カテゴリー「法律・制度」の20件の記事

2023年3月10日

19歳は少年でいいの?

回転ずしチェーン店で、置いてある醬油などを直飲みしたなどとして逮捕されたことの報道で

「威力業務妨害罪などで逮捕された19歳の少年が、云々・・」

というのを耳にして、2022年(令4年4月1日施行)から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたので、
19歳は成人なので『19歳の男』というのが本来ではないのか?」という疑問を持ってしまったのです。

昨年の報道を検索して、その報道の仕方の理由がわかりました。

成人年齢が18歳になったと同時に改正少年法も施行され、18歳と19歳は「特定少年」と定まり引き続き少年法の適用年齢とされたのでした。

つまり、19歳は成人年齢ではあるが少年法では「少年」のままなので、そのテレビ局では少年法を優先し「19歳の少年」という言い方にしたようです。

その代わりに、成人年齢なので実名と顔出しの報道は行ったということのようです。

法が複雑でマスメディアも対応に困っているでしょうが、その報道を視聴する側はもっと混乱してしまします。

ただ、すべてのマスメディアがこれと同じ報道のしかたにしているかは不明です。

これもまた、安倍政権の遺産の一つでしょうか?

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2023年2月18日

三春町のひき逃げが無期懲役に減刑

2020年5月31日朝、福島県の三春町(みはるまち)の国道288号線で、清掃活動のボランティアをしていた同町の会長だった男性=当時(55)と女性=同(52)の2人を、盗んだ小型トラックを50代の男が無免許で時速60~70キロ運転しはねて殺害しそのまま逃走するという事が発生しました。

後に本籍伊達市住所不定で無職の盛藤吉高(もりとう よしたか)被告(53)が逮捕され、その動機は「もう一度刑務所に戻りたかったので事故を起こした」という身勝手なことが明らかになりました。

森藤被告は殺人罪などに問われ、2021年6月の一審の裁判員裁判判決は「極めて悪質で動機に酌量の余地はなく、刑事責任は誠に重い」などとして、検察の求刑通り死刑という判決が出されました。

この死刑判決に、被告側は「殺意は無かった。死刑には当たらない」として控訴。

そして今月の2月16日に控訴審判決公判が仙台高裁で開かれ、
深沢茂之裁判長は「極刑がやむを得ないとまでは言えない」とし、死刑とした一審地裁郡山支部の裁判員裁判判決を破棄して、無期懲役が言い渡されました。

仙台高裁の深沢裁判長の判決理由は、

「刑務所に戻りたいなどの身勝手で自己中心的な動機から無差別に被害者2人を殺害するなど極めて悪質であり、人命軽視の度合いは大きく、社会に与える影響も重大」などと一審での殺意を認定しつつも、「誠にやむを得ない場合に行われる究極の刑罰で、慎重に行われなければならない」と説明したうえで、

被告人は今後への不安から自棄的になって及んだ犯行の動機や計画性などを下記のように踏まえ

  • 他人の生命を侵害すること自体から利益を得ようとしたわけではない
  • 犯行に場当たり的な面がある
  • 被害者2人が死亡する危険性が極めて高いが、殺害の意欲までは認められない

『生命軽視の態度や姿勢は明らかだが、甚だしく(殺意が)顕著とまでは言い難く過去の判例からも、死刑となった事件に匹敵するとまでは言えない』

と結論付け、無期懲役が相当とする判決が言い渡されたようです。

ただ、裁判員裁判で出された死刑判決が二審で破棄されたのは、福島県はもとより東北6県では初めての判決になり
「裁判員制度の意義が無くなるのではないか?」という話にまで至ることになりました。

推測するに、仙台高裁の裁判長は「死刑廃止論者」の一人じゃないか?最初から無期懲役前提で審査されたのではないか?と感じてしまいました。

一審の死刑判決を出した裁判員の方々の葛藤は想像ができませんが、その犯行の身勝手で残忍さは死刑の結論に至ったことは当然のことに感じます。

最初から人をひくことを目的に、トラックで猛スピードで無関係の人を死亡に至らしめたのは「通り魔殺人」「無差別殺人」と何ら変わらないと思います。

ご遺族の心中を察すれば、被告をかばっただけの判決としか思えないでしょう。

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2023年2月 1日

隣家の樹木の枝が邪魔なときは・・・

知っている人も少なくないでしょうが、現在の法律『 民法233条 』では隣の家の竹や木の根や枝が境を越して邪魔になっていても、根については切り取ることができますが枝についてはその木の所有者に許可なく切ってしまうと賠償請求をされたり処罰されます。

