昭和55年、伊東外務大臣演説
1980年(昭55)9月23日ニューヨークの国連本部で開催されていた第35回国連総会で、日本から参加していた当時の故伊東正義外務大臣(福島県の会津)が行った一般討論演説の中で、現在の中東やイスラエルの問題で注目を浴びている部分を掲載します。
>わが国は,公正かつ永続的な中東和平の実現のためには,国連安保理決議242及び338が完全に実施され,イスラエルが67年戦争の全占領地から撤退し,かつ国連憲章に基づき,パレスチナ人の民族自決権を含む正当な諸権利が承認され,尊重されなければならないと考えております。
以上の観点から,わが国は,総会決議3236及び去る7月緊急特別総会で採択された総会決議ES-7/2にうたわれたパレスチナ人の自決権に関する原則と精神を支持するものであります。
(中略)
わが国は,従来より中東問題の核心といわれるパレスチナ問題の重要性を認めており,問題の公正な解決のためにパレスチナ人を代表するPLOとイスラエルが,相互に相手の立場を認めることにより,PLOが和平過程に参加することが必要であると確信しております。
また,わが国は,問題の公正な解決のための環境づくりに,関係当事者が一致して真剣な努力を払う必要があることを強調したいと思います。その関連でわが国は,最近のパレスチナ自治交渉の停滞と西岸情勢の悪化を極めて憂慮しておりますが,その一義的原因が占領地における入植地の建設,東ジェルサレムの併合措置等イスラエルの占領政策に起因していることは,非常に遺憾なことであります。
イスラエルが国際社会の声に素直に耳を傾け,平和的な話し合いに応じる勇気と柔軟な態度を示すよう切に願うものであります。
伊東外相は、最後に常任理国の拒否権を容認しつつも、その権利の乱用を強く指摘していました。
至極真っ当なことですが、40年以上も経ってもなおこの演説で語られたことは実行されていない現状を見ると、国のトップが変わるとすべてが元の木阿弥になっていくのが歴史だと再認識させられます。
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