カテゴリー「法律・制度」の26件の記事

2023年11月 6日

改正法の公布から施行までの期間は?

新しい法律や改正法が決まると、それには「公布日」と「施行日」というのも同時に決められますが、これの意味をよく解らない人は少なくないはずです。

「公布」の日とは、新たな法律や条約が成立したことを発表し、国民にその内容や使用される日を周知させる日で、まだ法律に効力は発生しません。

「施行」の日とは、新たな法律が実際に適用を始める日です。

この「公布」から「施行」までには一定の期間を設け、国民に対し周知させることが行われますが、その準備期間と言われるものには明確な基準は無いそうです。

期間は個々の法律の内容に照らして妥当な線を判断することになっていますが、だいたい6ヵ月や1年が圧倒的に多い気がします。

3年以上のものとしては

  • 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が4年
  • 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」で5年。
  • 「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」で大型自動車への適用が3年
  • 「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」で紙パックやペットボトルヘの適用が5年

上記のようなものが在りますが、それほど長い年月をかけて国が説明やPR活動を行った記憶が無いのは私だけでしょうか?

国もそうですが地方自治体による周知活動というのは、日本はものすごく下手に感じます。

期間をどんなに長くしても、その間に周知できなければ何もやっていないと同じです。

うまくやれないのでしょうか?

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2023年10月29日

車から道路にゴミを捨てる行為の罰則

今朝は6:00から村内の美化活動の日で、幹線道路などのゴミを拾いをしましたが相も変わらず捨てる人が存在することに怒りより呆れます。

そして、ごみを道路などに捨てた輩への取り締まりは無く、拾うものだけに負担が抱えさせられるのでした。

このブログでは、このゴミ拾いの日に毎年のように車からごみを捨てた場合に科せられる罪について記事にしていますが今回もまたアップさせてもらいます。

車からのポイ捨てには複数の罪が科せられますが、主なものを二つ上げます。

一つは「道路交通法第76条・第4項の第4号と第5号」に反する行為となる

  • 車からは、道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射する行為の禁止
  • 危険性が無くても、走行中の車からの物品(空き缶やゴミくず)を捨てる行為の禁止
  • 違反金や違反点ではなく、裁判所に出頭し5万円以下の罰金が科せられ刑事罰となり=前科となる

二つ目は「廃棄物処理法第16条違反」になる行為となる

  • 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない
  • 年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、もしくはこれらの罰則が併科される

実際に2022年3月に、京都で路上で7回にわたり軽乗用車の運転席側から空き瓶などを道路や側溝に捨てた市内在住の男性が廃棄物処理法違反の容疑で起訴されています。

タバコの吸殻はサイズも大きくなく、風に飛ばされやすいゴミのひとつであるため、もし火が消えていなかった場合は大変な災害になりますが、今朝も道路に散乱しているのを見つけました。

明らかに、車内の灰皿に溜まったのを捨てていったものですが、法があってもみな現行犯でなければ捕まえられることは無く次回もたくさんのゴミを拾うことでしょう。

次は3月末です。いろいろな意味で寒いです。

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2023年10月28日

福岡地裁で交通事故に注目の判決

九州の福岡県古賀市で発生した、オートバイと自動車との事故で画期的な判決が出ました

<事故とその後の経過>

  • 古賀市の信号機がある交差点で、右折しようとしていた自動車と対向車線を赤信号を無視して直進してきたオートバイがぶつかり、オートバイの男性が重傷を負った
  • この事故により自動車を運転していた50代の男性は、オートバイのドライーバーを負傷させたとして自動車運転処罰法(過失傷害)」の罪と10万円の罰金が求刑された

<福岡地裁の判決>

  • 赤信号で進入する車両まで予見して、安全確認すべき注意義務はない
    と、して「無罪」の判決を下された

これまでの交通事故で、こんな判決が出た記憶はなく、こういう場合はほぼ100%右折する者、自動車を運転する者、は有罪となっていた気がします。

今回の判決で使われたかは不明ですが、ドライブレコーダの普及はこういう時に役に立つだろうと思います。

いずれにしても驚きの判決ですしこれからの「判例」として大きな影響が出る気がします。

個人的にも、覚えておいて損は無いと思いました

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2023年9月 3日

自転車には無い酒気帯び違反

あまり知られていませんが、違反点数制度から除外されている自転車には「酒気帯び運転」に対する罰則が存在しません。

但し、「酒酔い運転」をした場合には、他の車両と同じく行政処分と100万円以下の罰金などが科せられます。

「酒気帯び運転」は
体内のアルコール量が厳密に規定され、その数値によって罰則が決められています。

それに対し「酒酔い運転」とは
アルコールの量の大小にかかわらず、正常な歩行や運転ができない場合を言い、人によっては酒気帯び違反以下の量であっても取り締まり対象になる可能性もあります。

同じ車両でもそれはおかしいということで、自転車にも他の自動車などと同じく「酒気帯び運転」の規定を設けることが検討に入ったそうです。

法が決まり施行されれば、電動キックボードも対象になってくる可能性がある気がしますが、果たして守られるのでしょうか?