この法律のよって、隣人との多くのトラブルが起こったり、道路をふさぐ枝が排除できず所有者と行政や近隣住民との訴訟問題が発生していることはテレビでも何度も取り上げられていました。

そこで、2021(令和3)年4月に民法改正が行われ、所有者の承諾なしで切除可能になりました。

その改正法が、2023年(令和5)4月から施行されることを村議会公報で知りました。

『 改正後の民法233条3項1号~3号
 越境した竹木は、その所有者に枝を切除させる必要があるという原則を維持しつつ、
下記の場合には越境した枝を自ら切り取ることができると改められた。

  1. 催告しても竹や木の所有者が切除しないとき
  2. 竹や木の所有者または所有者の所在を知ることができないとき
  3. 急迫の事情があるとき
  4. 越境する竹や木が数人の共有に属するときは、それぞれが単独で枝を切り取ることができる

村議会の議員の質問は、「4月からの改正法施行を知らない所有者とのトラブル発生が考えられるが対処は考えているのか?」というものでした。

言われれば、確かに起こりえる可能性はかなり高い問題であり、それは村だけでじゃなく日本全国で起こりえることだと思いました。

村では質問を受けその処理の体制に入りましたが、全国の市町村では職員が知らない可能性もあり何年かはトラブルが起きそうです。

障害事件にならないことを祈りたいです。

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2022年11月 8日

1票の格差の判断基準は?

7月の参院選で「(2倍~3倍以上の)格差があった選挙区は、投票価値の平等を求める憲法に反し無効(やり直し)である」という、いわゆる「1票の格差」の問題で今回全国の高裁と高裁支部に16件の訴訟が起こされたようです。

その16件のうち、判決が出されたのはきょうまでで11件になりました。

<判決結果>

  1. 「違憲状態」 →5件(選挙無効請求は却下
  2. 合憲である」→5
  3. 違憲である」→1件(選挙無効請求は却下

今月中には全ての判決が出そろうらしいですが、最終的には最高裁が統一判断を示し完了するようです。

たぶん今回も、「違憲状態ではあるが、選挙結果については無効とは認められない」ということになるのでしょう。

ところで、国政選挙のたびに「なぜ?こんな訴訟が、起こされるのだろう。なぜ?こんな格差問題ができたのだろう。」いう思いをいだかないでしょうか。

基因となるのは、
「衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条1項「投票較差が2倍以上にならないようにしなければならない」という条項を、最高裁などが「投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたもの」として判断の基準にしていること。

そして、原因の一端としては
1994年(平成6)に導入した小選挙区制の「一人別枠方式」であるといわれています。

やはりここでも、小選挙区制がいかに日本にはそぐわない制度だということでしょう

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2022年10月 2日

弁護士・野村修也氏の「国葬の法は在った・・」

日曜日の朝の報道番組(生放送)の東山紀之さんがMCを務める「サンデーLIVE」(テレ朝)、そこでレギュラーコメンテータの野村修也氏の発言はちょっと驚きでした。

今回の安倍前総理の国葬についての論争は、『この国葬は法律が無い』という国民の誤解から起きたのです。」

「実際は法律があったのです。その証拠に国葬には最高裁判所長官も参列しました」

弁護士である野村氏、何を言っているのかと思い検索したら彼の「国葬儀」に対しての考え方が公表されたサイトが在りました。

野村氏の考え方は、

  • 「内閣府設置法」という法律のなかに「国の儀式ができる」と書いてある
  • 政府は「国葬」ではなく、「国葬儀」と言う国の儀式であると言っている。
  • 国葬儀は、かつて行われた吉田総理の『国葬』とは違う。
  • 国葬儀は、国民の権利を侵害するような内容を含まないので、閣議決定さえすれば行うことができる。
    ①当日は休みにしない
    ②弔意は強要しない
    ③費用は内閣の裁量内で決められる『国の儀式』の範囲である。

