視聴率の怪

近年のテレビ番組の特徴の一つに、テレビ局ごとに類似番組が異常に多いことがあります。

一つのテレビ局がちょっとでも人気が上がったり、視聴率が高い番組を制作するととてもよく似た番組を他局が必ず制作してきます。それはＮＨＫも例外ではありません。

そこで、類似番組の方が面白いと、どこが最初で、どこが真似したのか不明になってくることも珍しくない昨今です。

これには「視聴率」というデータが最も大きな影響を与えているのは間違いありません。

ただ、視聴率と言うのはかなり前から行われていますが、以前はそれほど類似番組が制作されることは無かったと思います。

それが、なぜ最近になって急激に増えたのか？

それは、視聴率の測定法が変って、高度で細密な情報が収集されるようになったからだと思うのです。

昔の視聴率測定と言うのは、契約された家庭でどのテレビ番組を視たかを調べていたのですが、それはあくまで一件に１台のテレビが対象、つまり視聴された番組はそのモニター一家全員共通の番組だったわけです。

ところが、今の測定法は全く違います。

視聴率を測定する企業として有名なのは「ビデオリサーチ」ですが、ここでは家庭内の最大８台までのテレビの視聴状況を測定します。

さらに、チャンネルセンサーで視聴しているチャンネルを測定するとともに、PM表示器には世帯内の個人ごとのボタンがあり、視聴の開始時と終了時にそれを押すことにより個人の視聴を登録し、世帯視聴率と個人視聴率を同時に調査することを可能にしているそうです（調査対象は世帯内の４歳以上の家族全員）。

『PM表示器』とは、「ピープルメータ（People Meter）」の略。
世帯視聴率と個人視聴率を同時に調査するシステムで、日記式個人視聴率調査に代わるものとしてアメリカで開発された。

※ビデオリサーチでは、関東地区で平成９年（1997） ３月３１日より、関西地区で平成１３年（2001） ４月 ２日より、名古屋地区で平成１７年（2005）年 ４月 ４日より導入。

測定した視聴データはオンラインメータに転送、記録されるそうです。

現在の視聴率とは、家庭別、男女別、年代別、時間帯別等々、ほんとうに詳しく出てくるのです。

つまり視聴率は、どうしてもテレビを多く見る、年代が高くなり、その年代をターゲットとしたい企業は、同年代の好む内容を中心とした番組を好む（要求する）ため、それが類似番組制作多発に繫がるんだと思います。

わたしのように、決まった時間帯と、決まった番組に偏った見方をする人が好む番組は視聴率が上がらず、結果として面白い番組が減るという循環になるのかもしれません。

結局、視聴率が出ないＢＳの番組を視ることが多くなるわたしです。

テレビ局も、凝った番組は視聴率に関係ないＢＳに多くなってきているのも、この視聴率の疑問の影響が大であることは間違いないでしょう。

情報過多、の弊害の一つでしょう。