鈴木貫太郎総理の・・・黙殺
昨年の、「平成27年全国戦没者追悼式」において安倍総理が語った内容の一部とそれの英訳です↓
「戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。」
【On the 70th anniversary of the end of the war, I bow my head deeply before the souls of all those who perished both at home and abroad.
I express my feelings of profound grief and my eternal, sincere condolences.】
専属の翻訳家がやったのですから誤訳は無いと思いますが、日本語の原文と英文の長さの差を見比べれば、日本独特の難しい‘熟語’が連なる政治家の挨拶文の英訳には大変なご苦労が有ることが感じられます。
日本に原爆が投下された理由の一つに、連合国が日本に発した「無条件降伏」というポツダム宣言に対する日本の返事に、当時の鈴木貫太郎総理大臣が「黙殺」という言葉を使ったからだというのがあります。
鈴木総理の意図する「黙殺」とは、「日本では、その内容を受け入れる時期になっていない」というような意味があったそうなのですが、記者団は「無視する」と英訳されたことによって、その内容を知った連合国側の怒りをかったというのがあります。
国内では有名な誤訳の話ですが、
それに関してアメリカ国家安全保障局の『誤訳の危険性について』のレポートに興味深い分析結果が記されているらしいのです。
- トルーマン大統領はポツダム会議でイギリスとソビエトの指導者とともに「(日本が)無条件降伏を受け入れなければ迅速かつ徹底的破壊を受けることになる」と日本に勧告したが、日本の鈴木貫太郎総理大臣の「黙殺」という記者団への言葉が、「何も言うことはない(no comment)」ではなく、「見解を述べるに値しない(not worthy of comment)」と誤訳されたことで、アメリカ合衆国関係者が憤り、断固たる手段に出ることを決めた。
つまり、誤訳されたことが原爆投下などの手段に発展したという分析で、「外交の翻訳の仕方には細心の注意が必要となる」という結論なのかもしれません。
ただし、最近の研究では原爆投下の理由は‘アメリカがソ連に対し国力を示し、威圧する手段として原爆を使った」という説が強くなってきています。
いずれにしても、今も昔も日本の政治家の言語や言い回しは解かり難いということでしょう。
ところで、アメリカにはあの有名な「CIA」の他にも情報機関が存在していたんですね。やはり、凄い国です。
①中央情報局=【 CIA 】(Central Intelligence Agency)
「アメリカ合衆国大統領」の直属の監督下にある情報機関で、中央情報局長官によって統括されている。
②アメリカ国家安全保障局=【 NSA 】(National Security Agency)
「アメリカ合衆国国防総省」の情報機関で、通信傍受・盗聴・暗号解読などの「信号情報」活動を担当する。
1952年(昭和27年)に発足し職員は3万人以上、予算も中央情報局(CIA)を上回るとされるが、その詳細は機密になっている。
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