童謡「赤とんぼ」の‘トリビア’
♪夕焼け小焼けの 赤トンボ~♫で始まる童謡と言ったら、誰もが「赤とんぼ」が頭に浮かぶのではないでしょうか(?)。
私は小学校の頃、とても歌詞が覚えやすいのに、印象に残る内容の歌としても、思い出に残る曲の一つです。
『赤とんぼ』
夕焼小焼の 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か山の畑の 桑の実を
小籠(こかご)に摘んだは まぼろしか十五で姐や(ねえや)は 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた夕焼小焼の 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先~♪
さて、この歌は‘作詞:三木露風 作曲:山田耕筰’の『文部省唱歌』の一つですが、学者など知識人の間では、「ここに出てくる‘赤とんぼ’の種類は何だろう?」と、いう真剣な議論があったのだそうです。
実に面白い話じゃないですか()
日本には20種類以上もの「赤とんぼ」と呼ばれるトンボが生息しているそうですが、そのほとんどが群れ飛ぶのは秋と言うことで、この歌の背景になる季節は「秋」、そして秋の赤とんぼの代表と言ったら『アキアカネ』ということで、アキアカネだろうというのが一般的でした。
ところが・・・
「『アキアカネ』は夕方にあまり飛ばない習性のトンボなので、違う種類ではないのか?」
という疑問が発端で、次のような主張が出現します。
“夕焼けの中でよく飛ぶのを見かける『ギンヤンマ』などが‘夕日を浴びて赤く染まって見えた’のではないか?”
それに対し↓
“夕焼けが早く訪れる東北などでは、夕焼けの時間帯と『アキアカネ』の群飛が一致し、そのような風景が見られ、赤とんぼの歌のトンボは日本特産種のアキアカネがふさわしいしい”
という主張が出て、「やはりアキアカネだ」ということで一旦論争は終止符を打ったかに見えたのですが・・・
それに対しまたまた新たな反論がでます。
“作詞した「三木露風(みきろふう)」の故郷は兵庫県の揖西郡龍野町(現在の‘兵庫県たつの市’)。
西日本では、赤とんぼと言ったらアキアカネよりも『ウスバキトンボ』が一般的で、秋には群れをなして飛ぶのも見かけるのはこのトンボであり、赤とんぼは『ウスバキトンボ』であろう”
これに対しアキアカネ派の反論↓が出ます。
“歌詞には「止っているよ竿の先」あるが、「ウスバキトンボ」はそう言う止り方の習性は無く、枝の途中や葉などにお尻を下にしてぶらりとたれさがってとまることが多いため、やはり「アキアカネ」のほうが有力である。”
さて、その勝敗の結果は簡単に出たのです。
この歌を作詞した「三木露風」が、「赤とんぼ」に関しての回想を発表したのです↓
http://www.tombow.pippo.jp/miki/
つまり、竿の先に止った赤とんぼと、夕焼け空に群れ飛ぶ赤とんぼは場所も情景もちがうもので、最初から2種類以上のトンボが題材だったのです。
改めて知ったのですが、この歌詞に出てくる「姐や(ねえや)」とは三木が子供のころに雇われていた‘子守’だったんですね。
この時代の子守と言えば今で言う小学生くらいの幼い女子、三木を負ぶってトンボを見せていた情景を思い浮かべ、NHKテレビ小説の「おしん」を思い浮かべました。
それと同時に、幼くして丁稚奉公に出された祖父の幼い日が重なってしまいました。
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コメント
トンボは2種類のトンボを題材にしていたのですね。
そして姐やは、自分の本当のお姉さんではなく子守の
奉公に来ていた女の子だったのですねーー。
おしんの世界ですね。
玉井人さんのおじい様の幼い日が重なりましたか。
その頃はまだおしんの世界は現存していたのですね。
投稿: 浜辺の月 | 2016年10月28日 09:06
浜辺の月さんへ
この童謡が作られたのも、祖父が奉公していたのも、同じく大正時代の話しですからね
投稿: 玉井人ひろた | 2016年10月28日 11:01
子守といえば「五木の子守歌」思い出しました。
投稿: ましま | 2016年10月28日 11:23
ましまさんへ
あまりにも有名な子守歌ですからね
投稿: 玉井人ひろた | 2016年10月28日 15:09
負われて・・・
を。ずっと「追われて」と思っていました。
すなわちトンボの立場での唄だと。
投稿: もうぞう | 2016年10月28日 19:32
もうぞうさんへ
実は、私も同じく思っていました
投稿: 玉井人ひろた | 2016年10月28日 21:43