「 腹は北山 」と秋の徒然
水戸黄門の再放送を視ていたら江戸っ子の八兵衛さんが、「あっしはもう‘腹は北山’だ」ということばを言ったのです。
わたしには初耳の言葉でしたが、ストーリーからその意味は直ぐに「腹がへってきた」と言うことを意味することだと、察することは簡単でした。
当初は「‘腹’が減って‘きた’」の言葉にかけた洒落言葉くらいに思いましたが、ちょっと意味を調べたら、もっと深い由来が有りました。
この言葉は「腹は北山時雨(きたやましぐれ)」とも言うのだそうで、時代劇のはこれをさらに短くした江戸っ子の言い方のようです。
ここでいう‘北山’とは、京都の北の方角に在る船岡山・衣笠山・岩倉山などの山々を指しています。
京都の秋から初冬の天候というのは北山の方から崩れてくるのが常で、その時に降る霧の様な雨を、京都では「北山時雨(きたやましぐれ)」と呼ぶ。
この北山時雨が降るときは、北の山に霞がかかり、山々の輪郭がぼんやりと「透けて見える」ようになる。
その風景を言う「北山時雨で山の姿がだんだん透(す)いてきた」という言葉に、「だんだん腹がすいてきた」を掛けて言った洒落が「腹が北山時雨」→(略して)「腹は北山」となったものである。
なるほどです。
いつもながら、古の人の洒落言葉は‘粋’です。粋以外に言葉は無いでしょう。
こんな言葉も見つけました。 「足袋屋の看板」
使い方は、
「てめぇはみてぇな野郎は、『足袋屋の看板』てんだ!」
と言う風な具合で、既婚者か年長者が若い独身の男性に対してからかう時に使ったようです。
意味は「片思い。片思いの男」だそうです。
なぜそうなるかは、私は知っていますが、お調べください。
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コメント
なるほど。素敵な暗喩ですねぇ。
こんな言葉を使いたくとも、こちとら「学」が
ないのでめったにはでてきません。
もっと本を読まなきゃ。
投稿: あね | 2016年11月10日 22:16
あねさんへ
こういうのって、自然発生で出るんじゃないですかね
投稿: 玉井人ひろた | 2016年11月11日 08:18
わたしはまず、“玉井人ひろたさん”の「あれっ?」と思ったことを、いい加減にしておかないで“調べてみる”というところに大きな拍手を送りたいです。
普段、いい加減な自分の理解だけで使っている言葉は、きっと誤りだらけだったりするのかもしれません。正しく知っていれば、場面に応じて的確に“粋なことば”も使えますよね。「腹は北山」さっそくきょう使ってみるとしましょうか・・・。
投稿: koji | 2016年11月11日 08:21
kojiさんへ
これは、亡くなった親父譲りの性格ですね。親父も、よく聞いたり調べていました
投稿: 玉井人ひろた | 2016年11月11日 09:40
北山。京都でなじみのあるのは東山と西山。「腹は……」は京都の人でも知らないんじゃないかな
投稿: ましま | 2016年11月11日 10:05
ましまさんへ
言葉は知らないでしょうが、農家などは天候の変り目の目安になることは知っているかもしれませんよ
投稿: 玉井人ひろた | 2016年11月11日 11:48
いや~ほんと、納得しないと気が済まない?
玉井人ひろたさまほどではないかも知れませんが、私もその傾向があるようです。
しかし面倒だから、ついみなさまに頼ってしまいます。
投稿: もうぞう | 2016年11月12日 19:20
もうぞうさんへ
わからないと、気になってしょうがないのです
投稿: 玉井人ひろた | 2016年11月13日 08:05