取り締まりをちゃんとするのでしょうか?

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2023年6月11日

衆議院の解散制度は必要なのか?

国会では「衆議院の解散」の話が、どんどん強くなっている気がします。

選挙になれば新しくなった選挙区での初めての選挙となり、福島県でも同じ党員同士での候補者の駆け引きが行われています。

ところで、素朴な疑問です。

  1. 衆議院の解散という制度は本当に必要なのか?
  2. 解散を決める基準となる法は在るのか?
  3. 他の国家でも、日本のような解散は在るのか?

まず、アメリカなどのように大統領制では政府が議会の信任に基づいて成立しているため、任期満了以外の議会解散は通常行われることがないそうです。

日本の衆議院解散というのは旧憲法下では、まだ内閣(政府)が議員から選ばれていなかったため、政府と選挙で選ばれた議会が反目し紛糾することが多く、議会運営が困難になった時に政府の最後(議員をクビにする)のという手段として行われていたようです。

それに対し現行憲法下での解散権の行使は、日本国憲法第69条の場合にのみ限定されるとするというのが基本らしいのですが

<日本国憲法第69条>
『内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。』

実態は理由が無くても政権与党の思わくで解散する、いわば政府による「自由裁量」で行われています。

日本のように自由に解散しているのは、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかでは日本以外ではカナダ、デンマーク、ギリシャぐらいしかないようです。

そう考えれば、衆議院の解散というのは要らないし莫大な選挙費用の浪費だと思います。

そもそも、大した仕事もせず実際の就任年数もそれほどもないのにもかかわらず、「○○期目」だとか当選回数が多いとさも偉かのような態度をとる衆議院議員の存在が無くなる気がします。

解散が無い方が、任期終了まで今よりは内容のある安定して仕事ができる気がします。

 

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2023年4月 2日

「努力義務」という日本語は

今月から(令和5年4月1日)、改正道路交通法の施行により自転車に乗る場合には年齢関係なくヘルメット着用が‘努力義務’となりました。

つまり、自転車に乗る場合はそれ用のヘルメットを着用することに努めなければならない、ただし装着しなくても罰金や罰則は無いということです。

施行された1日に隣の市に出かけましたが、ヘルメットを着用していたのはたった1人でそのほかの人は未着用で乗っていました。

もっと前に施行になった「自転車の右側路側帯の通行禁止」も、いまだに違反している自転車は後を絶ちません。

毎度のことですが、承知の徹底がなされていないことは明らかです。

よく考えれば、そもそも「努力義務」という日本語がとても不可思議な日本語です。

「原則義務」との違いは何でしょう?

日本語として、「原則義務」のほうがもっと合っている気もします。

 

 

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2023年3月10日

19歳は少年でいいの?

回転ずしチェーン店で、置いてある醬油などを直飲みしたなどとして逮捕されたことの報道で

「威力業務妨害罪などで逮捕された19歳の少年が、云々・・」

というのを耳にして、2022年(令4年4月1日施行)から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたので、
19歳は成人なので『19歳の男』というのが本来ではないのか?」という疑問を持ってしまったのです。

昨年の報道を検索して、その報道の仕方の理由がわかりました。

成人年齢が18歳になったと同時に改正少年法も施行され、18歳と19歳は「特定少年」と定まり引き続き少年法の適用年齢とされたのでした。

つまり、19歳は成人年齢ではあるが少年法では「少年」のままなので、そのテレビ局では少年法を優先し「19歳の少年」という言い方にしたようです。

その代わりに、成人年齢なので実名と顔出しの報道は行ったということのようです。

法が複雑でマスメディアも対応に困っているでしょうが、その報道を視聴する側はもっと混乱してしまします。

ただ、すべてのマスメディアがこれと同じ報道のしかたにしているかは不明です。

これもまた、安倍政権の遺産の一つでしょうか?

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2023年2月18日

三春町のひき逃げが無期懲役に減刑

2020年5月31日朝、福島県の三春町(みはるまち)の国道288号線で、清掃活動のボランティアをしていた同町の会長だった男性=当時(55)と女性=同(52)の2人を、盗んだ小型トラックを50代の男が無免許で時速60~70キロ運転しはねて殺害しそのまま逃走するという事が発生しました。

後に本籍伊達市住所不定で無職の盛藤吉高(もりとう よしたか)被告(53)が逮捕され、その動機は「もう一度刑務所に戻りたかったので事故を起こした」という身勝手なことが明らかになりました。

森藤被告は殺人罪などに問われ、2021年6月の一審の裁判員裁判判決は「極めて悪質で動機に酌量の余地はなく、刑事責任は誠に重い」などとして、検察の求刑通り死刑という判決が出されました。

この死刑判決に、被告側は「殺意は無かった。死刑には当たらない」として控訴。

そして今月の2月16日に控訴審判決公判が仙台高裁で開かれ、
深沢茂之裁判長は「極刑がやむを得ないとまでは言えない」とし、死刑とした一審地裁郡山支部の裁判員裁判判決を破棄して、無期懲役が言い渡されました。