これは、岸田内閣が「国葬儀」を行う為の法的根拠となった、内閣法制局の話をそのままに鵜呑みしたかのような野村氏の考え方ではないでしょうか。

まず、岸田政権は吉田総理の国葬を「国葬ではなく国葬儀」だと直してしまいましたし、弔意を要請しないなどは野党からの反発で急遽決めたものですし、当初は弔意と半期の要請(強制)だったものであり、内閣法制局も「国儀はできる」と言ったが「国葬」については触れていません。

「国葬」を「国葬儀」という後付けの屁理屈を強行したこと、報道番組に出演していた以上知らないはずが無いと思います。

良いコメンテータだと思っていたのですが、まさか野村氏も○○信者だったのでしょうか?

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2022年7月16日

判決の境目は「2002年・地震予測」

数日前、東日本震災で発生した福島原発事故によって生じた東京電力の損失に対し、同社株主が旧経営陣を相手取りその責任と損害賠償の訴訟の判決が東京地裁から下されました。

判決はご存じのように「旧経営陣らは、じゅうぶんに大津波の予測ができたにもかかわらず対策を怠った」として、史上類を見ない総額13兆円もの損害賠償を命じる内容のものでした。

ここで双方の争点と裁判所の判断基準となったは、国が専門家などを集め立ち上げた「地震調査研究推進本部」が、2002年(平成14)に公表した「地震予測・長期評価」というものの信頼性でした。(当時は小泉政権)

東京地裁の判断>

  • 2002年公表の地震予測・長期評価は、
    専門家による適切な議論を経て承認されて、相応の科学的信頼性が認められる

ところが、この判決よりほんの少し前に原発被害者が国を相手取った訴訟で、最高裁判所の判断は「地震予測・長期評価は、信頼性が認められない」とし、国の責任は無いという原告敗訴の判決が下さています。

地裁と最高裁という違いはありますが、東電に対しては「信頼性が有る」、国に対しては「信頼性が無い」という司法の判断から、
政府は原発事故の責任をすべて東電に負わせ終わらせようという国策が見えてしょうがないのです。

大震災が起こる数年前、第一次安倍政権のときに国会で共産党議員が「9m以上の大津波で原発事故が危惧される。電力会社への対策支持を」という要請を政府へ行いましたが、後の第二次安倍政権での故安倍元総理の答弁は「議事録に無い」という答弁で終わりました。

このなぜか消えた議事録が在れば国の責任も変わるはずですが、当の安倍氏も議事録もなくなってしまいました。

国の記録や公文書が改ざんされる、日本とは闇が多い国でもあります

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2022年5月26日

国会議員は海外邦人の何を気にする?

2005年9月14日、最高裁判所大法廷において、

>1998年(平成10年)改正前の公職選挙法について、海外に在住する日本国民が衆参両議院議員選挙における選挙権を一切行使できなかったことが、憲法15条1項及び3項、43条1項並びに44条ただし書に違反し、立法府である国会が選挙権の行使を可能にするための法改正を怠っていたことにより国は国家賠償法上の賠償責任を負う。

という、という画期的な判決が下されました。

そして昨日の5月25日最高裁から裁判官15人全員一致で新たな採決が出ました

>2022年(令和4年(5月25日)最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)
海外在住の邦人が最高裁裁判官の国民審査に投票できないのは違憲とし、2006年に国政選挙の選挙区でも在外投票を可能とする改正公選法が、前年の最高裁違憲判決を受けて成立して国会が在外審査を検討する機会はあったとし、「立法措置が必要不可欠なことが明白だったのに2017年まで約10年も怠った」とし、原告1人当たり5000円の賠償を命じた。

この判決は、2005年の在外選挙権の判決以来「違憲」と判断された2例目となりました。

2005年の判決から、国会では何度か公職選挙法が改正され現在では海外在住邦人の選挙参加が増えつつありますが、その手続きなどが複雑なうえにまだまだ規制が多く有り、海外在住の有権者は約100万人も居ますが参選している10万にほどだそうです。

この2度の「違憲」の判決で、注目の共通事項が「国会の怠慢」を指摘しているところです。

言い換えれば、国会では海外在住者の選挙権について審議したくないということでしょう。

国会議員(与党)は、海外の有権者の何を恐れているのでしょうか?

まさか、もしや、日本在住の“彼ら”の権利を恐れているのか?

