『おぼだて』と「麻の葉模様」
「おぼだて」という言い方、私の地域では昭和40年代から50年代初期ごろまではよく使われていたのですが、最近は全く聞かなくなりました。
このことばは広辞苑にも載っているので方言ではなさそうですが、私の地域での使い方は広辞苑の意味とは微妙に違います。
今でもそうですが私の地域では、赤ちゃんが生まれるとその赤ちゃんの祖父母や叔父叔母などの親せきが産婦のところへお祝いとして産着などを持っていくのですが、そのお祝いの品のことを昭和40~50年代には「おぼだて」と言っていました。
つまり、「おぼだて」とは現代の出産祝いのことです。
ですから、衣料品店に行き産着などの赤子の衣服を買うと、店員さんが「『おぼだて』ですか?」と声がかかり、「ハイそうです」と答えると「おめでとうございます」と言われ、次いで「箱に入れますか? のしはどうしますか?」などの話が順序となるのが常識でした。
そしてその頃の産着は決まって、この模様の生地が使われていました。
色は黄、紺、白、空色とか有ったのですが、模様はこれでした。
これは麻の葉に似ていることから「麻の葉模様」と呼ばれるそうですが、その当時はどうしてこの模様が使われるのかは深く考えてもみませんで「あたりまえ。」や「汚れが目立ちにくいからかな」ぐらいに思っていました。
そしたら・・
麻というのは成長が早く丈夫な植物で、その性質にあやかり丈夫で早い赤子の成長を願ったもので、それに魔よけの赤色などが加わり、健康や厄除けも祈念して赤子の産着に使うようになったようです。
麻は神道では「大麻」(おおぬさ)と呼ばれ神事には欠かせないものなので、縁起のいいものを足すのが好きな日本人がそれらの意味も加味されいいたのかもしれません。
けっして、赤ちゃん用にはこの模様の生地しか作っていなかったわけじゃなかったんですね。
ただ、私の両親や祖父や祖母、そして叔父叔母たちがその意味を知っていたかは、大いに疑問です。
最近のコメント