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2016年8月 9日 (火曜日)

‘生前退位’は・・簡単なような、難しいような

「生前退位」についての天皇陛下のお気持ち表明を受け、安倍総理は8月9日、長崎市で記者会見し

天皇陛下のご公務の在り方などについては、天皇陛下のご年齢やご公務の負担の現状に鑑み、天皇陛下のご心労に思いを致し、どのようなことができるのか、これから十分に論議を行い、議論し、検討を行っていきたい」

というような対応の考えを示したようですね。

さて皇室典範にはこうあります。↓

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに即位する。

「皇嗣(こうし)」とは皇太子のことで、一般的にいうところの長男・嫡男・跡継ぎということになりますが、【皇室典範】には生前退位については禁止どころか記載そのものが有りません。

ですから凡人のわたしとしては‘生前退位など簡単な話じゃないか’と単純に思ってしまったので、宮内庁や政府がどうしてそんなに慎重になるのか?正直なところ、ちょっと解らなかったですね。

そしたら、そもそも明治政府が皇室典範を作った要因・理由、それと同じようなことなどが今回も懸念材料として引っかかってくるんですね。

懸念のその1
 今上天皇が退位し、現在の皇太子徳仁親王(なるひとしんのう)が皇位に就いた場合、同親王には男子がおらず皇室には‘皇嗣(こうし)’の地位になる「皇太子」がいなくなってしまう。

<皇室典範・皇太子の定義>
第八条 皇嗣(こうし)たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫(こうそん)を皇太孫(こうたいそん)という

皇太子(皇嗣)には、何らかの事情が有り天皇が公務を行うことが困難な場合に、天皇の代理として天皇の国事行為を行う「摂政せっしょう)」という重要な役割責任と義務があります。

皇室典範では「摂政」について、↓こうあります。

第十六条 天皇が成年に達しないとき摂政を置く。
、天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。
 

第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。 

一 皇太子又は皇太孫
二 親王及び王
三 皇后
四 皇太后
五 太皇太后
六 内親王及び女王

つまり、皇太子徳仁親王が天皇になった場合、皇太子も皇太孫もいないので、皇位継承1位に変る『秋篠宮文仁親王(あきしののみや ふみひとしんのう)』に摂政になる順位が回ってくることになるんだとおもいます。

皇后になる雅子様にはお体に不安が有り、『秋篠宮悠仁親王(あきしののみや ひさひとしんのう)』は未成年ですから、始めから資格が無いので、当然でしょう。

そうなると、もう一つの懸念が有るんだそうです

懸念その2
皇室典範では廃止になったが、それまでは有った「皇太弟(こうたいてい)」という身分を復活させなければならないのか?

<皇太弟(こうたいてい)>とは、皇位を継ぐことになっている天皇の弟。現行の皇室典範には無い

つまり、現在なら天皇の弟になる『常陸宮 正仁親王(ひたちのみや まさひとしんのう)』がそれになります。

秋篠宮悠仁親王が摂政となる場合は「皇太弟という立場にしなければならないのでは?」ということも考えられるというのです。

皇太弟の廃止や、男系天皇は跡目争いで内乱が起ることを防ぐために決められたものだそうですが、もうその考え自体が古い気がします

そして、最も重要な懸念があります。

懸念その3
天皇の思いを汲み生前退位が成った場合、それ前例となり皇位継承や天皇制そのものにも影響が出るのではないか?

要するに、これから皇太子が「天皇をやりたくない」と言い出したら、それも聞くのか?というような懸念です

皇室だって憲法で人権が認められていますから、意見は言えますが、全部聞いていたら天皇制そのものが崩壊しかねないという懸念です。

私は思うのです。これらはすべて天皇が公務を代行する場合の理由が<精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるとき>だけに限定されているからです。

ここに<加齢や疲労・過労>という文言を付け加えるだけで、解決するんじゃないかと・・・?

違いますかね。

あ!そう言えば、退位されると、その後のお住まい(御所)がどうなるか?という問題も出てくるんですね。

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コメント

<皇室だって憲法で人権が認められていますから、

とても「人権」とは言えないようです。
・婚姻の自由=皇室会議の承認が必要
・選挙権・被選挙権=なし
・居住の自由=なし
・職業の自由=なし

投稿: ましま | 2016年8月11日 (木曜日) 11:10

ましまさんへ

「有る無し」の結果論から言えば仰る通りですね。

ただ、解釈はいろいろありますが、法的には「憲法上権利は認められているが、結果として行使できない」とするのが適当のようです。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年8月11日 (木曜日) 12:25

なにやら難しいですね。
皇位継承、現皇太子の次は、秋篠宮が天皇になるわけですが、
なぜ秋篠宮は皇太子になれないのでしょうか?
兄弟だから?

投稿: もうぞう | 2016年8月12日 (金曜日) 19:13

もうぞうさんへ

皇太子にも規定が有って、それには当てはまらないようです

投稿: 玉井人ひろた | 2016年8月13日 (土曜日) 18:49

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