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2022年5月 2日

憲法39条のおはなし

<第39条>(日本国憲法第3章)
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

この条文は、事後法と法の不遡及(遡及処罰の禁止)と一事不再理を規定したものですが、当時の日本政府の担当者はその意味が理解できず削除を決めたたようです。

ところが、GHQが我がそれに同意していないことを知り、急遽憲法に入れた経緯があるようです。

この条文が無いと、際限なく罪を押し付けて裁判を行うことが可能になり、法の秩序が崩壊してしまうことを防止するという大切な条文なのです。

戦後の東京裁判で、アメリカの弁護士の一人が「(東条英機らの)この裁判は、事後法に基づくもので違法である」として無罪を主張した史実が存在します。

こんな史実も、憲法記念日に取り上げてもらいたい気がします。

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2022年4月28日

年金受け取ったら延滞税の請求が?

公的年金の受け取り方については、何歳から受給できるかは報道されますが、いろいろある受け取り方についてはマスメディアでは取り上げない気がします。

その受け取り方には、大きく分類すると2か月おきにの需給と、一括しての需給でしょうか

そのなかの、一括というのは何年かをまとめても請求し需給することが可能なんだそうです。

例えていうと、65歳受給資格者が70歳になったときにそれまでの5年分をまとめて一括受給するというようなやり方です。

ここで、ある判例です。

一括請求をして11年分を受給した男性がいた。

年金11年分の公的年金を受給した後に、
税務署から「11年分の所得税の延滞金がある」としてその男性に請求書が届いた。

公的年金に延滞金が付いたことに驚き憤慨した男性は、訴訟を起こしたが敗訴。

公的年金に督促がくるなんて、その男性じゃなくてもビックリですし腹がたちますね。

公的年金は「雑所得」に分類され、その年金収入が158万円超えると所得税(源泉徴収)が発生するそうなのです(158万円以下ならしない)。

毎年確定申告をしている人は、その時に課税されるそうですが、そうでない人には延滞として税金の催促が来るというわけで、事前に所得税が発生することの連絡や説明は無いそうです。

金を出すのは遅く、請求するのは唐突で素早い、財務省の関係機関というのは‘冷たい’組織です。

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2022年4月23日

交通事故現場で警察と消防が対立?

4月20日、愛知県春日井市で起こった交通事故現場において、そこに駆け付けた春日井市消防本部の救急車の救急隊員と春日井警察署の警察官との間で首をかしげるトラブルが発生ました。

その時の状態を時系列でみるとこうなります。

  • 20日、8歳の男児の自転車と左折の軽乗用車が衝突し、男児は転倒し右膝を打撲するという事故が発生。
  • 直ちに、ドライバーは110番と119番に通報する
  • 先に、春日井警察署のパトカーが到着し現場検証を開始
  • 次いで春日井市消防本部の救急車が到着。
  • 救急車が駐車していた警察のパトカーの前に止めようとして、誤ってパトカーに接触しバンパーが破損する事故発生。
  • 警察官からは、パトカーにぶつけた救急車と隊員はこの場に残り、別の救急車を呼ぶようにという要請がなされる。
  • 救急隊員は、「先に(男児を)病院に運ばせてほしい」と頼んだが聞き入れられない為、別の救急車を手配。
  • 事故に遭って負傷した男児は、最初の救急車の到着からさらに13分遅れで到着した別の救急車によって搬送されことになった。

市消防本部は「(救急車による)事故がなければ直ぐに搬送できたことなので、今後このようなことがないようにしたい」という謝罪コメントを発表しましたが、
どう考えても警察官の態度のほうが明らかにおかしいでしょう。

もしも、転倒した男児が脳に異常が起こっていたとしたら、13分の遅れといのは死に直結していきます。

事故処理担当といのはベテラン警察官のはず、そのくらいのことはわかっているはずです。

春日井署の説明は⇓です。

『けが人を優先してほしいが、現場に残ってもらえると助かる』
 との趣旨だった。

強く引き留めたりはしていない

と言っているようですが、何を言い訳しても警察官の態度は批判されて当然でしょう。

同じ地方公務員同士、ちょっとした物損事故なのに、後で何とてもなったこだと思います。

どう考えても、現場に居た(石頭の)警察官の態度は幼い命を軽んじた人権無視としか思えません。

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