仙台高裁の深沢裁判長の判決理由は、

「刑務所に戻りたいなどの身勝手で自己中心的な動機から無差別に被害者2人を殺害するなど極めて悪質であり、人命軽視の度合いは大きく、社会に与える影響も重大」などと一審での殺意を認定しつつも、「誠にやむを得ない場合に行われる究極の刑罰で、慎重に行われなければならない」と説明したうえで、

被告人は今後への不安から自棄的になって及んだ犯行の動機や計画性などを下記のように踏まえ

  • 他人の生命を侵害すること自体から利益を得ようとしたわけではない
  • 犯行に場当たり的な面がある
  • 被害者2人が死亡する危険性が極めて高いが、殺害の意欲までは認められない

『生命軽視の態度や姿勢は明らかだが、甚だしく(殺意が)顕著とまでは言い難く過去の判例からも、死刑となった事件に匹敵するとまでは言えない』

と結論付け、無期懲役が相当とする判決が言い渡されたようです。

ただ、裁判員裁判で出された死刑判決が二審で破棄されたのは、福島県はもとより東北6県では初めての判決になり
「裁判員制度の意義が無くなるのではないか?」という話にまで至ることになりました。

推測するに、仙台高裁の裁判長は「死刑廃止論者」の一人じゃないか?最初から無期懲役前提で審査されたのではないか?と感じてしまいました。

一審の死刑判決を出した裁判員の方々の葛藤は想像ができませんが、その犯行の身勝手で残忍さは死刑の結論に至ったことは当然のことに感じます。

最初から人をひくことを目的に、トラックで猛スピードで無関係の人を死亡に至らしめたのは「通り魔殺人」「無差別殺人」と何ら変わらないと思います。

ご遺族の心中を察すれば、被告をかばっただけの判決としか思えないでしょう。

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2023年2月 1日

隣家の樹木の枝が邪魔なときは・・・

知っている人も少なくないでしょうが、現在の法律『 民法233条 』では隣の家の竹や木の根や枝が境を越して邪魔になっていても、根については切り取ることができますが枝についてはその木の所有者に許可なく切ってしまうと賠償請求をされたり処罰されます。

この法律のよって、隣人との多くのトラブルが起こったり、道路をふさぐ枝が排除できず所有者と行政や近隣住民との訴訟問題が発生していることはテレビでも何度も取り上げられていました。

そこで、2021(令和3)年4月に民法改正が行われ、所有者の承諾なしで切除可能になりました。

その改正法が、2023年(令和5)4月から施行されることを村議会公報で知りました。

『 改正後の民法233条3項1号~3号
 越境した竹木は、その所有者に枝を切除させる必要があるという原則を維持しつつ、
下記の場合には越境した枝を自ら切り取ることができると改められた。

  1. 催告しても竹や木の所有者が切除しないとき
  2. 竹や木の所有者または所有者の所在を知ることができないとき
  3. 急迫の事情があるとき
  4. 越境する竹や木が数人の共有に属するときは、それぞれが単独で枝を切り取ることができる

村議会の議員の質問は、「4月からの改正法施行を知らない所有者とのトラブル発生が考えられるが対処は考えているのか?」というものでした。

言われれば、確かに起こりえる可能性はかなり高い問題であり、それは村だけでじゃなく日本全国で起こりえることだと思いました。

村では質問を受けその処理の体制に入りましたが、全国の市町村では職員が知らない可能性もあり何年かはトラブルが起きそうです。

障害事件にならないことを祈りたいです。

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2022年11月 8日

1票の格差の判断基準は?

7月の参院選で「(2倍~3倍以上の)格差があった選挙区は、投票価値の平等を求める憲法に反し無効(やり直し)である」という、いわゆる「1票の格差」の問題で今回全国の高裁と高裁支部に16件の訴訟が起こされたようです。

その16件のうち、判決が出されたのはきょうまでで11件になりました。

<判決結果>

  1. 「違憲状態」 →5件(選挙無効請求は却下
  2. 合憲である」→5
  3. 違憲である」→1件(選挙無効請求は却下

今月中には全ての判決が出そろうらしいですが、最終的には最高裁が統一判断を示し完了するようです。

たぶん今回も、「違憲状態ではあるが、選挙結果については無効とは認められない」ということになるのでしょう。

ところで、国政選挙のたびに「なぜ?こんな訴訟が、起こされるのだろう。なぜ?こんな格差問題ができたのだろう。」いう思いをいだかないでしょうか。

基因となるのは、
「衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条1項「投票較差が2倍以上にならないようにしなければならない」という条項を、最高裁などが「投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたもの」として判断の基準にしていること。

そして、原因の一端としては
1994年(平成6)に導入した小選挙区制の「一人別枠方式」であるといわれています。

やはりここでも、小選挙区制がいかに日本にはそぐわない制度だということでしょう

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