敵性語
先週の早朝のNHKの報道番組で、日本在住でNHKディレクターのカテリーナさんというウクライナ人女性の家族の特集を視ました。
この報道は、もっと前にNHK総合で放送した特集番組「ウクライナ語で叫びたい」という放送に関連した内容だったことを後で知りました。
ウクライナの国語は「ウクライナ語」ですが、国民はウクライナ語=50%、ロシア語=50%の割合で使用されているそうです。
カテリーナさんの家族は、父母と妹さんとの4人家族でウクライナに暮らすごく平凡な家庭で、両親は旧ソ連時代から暮らしていたので話す言葉は「ロシア語」でカテリーナさんらも幼いころからロシア語の家庭で育ったそうです。
しかし、2014年ロシアによる強制的にクリミア併合という暴挙が起こり、それ以来父親は「敵のロシア語は話したくない」と言い出し、慣れないウクライナ語で話すようになったそうで時に言っていることがわからないこともあったそうです。
それに対し、カテリーナさんらは「言葉は、敵じゃない。ロシア語で話していいのではないか」と言ったそうですが、父親は頑として「ロシア語は使わない」と聞く耳を持たなかったそうです。
その様子に、母親とカテリーナさんらはしょうがないと笑っていたそうです。
ところが、今年の2月にロシア軍による侵略攻撃が始まり、祖国すべてが戦場となり破壊される光景を目の当たりにして考えは一変したそうです。
「(敵の)ロシア語は、絶対に話したくない」
これは、この家族だけのことではなくウクライナでは「ロシア語は話さない」という動きが広まっているそうです。
日本の戦時中に「敵の言葉を使わない運動」というのが自然発生し、後にそれは法律でも何でもないことなのに警察が公然と取り締まるという嫌恐現象を引き起こしました。
かつての日本国内まではいかないでしょうが、ウクライナそして世界でもかなり近いことが起きそうな気配で、なによりこれから尾を引きそうなことです。
「適性語」などという、日本の戦時中の言葉がロシアのウクライナ侵攻によってまた目にするとは思いませんでした。
国や人種に関わらず、戦争がはじまると同じ考えが起こるんですね。
戦時中の日本でも、同じ精神状態から生まれたのだろうと思いました。
気づいているでしょうが、日本国内の報道ではウクライナの都市名の読み方がロシア語から全てウクライナ語読み表記に変わりました。
ロシアの暴挙は、こんな影響も引き起こしてしまったようです。
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コメント
こんばんわ。
・「文章」を読んで。
この問題は、解決するのは難しいですね。
投稿: H.K | 2022年6月 4日 (土曜日) 22:38
>H.Kさんへ
心情的なことですから、非常に難しいし尾を引きそうです
投稿: 玉ヰひろた | 2022年6月 5日 (日曜日) 05:03
こんにちは、玉ヰひろたさん。
先日はわたしのブログへ来て頂いて大変ありがとう
ございました。
このロシア語を使わない、つまり敵の国の言葉を
使わない という事、時代や国が違っても同じ
動きが起こるのですね。
かなり色々な意味で深刻ですね。
投稿: 浜辺の月 | 2022年6月 5日 (日曜日) 17:59
>浜辺の月さんへ
気持ちの問題は、戦争が終わっても続くから厄介です。
投稿: 玉ヰひろた | 2022年6月 5日 (日曜日) 19:53
言語は人間そのものを表現しますから、ウクライナ人がロシア語を使わなくなるというのは理解できますね。
私たちも先日のコンサートで「カチューシャの歌」を歌う予定でしたが、やめました。
しかし、もう一歩考えるとロシア文化すべてを否定しているわけではない。 ドストエフスキー、ツルゲーネフ、トルストイなどなど多くの文豪、文化は世界に大きな影響を与えている。
「すべて」、までは否定したくないです。
投稿: へこきあねさ | 2022年6月 5日 (日曜日) 20:18
>へこきあねさんへ
難しい問題です。
投稿: 玉ヰひろた | 2022年6月 5日 (日曜日) 22:03
日本もひどかったようですからね。
それでも面白いのは、臨時ニュースを申し上げます。のニュース。
英語由来の言葉を使っていたようです。
投稿: もうぞう | 2022年6月 6日 (月曜日) 16:46
>もうぞうさんへ
国が禁止したわけじゃないですから、使う人は使っていたようです。
特に日本海軍は、普通に使っていたようです
投稿: 玉ヰひろた | 2022年6月 6日 (月曜日) 17:02
玉ヰひろたさま
貴殿ももうぞうさまも私より遥かにお若いのに
多方面にわたる知識の広さに感服いたしております。
歳ばかり取っていますが人生今まで真に勉強したことが無かったことが悔やまれます。
投稿: 輝ジィ~ジ | 2022年6月 7日 (火曜日) 19:10
>輝ジィ~ジさんへ
それは、ご謙遜でしょう
投稿: 玉ヰひろた | 2022年6月 7日 (火曜日) 19:39