日航機墜落の裁判は続いてる
1985年8月12日に、日本航空123便が群馬県の御巣鷹の尾根に墜落し、520人が亡くなるという単独機としては世界最大の航空事故から36年が過ぎましたが、その事故原因などをめぐっていまだに裁判が行われています。
その事故で夫を亡くした吉備素子さん(80)と、同じく犠牲になった日航機副操縦士の姉の市原和子さんの2人は、2018年と2020年にボイスレコーダー(音声記録装置)とフライトレコーダー(飛行記録装置)の生データの開示を日本航空に求めましたが、日本航空は「公的な調査目的以外の使用は禁じられている」などの理由で応じませんでした。
そのためこの2人は2022年6月に、
「両レコーダーには飛行状況や機内での会話が記録され、そのデータは事故直前に夫や弟がどのような状況にいたかを知ることができる個人情報だ。」
として、墜落機のボイスレコーダーとフライトレコーダーの生データの開示を求めた民事訴訟を日本航空に対して起こしました。
ただ、なぜか?日航機副操縦士の姉の市原和子さんは、訴訟の途中で訴えを取り下げてしまいます。
日航社員の遺族であるため、同社から彼女に対し何らかの話しが合ったことは想像がつきます。
一方、1人になった吉備さんに対しては、本日の10月13日に東京地裁(加本牧子裁判長)より「請求を棄却する」という原告敗訴の悲しい判決が下されました。
判決理由は
「フライトレコーダーは気圧や高度など運航に関する飛行データで、特定の個人を識別できる性質のものではない。ボイスレコーダーは管制官と航空機の機長、副操縦士との会話内容が録音されたもので、乗客の個人情報とはなり得ない」
という日航機側の主張をほぼ全面的に認めたものです。
ここで私の疑問は・・
吉備さんは、単純に墜落する機内の様子を知りたいのに対し、日本航空側は「個人特定」にこだわっていて遺族側の思いとはかみ合っていないのに、裁判所は会社側の言い分の筋書きを優先していることです。
次いで不審に思うのは、副操縦士の遺族が訴訟を降りたことです。
未だに墜落原因には謎が多い事故ですから、訴訟を取り下げたことで亡くなった副操縦士の弟に対し、世間からいらぬ詮索を招きかねない気がしてしまいます。
日本も、アメリカのように航空機事故に関しては、独立した専門調査機関が日本にも必要だと思います。
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コメント
あの痛ましい事故の裁判がいまだに続いているなんて知りませんでした。
日航側も後ろめたいことがないのだったた、遺族の気持ちを尊重して開示する必要があると思いました。
「感染対策センター」と同じように、そのような専門機関の設置も遅れていますね。
投稿: へこきあねさ | 2022年10月14日 (金曜日) 13:48
>へこきあねさんへ
国としては、「大事故は稀」という前提で「常設は費用がもったいない」として創設しません
投稿: 玉ヰひろた | 2022年10月14日 (金曜日) 14:55