「不時着」・・「緊急着陸」・・「予防着陸」・・「墜落」
沖縄県名護市東海岸から約1キロの沖合の海岸でアメリカ軍MV-22オスプレイ1機が大破し、全搭乗員(5人の内2人負傷)が救助されたということがあったのは昨年の12月でした。
当時の稲田朋美防衛大臣や日本政府は「不時着(不時着水)」と発表し、それに対し「あれは墜落だ」と論議の的になりました。
あの時、防衛省の説明は↓でした。
「(我々防衛省は)アメリカ側から説明を受けた時に『不時着水=‘ landing in shallow water ’』という表現を使っていたため、報道資料にもその言葉を(そのまま)用いた」
ところが、そのアメリカ軍報道官が記者会見での説明では「「Crashes」(墜落)という言葉を使ったのでした。
ですから、アメリカのマスコミは「墜落」という表現で事故を紹介しました。
沖縄の地元紙も当初は日本政府発表の「不時着」を使用していましたが、その後は「墜落」に訂正しています。
そして今回の、10月11日(水)夕方、沖縄本島北部の米軍北部訓練場に近い沖縄県東村高江の牧草地に米海兵隊のCH53大型輸送ヘリが不時着・炎上したと報道と政府発表された事故です。
今回もアメリカ軍ヘリは木端微塵となったため「不時着では無く‘墜落’だ」という反論が上がることになりました。
地元紙の<琉球新報>の事故直後の様子を書いた記事には↓
11日午後5時半ごろ、炎上現場から200メートルほど離れたところに住みその土地の所有者でもある西銘美恵子さん(63)が庭の草刈りをしている時だった。
現場から100メートルの豚舎にいて、車で戻ってきた義父・西銘清さん(87)が美恵子さんに「臭いがするけど」と言った。
美恵子さんと清さんが庭のタンクに登ってみると、牧草地から黒煙が上がり、赤々と炎が燃えているヘリが見えた。
清さんから電話を受けた西銘美恵子さんの夫の西銘晃さん(64)は畑から急いで自宅に戻った。操縦席のある前方部分が燃えているのを確認。
晃さんは炎上現場に向かおうとしたが、男性のアメリカ兵が6人、女性の兵士が1人、ヘリの方向から晃さんの方に向かって来た。
そして、女性アメリカ兵が英語で「不時着したから逃げてきた。危ないから離れて」と伝えた。
その様子から、アメリカ軍ヘリは異常を確認した為、人けのない牧草地に‘緊急着陸’をし、その後に搭乗員が脱出避難してから爆発炎上したようです。
つまり今回のは緊急着陸成功後の大破であり「不時着」で間違いないようです。
自衛隊における不時着(着水)と墜落の定義はこうです。
- 不時着
「パイロットの意思で着陸または着水した場合は、不時着(不時着水)」になる - 墜 落
「(パイロットが)機体のコントロールを失った状況で着陸または着水する状況が墜落」である
判ったような曖昧なような気がしますが、操縦が出来ての着陸か否かのようですね。
この他に、2000年ごろからアメリカ軍では「予防着陸」という言葉で沖縄の学校の校庭などに緊急着陸などの行動を何度も行うようになりました
根本問題は「不時着か墜落か」という議論では無く、地位協定や日米安保なんですよね。
それをもっと国民もマスコミも、そして‘選挙に勤しんでいる国会議員の方々’は議論すべきでしょうね
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コメント
米軍が使うスケールAといったランク付けがよさそうです。
投稿: ましま | 2017年10月14日 (土曜日) 12:45
ましまさんへ
それの方が、良いのかもしれませんね。ただ一般人向けではない気がします
投稿: 玉井人ひろた | 2017年10月14日 (土曜日) 18:12
こんばんわ。
この関連、「ニュース」で見ました。
こんな事をするぐらいならば、日本に「アメリカの戦闘機」、来ないで欲しいですね。
投稿: H.K | 2017年10月14日 (土曜日) 20:57
不時着と墜落の境界線がはっきりしません。
結局、コントロール機能を失ったから
lanndingせざるをえなかったということですよね。
と、いうか落っこっちゃった、ということ。
やっぱり墜落、という言葉が正しいような
気がします。
おっしゃる通り、地位協定や日米安保があるから
こそ、沖縄の人たちはこんな苦しみをいつまでも
味わうことになるのですよね。
相変わらず、玉井人さんの話はお詳しい(*^_^*)
投稿: あね | 2017年10月15日 (日曜日) 07:06
H.Kさんへ
そこまでは言えないですが、地位協定は邪魔です
あねさんへ
曖昧ですよね。ただそれだけその判断が微妙な問題をはらんでいるということでしょう
投稿: 玉井人ひろた | 2017年10月15日 (日曜日) 08:10