学校の先生もタイムカード?
今日の朝刊の一面は、公立学校教員の残業時間に応じた手当を支払う仕組みを導入することが、政府内の関係省庁が検討を始めたことが3日に分かったことが大きく載せられました。
これが採用になれば、現在行われている残業代の代わりに一定額を給与に上乗せ支給する「教職調整額」(俸給月額の百分の四に相当する額)の制度は廃止されるというものでした。
この目的は、教員の勤務時間を反映した賃金体系へ変え長時間労働の解消し、管理職に過重労働を抑える動機が働くようにすること狙うようです。
しかし、実効性を確保するには責任者による教員の勤務実態の把握など課題も多く、政府内では異論もあり調整は難航が予想されているというのです。
一般労働者から言えば、残業手当(時間外手当)を受け取るのは当然の権利なのになぜ難航が予想されるのか不思議ですが、学校の現場には特殊(異様)な背景があるようなのです。
そもそも、戦後に労働法関連の諸法規が制定された際に、 教師も労働者の一員として基本的には労働基準法が適用されることになり、 8 時間労働制を定める労基法 32 条、 時間外労働の手続や残業手当について定める36条・37 条も適用されて、教師にも 残業手当が支払われるべきものと定められました (地方公務員法 58 条 3 項)。
ところが、
この法律を守るように旧文部省、 旧労働省,、人事院が何度も指導したにもかかわらず、学校の現場では残業手当が支払われなかったり残業の有無を曖昧にされることになります。
なぜそうなるのか?それは教師に適用される給与特殊法が要因ののようです。
この法律では、教師の「授業準備、テスト問題の作成・採点、クラブ活動の指導、家庭訪問」などは、すべて校長が定める「勤務時間の割振り」 によって時間内に処理すべきで、自治体・校長は原則として教師に残業を行わせてはならないとなっています。
要するに、管理職は 「臨時又は緊急にやむを得ない必要」 がある場合に限り残業を命じられるが、その放課後の仕事が校長の定める「勤務時間の割り振り」の内にあると判断されれば、 残業時間数に見合った割増賃金は支払われず、その代わりとして 「教職調整額」 が支払われるているのが現在の状況になっているのです。
その現場での判断が曖昧の為、「残業手当請求訴訟」が繰り返し提起されています。
そして、そのたびに裁判所での判断は労働基準法に従って残業代支払い命令が下されることになるという、教師にとっては無駄な時間と労力が生じてきた経緯があります。
今回の政府の検討開始は、現場の教師にとっては非常に助かることですが、現場の管理職である校長・副校長や自治体にとっては判断基準が示されないとか、残業が増えると厳しい処遇があるのではないかと反対が起こっているようです。
難しいことですが、一番の問題は「石頭」が居並ぶ文科省の役人をどう納得させられるかではないでしょうかね。
でも首相は石破だから、石頭にはつよいかも
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コメント
ハハハ、最後の「オチ」はいいですが、笑えないですねぇ。
そもそも日本の教育予算は諸外国にくらべてとても少ない。教員数もかなり不足。よって現場の教員の過重負担が生じてくる、という根本原因があります。
2022年のOECD加盟国の中で、日本の教育予算は下から3番目。37位です。
「石頭」をたたくより、「石破」をたたいたほうが、教育予算が増えるかも。
投稿: へこきあねさ | 2024年11月 5日 20:38
>へこきあねさんへ
文科省の官僚と言うのは、省庁では最も下位に見られているそうで、ですから予算も回らないようです。
投稿: 玉ヰひろた | 2024年11月 6日 19:49