でしょう

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月24日 07:52

写真だけでなく、中味がありますね

投稿: ましま | 2016年6月24日 09:27

ましまさんへ

もっと考えればあるのでしょうが、私の持っている語源辞典にはこのような説明が記載されていました。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月24日 11:24

「あじさい」の「漢字」が先か「かな」が先か、面白いですね。私的には「アジサイ」のカタカナがいいですね。

投稿: 吉田かっちゃん | 2016年6月24日 13:18

吉田かっちゃんへ

名前が有って、それに漢字をくっつけたということでしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月24日 14:26

向日葵、酸漿、万年青、女郎花なども思い浮かびます。

投稿: もうぞう | 2016年6月26日 18:42

もうぞうさんへ

本来在った名に、無理やり漢字を輸入してというのは多いのでしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2016年6月26日 21:57

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